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「年金制度改正」で企業年金はどう変わる? 会社員が知っておきたい確定給付企業年金(DB)、企業型確定拠出年金(DC)の変更ポイント

2025/05/22 17:00

「年金制度改正」で企業年金はどう変わる? 企業年金、いわゆる確定給付企業年金(DB)と企業型確定拠出年金(DC)にまつわる改正の主なポイントは次の2つだ。 <主な改正内容> 1. DB、DCの見える化 2. 企業型DCのマッチング拠出限度額の拡充 1. 「見えない」企業年金が「見える」ようになる施策 現

「年金制度改正」で企業年金はどう変わる?

企業年金、いわゆる確定給付企業年金(DB)と企業型確定拠出年金(DC)にまつわる改正の主なポイントは次の2つだ。

<主な改正内容>

1. DB、DCの見える化

2. 企業型DCのマッチング拠出限度額の拡充

1. 「見えない」企業年金が「見える」ようになる施策

現在の制度では、企業年金の情報は加入者本人に通知されており、当然ながら自分の企業年金の現況を知ることはできている。一方で企業年金自体の運営状況については、企業年金の実施事業主から厚生労働省へ報告の義務はあるが、一般には公開されていない。

この報告書の一部を公開することで他社との比較や分析ができる環境を整える。その目的は、加入者等の最善の利益のための運営改善だ。この施策は5年以内に施行される見通しだ。

出所:厚生労働省

DBは将来支給される年金額があらかじめ決まっている退職金制度だ。厚生労働省はDBごとの情報を公表する予定だが、開示は一定以上の規模の企業年金が対象となる見込みだ。

一方のDCは、企業が退職金のもととなる掛金を支払うが、運用は従業員自身が行う退職金制度。厚生労働省は事業主、規約、運営管理機関別に情報を公表する予定で、すべての事業所が対象となる見込みだ。また、運用方法についても運営管理機関等による取り組みの改善を促す。

●前編:年金制度はこう変わる! “106万円の壁”撤廃へ、「年金改正」法案の全容を分かりやすく解説

2. 企業型 DCのマッチング拠出限度額の拡充

もう一つの改正が企業型DCのマッチング拠出に関してだ。マッチング拠出とは、企業が拠出する掛金に加え、従業員自らが掛金を上乗せして拠出する仕組みのこと。企業拠出の掛金にさらに上乗せできるため、一層の税制優遇を受けつつ老後資金の準備が可能となる。

現在、マッチング拠出の金額は事業主掛金の額を超えてはならないという制限が設けられているが、この制限が撤廃される。事業主掛金の額にかかわらず、加入者がそれぞれの状況に応じ拠出限度額の枠を十分に活用し、さらなる老後資産の形成を狙えるようにする。このマッチング拠出限度額の見直しは、公布から3年以内の施行予定となっている。

企業年金は私たちの老後生活を支える重要な柱の一つだ。法案のさらなる具体的な内容は今後明らかになるが、この機会に自分の企業年金について改めて確認してみるのも良いかもしれない。

Finasee編集部

「一億総資産形成時代、選択肢の多い老後を皆様に」をミッションに掲げるwebメディア。40~50代の資産形成層を主なターゲットとし、投資信託などの金融商品から、NISAや確定拠出年金といった制度、さらには金融業界の深掘り記事まで、多様化し、深化する資産形成・管理ニーズに合わせた記事を制作・編集している。