2025年4月の日本籍追加型株式投信(ETFを除く。以降、ファンドと表記)の推計資金流出入をみると、4月は外国株式ファンドに9,800億円の資金流入があった【図表1】。3月の1兆2,200億円から2,300億円減少し、1兆円を下回った。外国株式ファンドへの資金流入が1兆円を下回ったのは、2024年11月以来のことである
2025年4月の日本籍追加型株式投信(ETFを除く。以降、ファンドと表記)の推計資金流出入をみると、4月は外国株式ファンドに9,800億円の資金流入があった【図表1】。3月の1兆2,200億円から2,300億円減少し、1兆円を下回った。外国株式ファンドへの資金流入が1兆円を下回ったのは、2024年11月以来のことである。
一般販売されている外国株式ファンドをタイプ別にみると、4月はインデックス型に6,600億円の資金流入があり、3月の7,500億円から900億円減少した。さらにアクティブ型は2,400億円と3月の4,100億円から1,700億円減少し、鈍化が顕著であった。

4月は厳しい運用環境の中でも、インデックス型の外国株株式ファンドへの流入鈍化は米国株式もの(赤棒)、グローバル株式もの(青棒)ともに小幅であったといえよう【図表2】。個別に資金流入が大きかったインデックス型の外国株式ファンド(赤太字)をみても、3月と変わらず資金流入しているものが多かった【図表3】。2024年と比べても、インデックス型の外国株式ファンド全体の4月の流入額は2024年4月(点線)とほぼ同規模であった【図表2】。
このようにインデックス型の外国株式ファンドの資金流入を見る限りでは、インデックス型の外国株式ファンドを積立投資していた人の多くは運用環境に左右されず継続していることが推察される。投資経験が浅い人などが基準価額の下落を受けて、投げ売りをしている様子も見受けられなかった。


その一方でアクティブ型の外国株式ファンドの販売は厳しかった様子である。なかでも米国株式もの(赤棒)の流入額が1,100億円と3月の2,200億円から半減した【図表4】。個別にみても、米国株式ものである「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信」2本の資金流入が4月に鈍化し、特にDコースが500億円以上も3月から減少した。
「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信」のDコースは、毎月分配型の一種である予想分配金提示型のファンドである。2023年6月から米国株式の上昇や円安が追い風となり、1万口あたり毎月200円以上の高分配が続き、2024年は1年間累積の分配金が3,500円となった。しかし、足元では基準価額の急落したため、3月、4月と分配金が0円となり支払われてなかった。もともと高分配が投資家に受けていた面があるだけに、分配金が出なくなったことも基準価額の急落と合わせて資金流入が急減した背景にあるだろう。

この2つの毎月分配型のファンドの足元の販売動向を踏まえると、基準価額が下落した状態でも分配金を出し続けるファンドの方が、投資家に好まれているように見受けられる。しかし、基準価額が下落した状態で分配金が支払われると、結果的に分配金分を損切して売却したのと同じことになる。そのため、その後に上昇した場合、その上昇を十分に享受できなくなってしまう。
「インベスコ 世界厳選株式オープン<為替ヘッジなし>(毎月決算型)」は、この3月、4月に分配金が出続けることによって、そのようなデメリットが発生する可能性があることを周知徹底した上で販売されていたのだろうか。さらに当ファンドを購入した投資家も、本当にそのことを理解した上で購入し、分配金を受け取っているのか、気がかりである。アクティブ型の外国株式ファンドだけでなく、4月はバランス型ファンドの資金流入も400億円と3月の1,300億円から急減した。SMA専用ファンドについても、2024年4月以降1,000億円以上の資金流入が続いていた。それが、4月は400億円と急減しており、ラップ口座の販売も低調だったようだ。そんな中、資産クラス別でみると唯一、国内株式ファンドが4月に2,500億円の資金流入があり、3月の1,700億円から増加した。