年金・iDeCo・保険を見直したい

「手取りも安いし働かない方が良い」65歳からの給料減で年金生活を決意するも…64歳男性を一変させた「予想外の出来事」

2025/05/24 12:00

年金を受け取れる年齢になっても働くと厚生年金の保険料の負担が続くことがあります。その保険料は受け取っている年金に影響があるのでしょうか。 65歳からは年金生活? それとも働き続ける? 大学卒業後から会社員を続けていた明憲さん(仮名、64歳)は、妻・雅美さん(仮名、65歳)と暮らしていました。60歳で定年を迎えた後は

年金を受け取れる年齢になっても働くと厚生年金の保険料の負担が続くことがあります。その保険料は受け取っている年金に影響があるのでしょうか。

65歳からは年金生活? それとも働き続ける?

大学卒業後から会社員を続けていた明憲さん(仮名、64歳)は、妻・雅美さん(仮名、65歳)と暮らしていました。60歳で定年を迎えた後は再雇用でフルタイム勤務しています。そんな明憲さんも来年65歳になると年金を受け取れるようになり、老齢基礎年金は年間78万円、老齢厚生年金は年間154万円、合計232万円受給できる見込みです。これまで残業や休日出勤、出張、転勤も繰り返し、まさに会社が生活の中心でしたが、退職して年金暮らしが始まると自分の自由な時間を過ごせるのではないかと楽しみにしています。今の再雇用の契約は65歳になると満了するので、65歳で退職していよいよ年金生活かと思っていました。

しかし、会社から65歳以降の勤務についての案内がありました。人事担当者によると、65歳以降は週4回の勤務のアルバイトで勤務できるようになり、交通費込みの月給24万円で70歳まで会社に勤務できるとのことでした。65歳前と比べ、勤務時間も減り、給与も下がります。明憲さんの先輩社員も65歳以降勤務し続けているようでしたが、明憲さんは「まだ働くのかぁ。こんなに給料下がるんだったらもう辞めて年金生活した方がいいかと思うんだけどなぁ」と思います。65歳以降の勤務条件についての会社の規程について説明され、厚生年金の加入もあることが明らかにされます。

「いや~65歳で年金も受け取れるようになっているのに、厚生年金の保険料も引き続き払うのか……他の健康保険料や税金なんかも含めたら手取りが少なくなるよな」と感じています。「手取りも安い給料なら働かない方が良くないか」とも思うようになります。

払った保険料はどうなる?

しかし、これまで明憲さんは会社中心の生活をしてきましたし、65歳以降も勤務している先輩を見ていると、「とりあえず働いている方がいいのかな……」と思うようになります。一方で「けど年金暮らしもできるのに保険料払うなんてなぁ。この払った分の保険料ってどうなるんだろう」と疑問が出てきます。そこで、今まで一度も行ったことのない年金事務所で話を聞いてみることにしました。

その当日、早速担当の職員に「40年以上会社に勤めてきて、厚生年金の保険料かなり払ってきて、それでやっと65歳で年金が受け取れる。65歳で年金も受け取れるようになるのに、70歳まで年金の保険料を払うのかと思うと……」「この払った保険料はどうなるのでしょう……」と気になる疑問をぶつけます。

職員は「その保険料、掛け捨てにはなりませんよ。あとでその分受け取る年金が増えます。保険料を払っている方が70歳で完全にリタイアしてからの生活が安心できるものになると思いますよ」とのことです。

年金を受け取れるようになってから掛け続けた保険料は、受け取る年金にどのように反映されるのでしょうか。

●65歳からの働き方に悩む明憲さんが、年金事務所での相談を経て選んだ道とは? 編【定年後の選択「週4回勤務で月給24万円」か「ゆっくり年金生活」か? 64歳会社員が老後のメリットを考え下した決断は…】で詳説します。

※プライバシー保護のため、内容を一部脚色しています。

五十嵐 義典/ファイナンシャルプランナー

よこはまライフプランニング代表取締役、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®認定者、特定社会保険労務士、日本年金学会会員、服部年金企画講師。専門分野は公的年金で、これまで5500件を超える年金相談業務を経験。また、年金事務担当者・社労士・FP向けの教育研修や、ウェブメディア・専門誌での記事執筆を行い、新聞、雑誌への取材協力も多数ある。横浜市を中心に首都圏で活動中。※2024年7月までは井内義典(いのうち よしのり)名義で活動。