投資・資産運用したい

株価乱高下の中、SBI証券の売れ筋で実力発揮のアクティブファンドとは? ランキングで明らかに

2025/06/04 07:00

SBI証券の投信売れ筋ランキングの2025年5月のトップ3は前月と同様に「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」(通称:オルカン)、「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」、「SBI・V・S&P500インデックス・ファンド」の順だった。第4位には前月の第5位から「iFreeNEX

SBI証券の投信売れ筋ランキングの2025年5月のトップ3は前月と同様に「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」(通称:オルカン)、「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」、「SBI・V・S&P500インデックス・ファンド」の順だった。第4位には前月の第5位から「iFreeNEXT FANG+インデックス」が上がり、前月第4位の「SBI 日本株4.3ブル」は第8位にまで後退した。相対的にインデックスファンドに対して優位なパフォーマンスを残している「インベスコ 世界厳選株式オープン<為替ヘッジなし>(毎月決算型)」(愛称:世界のベスト)が第6位に上がった。また、前月第10位だった「eMAXIS Slim 国内株式(日経平均)」に代わって「eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)」が第10位にランクインした。

◆インデックスファンドを上回った「世界のベスト」

5月は月次で米国株価指数「S&P500」は6.15%高と6カ月ぶりに大幅に反発し、5月末時点では2024年12月末時点の水準を上回った。「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」は4月9日には昨年末比でマイナス23%の水準にまで下落しており、そこからは急速に値を戻している。ただ、為替水準がドル円で昨年末の1ドル=156.23円と比較すると5月末は143.82円と大幅な円高・ドル安水準にあり、このため為替ヘッジなしの「S&P500」連動型のインデックスファンドは前年末を10%程度下回る水準になっている。

この「S&P500」に対して、より鋭角的なパフォーマンスになったのが「iFreeNEXT FANG+インデックス」だった。4月9日時点では、前年末比マイナス30%の水準にまで下落したものの、5月末時点では「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」を上回る水準にまで基準価額が回復している。高配当株式で構成されたインデックスに連動するETF「SCHD」に投資する「SBI・S・米国高配当株式ファンド(年4回決算型)」は4月9日の下落率こそ「S&P500」と比較して小さかったものの、その後の戻りの勢いに乏しく5月末時点の基準価額は「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」を下回る水準になっている。一方、全世界株式に分散投資している「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」は、米国株式と比較して4月9日の下落率がやや小さかったこともあって戻り相場でも先行して価格が戻っている。

インデックスファンドの動きと比較すると「インベスコ 世界厳選株式オープン<為替ヘッジなし>(毎月決算型)」の推移は一歩先んじている。毎月1万口当たり150円の分配金を継続し、5月末時点では分配金込みの基準価額がおおむね2024年末と同じ水準にまで上昇した。これは、「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」が2024年末比95%程度の実績であることと比較しても優れた成績だ。時価総額の上位銘柄から優先的に組み入れていく「株式インデックス」と違って、個々の企業調査の結果を重視して組み入れの可否や組み入れ比率を細かく調整しているアクティブファンドの実力が発揮されたといえよう。特に、景気の見通しに不透明感があり、株式市場が不安定な折には、株価の形成に企業業績が大きな手掛かりとなる。先行き不透明で不安定な時にこそ、優れたアクティブファンドが浮かび上がってくるといえる。

◆国内株ファンドでは「TOPIX」が優位

SBI証券の売れ筋ランキングでは、国内株ファンドについて「日経平均株価」に連動するインデックスファンドがトップ10から落ち、代わって「TOPIX東証株価指数)」に連動するインデックスファンドがトップ10にランクインした。この人気の差は、パフォーマンスの違いを反映したものと考えられる。

「eMAXIS Slim 国内株式(日経平均)」は、4月上旬の株価急落時において2024年12月末比でマイナス21%の水準まで下落し、5月末時点でようやくマイナス5%程度の水準に戻った。これに対し、「eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)」は4月上旬の下落率がマイナス17%程度とやや軽微となり、5月中旬には2024年末水準にまで基準価額が戻った。2025年には一貫して「TOPIX」は「日経平均株価」を上回る成績を続けており、この結果が「TOPIX」の評価につながっている。

一方、4月にはランキングの第4位にまで人気が上昇した「SBI 日本株4.3ブル」は5月に失速した。同ファンドは4月7日に年初来マイナス70%の水準に下落した後、4月末にはマイナス50%程度の水準へと急速な戻りを見せたものの、5月に入って動きが鈍った。米国の関税政策によっては企業業績が大幅に悪化する企業が少なくない中で日米の貿易交渉が遅々として進まず、今後の国内株式市場の行方が不透明になっている。わずか3カ月余りで価格が半値以下になってしまうリスクがある同ファンドに対して株価の上昇期待が感じられないとなかなか新規投資には踏み切れないだろう。同ファンドが売れ筋ランキングで大きく後退した背景には、次の一手が見えないという投資家のジレンマが表れていると考えられる。

執筆/ライター・記者 徳永 浩

Finasee編集部

「一億総資産形成時代、選択肢の多い老後を皆様に」をミッションに掲げるwebメディア。40~50代の資産形成層を主なターゲットとし、投資信託などの金融商品から、NISAや確定拠出年金といった制度、さらには金融業界の深掘り記事まで、多様化し、深化する資産形成・管理ニーズに合わせた記事を制作・編集している。