トランプ大統領は先に米国国内の医薬品の価格が他国に比べて高いと指摘し、製薬会社に米国内に工場を開設させるため輸入医薬品に関税を課すと発表した。5月22日付香港各紙によると、トランプ大統領は米国の製薬会社に薬価を引き下げるよう指示する大統領令にも署名したが、この実行は難しいのではないかとの疑問も投げかけられた。香港の医薬品業界関係者は、米国の医薬品は他国の原材料に依存しており、関税戦争で医薬品コストが上昇し、香港の輸入医薬品の価格が上がる可能性があると指摘している。しかし業界関係者の中には、香港の輸入医薬品の価格自体が比較的高いと指摘する者もおり、関税によって必ずしも価格がさらに上昇するわけではないとの見方もある。さらに中国の高級医療は急速に発展しており、将来的には中国からさらに多くの医薬品を輸入できるようになるとみられる。
香港医薬品販売協会の葉婉●会長は、香港は主に米国から抗がん剤、生物製剤、希少疾病用医薬品などの特許医薬品を輸入しているが、多くの医薬品の原材料は中国、インド、アイルランドから供給されていると述べた。米国の世界的な関税により原材料価格が上昇し、完成品の価格も上昇し、再販価格も高くなると指摘。謝建安・副会長は、トランプ大統領が最初の任期中に関税を課して以来、西側諸国からの医薬品の輸入コストが大幅に上昇し、サプライチェーンは流行後まだ完全に回復しておらず、輸送コストも非常に高いため、米国や欧州から輸入する医薬品の価格が近年上昇していると述べた。しかし香港市場は規模が小さく交渉力も高くないため、同じ医薬品でも香港ではすでに近隣地域に比べて価格がかなり高くなっており、関税によって大幅な値上がりは見込めないとみている。【●=女へんに亭】
謝副会長は、中国は現在、世界の医薬品原料(API)の80%以上を生産しており、中国のハイエンド医療も近年急速に発展しており、そのスピードは「想像を絶するほど速い」と述べた。同氏は、がん治療のための標的薬、遺伝子治療、生物学的治療などの分野で中国は自主的に医薬品の開発・生産が可能になっており、香港も中国から高級医薬品を輸入し始めていると指摘した。同氏は、香港社会が国産医薬品を受け入れるにはある程度の時間が必要だが、香港人の中国本土の医薬品に対する態度は流行後「急速に反転」し、近年、多くの香港人が治療のために中国本土へ行くことを選択していると述べた。
謝副会長は、中国の医療が急速に発展するにつれ、香港は米国や欧州の医薬品をある程度まで徐々に代替できるようになり、「医薬品が不足することはないだろう」とみる。また中国は医薬品原料の生産だけでなく、医薬品の研究開発と製造も完了できると指摘した。今後は中国本土からより多くの医薬品を輸入することが一般的な傾向であり、これも関税変動の影響を回避するのに役立つとの見方を示した。