中国の税関当局は6月29日、日本産水産物の中国向け輸入を一部再開すると発表した。東京電力福島第一原子力発電所の処理水海洋放出を巡り、中国側は2023年8月下旬から日本産水産物の輸入を停止していた。福島県など10都県は再開の対象に含まれないものの、それ以外で実際に輸入を再開すれば約2年ぶりとなる。
小泉進次郎農水相は発表翌日の6月30日、記者団に対し、「大きな節目だ」と述べるとともに「迅速かつ円滑な輸出の再開に向けて、官民一体となって取り組む」と強調した。

小泉進次郎・農水相
農林水産省によると、24年の中国向け農林水産物・食品の輸出額は前年比29%減の1681億円だった。このうち水産物は90%減の61億円。
中国向けの水産物といえばホタテ。22年、中国向け水産物輸出額871億円のうち、ホタテは467億円(54%)を占めていた。
輸入規制から1カ月後、23年9月末の記者会見で、当時の宮下一郎農水相は国内消費量(年間約7粒)を踏まえて「輸入規制の影響を受けるホタテを全て国内で消費した場合には、追加で5~7粒を1年間に食べていただく計算となる。月に1粒食べてほしい」と、国民に協力を求める場面があった。
こうした背景もあり、2年ぶりとなる輸入再開に歓迎ムードがある一方で、「供給網の再構築や多角化も進んだ」(小泉氏)のも現実だ。
日本産ホタテは、中国で殻むき加工をした後で米国に再輸出されるケースが多かった。中国の輸入規制を受けてベトナムやタイなど東南アジアを中心に販路を開拓。米国への輸出も拡大している。
中国側が日本産水産物の輸入再開に踏み切った背景には、米中間の貿易戦争がある。中国側は周辺国との関係改善が課題となっており、日本政府は残る10都県の都県の輸入規制撤廃に向けて、引き続き粘り強い交渉が求められる。
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中国の税関当局は6月29日、日本産水産物の中国向け輸入を一部再開すると発表した。東京電力福島第一原子力発電所の処理水海洋放出を巡り、中国側は2023年8月下旬から日本産水産物の輸入を停止していた。福島県など10都県は再開の対象に含まれないものの、それ以外で実際に輸入を再開すれば約2年ぶりとなる。 小泉進次郎農水相は発表