2025年5月の日本籍追加型株式投信(ETFを除く。以降、ファンドと表記)の推計資金流出入をみると、5月は外国株式ファンドに9,200億円の資金流入があった【図表1】。2025年に入って最小だった4月の9,800億円からさらに減少したが、減少幅は600億円と4月の2,300億円に比べて縮小した。 一般販売されている
2025年5月の日本籍追加型株式投信(ETFを除く。以降、ファンドと表記)の推計資金流出入をみると、5月は外国株式ファンドに9,200億円の資金流入があった【図表1】。2025年に入って最小だった4月の9,800億円からさらに減少したが、減少幅は600億円と4月の2,300億円に比べて縮小した。
一般販売されている外国株式ファンドをタイプ別に見ても、インデックス型、アクティブ型ともに小幅な減少にとどまった。流入額が、インデックス型は5月に6,400億円となり、4月の6,600億円から200億円減少した。アクティブ型も5月は2,100億円となり、4月の2,400億円から減少となった。

こうした中、5月の外国株式ファンドの資金流出入を見る限りでは、インデックス型もアクティブ型も基準価額の上昇に伴う戻り売りは限定的で、外国株式の投資意欲は引き続き高かったことがうかがえる。ただし、米関税政策の先行き不透明感が残る中、様子見姿勢やポジション調整の売却が見られ、外国株式ファンドへの資金流入はやや鈍化したと考えられる。


その一方で国内株式ファンドは、5月に1,700億円の資金流出があった【図表4】。国内株式も外国株式と同様に、日経平均株価が月初から一時2,000円以上上昇するなど大きく上昇したが、それに伴いインデックス型を中心に利益確定売りが出たと見られる。
特に日経平均株価が3万8,000円を超えた翌営業日にあたる14日と30日には、それぞれ600億円、500億円に迫る資金流出があり、売却が顕著だった。米関税政策に対して本格的に警戒される前、2月以前の日経平均株価の水準が3万8,000円台だったこともあり、この水準を意識して売却する個人投資家が多かったと推察される。
このように国内株式ファンドの資金流出が影響し、5月はファンド全体でみると9,000億円の資金流入となり、4月の1兆2,600億円から3,600億円減少し、2025年に入って初めて1兆円を下回った。

投信市場全体で見ると、インデックス型の外国株式ファンドの残高が積み上がっているなど、長期投資が根付きつつある。しかし、国内株式ファンドに限ると確定拠出年金口座であっても株価の変動に応じた売買が目立ち、長期投資がまだ十分に根付いていないようだ。5月は、半導体関連に注目したテーマ型の外国株式ファンド(赤太字)が総じて高パフォーマンスとなった【図表5】。ただし、これらのファンドは、過去1年間では収益率が二桁のマイナスに落ち込んでいた。外国為替市場で1ドル156円台だったのが足元143円台になるなど1年間で円高が進行したことも逆風となったほか、半導体関連株自体も一部のAI関連銘柄を除き、冴えない展開が続いたが、5月は株価が急反発した。
