IR大調査大報告会〜IR取材動向について色々な角度で徹底データ分析〜富山蔵人(以下、富山):本日はお越しいただきありがとうございます。ログミー株式会社CROの富山です。今回のセミナーは2年前にも関本さんにご登壇いただいた人気企画です。後日ログミーFinanceに掲載した書き起こし記事はかなりのPV数となりました。またご
IR大調査大報告会〜IR取材動向について色々な角度で徹底データ分析〜
富山蔵人(以下、富山):本日はお越しいただきありがとうございます。ログミー株式会社CROの富山です。今回のセミナーは2年前にも関本さんにご登壇いただいた人気企画です。後日ログミーFinanceに掲載した書き起こし記事はかなりのPV数となりました。またご一緒しようということで、本日はよろしくお願いします。関本圭吾氏(以下、関本):株式会社IR Agents代表の関本です。よろしくお願いします。富山:前半はログミーFinanceのお話もしていきます。当社は7月から新体制となり、IR領域のサービスをさらに拡充させています。特にIR資料の英文開示、決算説明会の運営支援、機関投資家のアレンジなども行っていますので、必要があればご連絡ください。また、ログミーFinanceの個人投資家向けセミナーは、2年連続で業界最多の開催数となりました。実は、年間の登壇者数と参加人数は野村インベスター・リレーションズやSBIホールディングスを抜いており、最大級のイベントとなっています。ある程度開催予定は決まっていますが、まだ空き枠はありますので、興味のある方はお声掛けいただければと思います。自己紹介
関本:ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、2023年にIR取材の動向調査を行い、結果をまとめてプレゼンしました。今回はそのアップデート版として、累計掲載数が1,700社を超えたログミーFinanceの力を借り、またアンケートを行いました。まず、簡単に自己紹介をします。私はもともと運用会社におり、1社目でアナリストを、2社目でポートフォリオマネージャーを担当した後、今の自分の会社であるIR Agentsを立ち上げて、企業と投資家の資本市場におけるコミュニケーション、いわゆるIRの領域で色々なサービスを提供しています。IR Agents 事業概要
関本:事業の1つは、投資家向けのIR取材代行メディア「IR Agents」の運営です。もう1つはいわゆる企業向けのIR支援です。どのように株価を考えたらいいのか、IR戦略、IR施策をどのように打っていったらいいのかというサポートや、資料作成のサポートなどをしています。INDEX
関本:本日お話したい内容です。アンケートの趣旨
関本:初めに今回の調査目的、アンケートの趣旨です。セミナーにご参加いただいているみなさまの中にも、アンケートにご協力いただいた方がいるかと思います。アンケートの目的は、取材件数、セルサイドの証券会社からの取材件数、バイサイドの取材受付履歴のデータを元に、どのようなところが取材されているのか、また各投資家の趣味は何なのかを明らかにした上で、実態の不透明なIR取材対応について調査することです。今回の目的①「自分たちのIR取材対応状況はどうなのか」に対する基準を作る
関本:具体的には2つあります。1つ目は「自分たちのIR取材対応状況はどうなのか」という疑問に対する基準を作ることです。IR取材やIR支援を行っている中で「自分たちのIR取材の件数が十分なのかわからない」という疑問や、「もっと取材対応したいが、どうすればいいかわからない」というご相談をいただくことが多いです。私もクリアな回答を持っておらず、感覚的に「御社の取材件数は十分な気がします」「もうちょっとできる気がします」などとお伝えしています。しかし、本当はたくさんのデータを取って統計を得るべきことだと思っています。今回の目的①「自分たちのIR取材対応状況はどうなのか」に対する基準を作る
関本:そのような意味で「十分なIR活動ができているのか」という点について、アンケートを取ってデータをまとめました。最終的に本日参加された方が「今の状態だったら、セルサイドの取材件数をもう少し増やせるのではないか」「当社の取材件数はかなり多いので、もっと他の資料や動画、新規投資家獲得に力を割いた方がいいのではないか」など、効率のよいIRのリソース配分ができたらいいと思っています。今回の目的②「正しい」投資家ターゲティングのための実証データ
関本:2つ目は「『正しい』投資家ターゲティング」です。IR戦略として、まことしやかに語られる「投資家ターゲティング」は、「この投資家を狙いたい」「海外投資家、バリュー投資家、グロース投資家を狙いたい」というものです。今回の目的②「正しい」投資家ターゲティングのための実証データ
関本:東京証券取引所からもよい取り組みとしてそのようなものが紹介されていますが、IR戦略としての「投資家ターゲティング」について語っているのは、IR側や会社側の人であることが多いです。投資家側だった身からすると、「それは有効なのか?」と疑問に思うことがよくあります。私はよく「ロングオンリーや海外投資家に買ってもらうにはどうしたらいいですか?」という相談をいただくのですが、誤解がある気がしており、このあたりについてもう少しクリアにしたいと思っています。富山:これには私も違和感があります。なぜ東京証券取引所などが「投資家ターゲティングとはこういうものだ」と、評価しているのでしょうか? 関本:それは成功例があったためだと思います。もともと「投資家ターゲティング」が出てきた文脈というのは、国内では「赤字を掘って投資して伸ばす」ということが受け入れられなかった時期に、SaaS企業が海外投資家を開拓して伸びたという事例からでした。うまくいった発行体の企業が「うちは成長フェーズにあわせて、海外投資家に意図的にリソースを割いて会いに行った」ということをいろいろなところで語り、「こんなに戦略的に行っているなんて!」と注目されたことで、独り歩きしていった結果だと思います。私は、これは結果論だと思っています。そのような企業は裏側にすばらしい売上成長やユニークなビジネスモデルがあり、ようやく海外投資家のアプローチに行き着いたというところです。そのため、「海外投資家にアプローチしたい」ということが先に立つのは少し違うのではないかと思います。成功例として語られるのはレアケースの結果論のため、ギャップがあるのではないかと思います。今回の目的②「正しい」投資家ターゲティングのための実証データ
関本:そのような認識違いの原因を考えた時に、気になることとして「こうして海外投資家やロングオンリーに買ってもらった」「ターゲティングした」というお話があります。しかし、投資家は自由に買いもしますが、売りもします。「買ってもらって、今はどうなんですか?」と問うと、海外IRやターゲティングが成功した会社でも多くはコロナ禍や、昨年株価が一度腰折れしたことにより、一時では半額から3分の1まで落ちているケースも多いです。結局、無理やり買わせたとしても、投資家は勝手に売ってしまいますので、その点を考えて対応しないと違和感が残ります。また、「バリュー投資家」「機関投資家」などという言葉で一括りに語られることが多いのですが、IR担当者のみなさまであればご存知のとおり、投資家は1つの言葉で括るのが難しい宇宙人のような人たちです。いろいろと独特な考え方もしています。そのような意味では、1つに括ってターゲティングしようとしても、「それは本当に狙えているのか?」という懸念があると思います。「この投資家を狙うぞ」と無理やりアプローチしても、「おもしろいけれど、あまり興味がない」「買ってみたけれども、やはり自分には合わない」などと、結局売られることになってしまいます。会社側の希望に投資家を合わせるようなターゲティングは難しいですし、意味や効率としても疑問があるところです。逆に私が「投資家ターゲティング」を勧めるとしたら、「この投資家は、今の自分たちの会社のフェーズに合っているのではないか」という点から投資家を選定します。すると「このような会社をちょうど探していた」という反応があり、話しやすい投資家と話せますし、購入した後も保有してくれます。そうすれば意味もありますし、効率もアップできます。ただし、この話を進めようとすると「この投資家はどのような運用の仕方をしているのか」について知らなければいけないため、この点もアンケート調査で実証したいと思っています。今回の目的②「正しい」投資家ターゲティングのための実証データ
関本:「正しい」投資家を狙うためには、スライドに示したように、宇宙人の観察データを多面的にまとめなければいけないということが今回のテーマです。半分は私の趣味のようなところでもありますが、アンケートにご協力いただきありがとうございました。単純集計結果
関本:基本的なアンケートの中身です。今回の有効回答数は233社でした。前回の2023年は70社から80社くらいだったため、3倍以上になり本当にうれしいです。業種構成としては、情報・通信業、サービス業が多く、まだカバーしきれていない業種もあり、難しいと思っています。時価総額構成としては、50億円以下、100億円以下、200億円以下を合わせて40パーセントくらいになっているため、小型企業への偏りはあるとご理解ください。単純集計結果 – IR取材全体&セルサイド取材
関本:単純な集計はスライドのような結果でした。1四半期の取材件数のボリュームゾーンは30件以下の企業が70パーセント強を占める状況で、5件以下の企業も3分の1くらいあります。5件から10件程度の企業が20パーセントくらいで、10件から20件程度も20パーセントくらいです。したがって、30件くらい実施していたら十分で、平均20件実施していたらいいのではないのかと思っています。セルサイドとの取材件数のボリュームゾーンは1件から4件ですが、1件もない企業も4分の1くらいあります。やはり「取材を受けたことがない」という企業があっても仕方がないという状況です。単純集計結果 –バイサイド取材
関本:続いて、バイサイド取材の結果です。これが今回の調査の本編だと思っています。スライドでは「A社」「B社」「C社」としていますが、参加者向けには補足資料でこれらの企業名を掲載しています。スライド一番左のA社が最も取材件数が多いです。今回「このような人が取材をしにきた」と説明してくれた発行体164社のうち、59パーセントの80社から90社くらいと会っている会社です。前回の調査でA社は、50社くらいの有効回答数に対して45社くらいと会っていたため、今回は母数を増やしたことで「さすがにほぼすべての企業に会っているわけではない」とわかりました。それでも企業の60パーセントくらいには取材を行っているのではないかと思います。裏を返せば、「うちはA社に会えていないな」と思ったら、アプローチしてみると会ってもらえるかもしれません。時価総額
関本:細かいところをお話しします。最初に市場系の指標として流動性についてです。時価総額、売買代金、バリュエーションから、取材件数を考えてみたいと思います。まず時価総額について、スライド表の下部に企業数と中心値でざっくりと計算した平均を記載しています。時価総額が100億円以下の企業は四半期で4件くらいで、100億円から300億円の企業で10件くらいです。300億円を超えてくると16.7件となり、500億円を超えてくると20件を超えてきます。したがって、「うちの会社は時価総額300億円なのに、5件から10件しか取材がない」という会社がいれば、取材件数が足りていないことも考えられますので、もう少し増やしてもいいかもしれません。逆に「うちは時価総額100億円だけれども、20件くらい取材している」という会社は、取材件数自体は「かなり注目を浴びている度合い」と捉え、このデータを振り返りに使ってもらえるといいかと思います。時価総額2,000億円以上の会社では、100件以上取材をしている会社が4社もあります。かなりばらつきがあり、多い企業はとても多く、少ない企業は少ないのは仕方がないことだと思っています。時価総額水準対比でミーティング件数が多い企業①
関本:次に、どのようなところとのミーティング件数が多いのかまとめてみました。時価総額帯が50億円以下で、セルサイドはないが5件から10件くらい取材している会社や、時価総額帯が100億円から200億円で、20件から30件くらい取材している会社で気になったのは、情報・通信業とサービス業が多い点です。全体の業種構成では、情報・通信業とサービス業を合わせて33パーセントのため、そもそも情報・通信業とサービス業の数が多いという背景はあります。スライドの表でも半分以上は情報・通信業とサービス業のため、それらは取材が入りやすく、それ以外の業種は少ないのかもしれません。スライド右端のMC/OPは、時価総額を営業利益で割ったもので、バリュエーションの代わりのような数字です。6.4倍もあれば約70倍もあって、かなりバラバラです。したがって、割安だから件数が多い、割高だから件数が多いという相関はないのではないかと思っています。富山:実態として、「よいIRを行っているから件数が多い」というようにはならないのですか? 関本:なかなかならないと思います。「よいIR」とはすごく難しいのですが、私は市場とギャップがないIRのことだと思います。「説明したとおりに業績が出てきて、次の四半期以降もそのとおりに業績が出てくる」というのはおそらく「よいIR」ですが、逆に「資料を見たらわかるから、取材は止めておこうかな」という人も出てきます。「開示がないから直接聞かないとわからない」「この会社は説明会でしか開示しない話がある」というのが果たして「よいIR」なのかと聞かれると、これは悪いIRです。一方で取材件数は多いのではないかと思います。時価総額水準対比でミーティング件数が多い企業②
関本:今のお話と似たような点をスライドにまとめました。表の下部に、売上成長と営業利益の成長は低く、売買代金は1日当たり5億円くらいなのにかなりミーティングが多い会社があります。私が運用を担当していた時にも有名だった半導体関連の会社で、先行指標的なビジネスをしているため、そのような意味で周辺調査として話を聞きに行きたい会社といえます。そのような例は「よいIR」なのかというと、そうでもないかもしれませんが、取材件数は多いです。したがって、必ずしも「よいIR」をすることで取材が多くなるとは限らないと思っています。個別の分析についてご説明します。例えば企業Aは、時価総額や売買代金は少ないのに、取材件数は多めです。その事業内容を見てみると、おそらくテーマ的な視点も絡んでいるのかなと思います。つまり、投資家は「とりあえず関連業界は全部行こう」と取材することがあるのです。また、「この会社は過去にひと相場やったことがあるな」と思った会社もあります。過去に話題になった時にミーティングしており、それで覚えてもらっているため、現在はピーク時から落ちて株価が低迷していても、実は取材件数の多い会社があるのです。そのような時でも、過去に株価が上がって「おもしろいビジネスだな」と思ってもらえたことで、売買代金や時価総額に比べて「株価が落ちてきているけれども、最近どうなの?」という取材がけっこう入ってきてくれます。したがって、「1回大きく株価を上げるのは、意外と知名度を上げるにはいいかもしれない」という見方はあると思います。また、最近上場した企業についても、上場したタイミングが非常によいため、どんどん顔と名前を覚えてもらえる機会になるのではないかと思います。時価総額水準対比でミーティング件数が少ない企業
関本:反対に、時価総額水準対比でミーティング件数が少ない会社を見てみたのですが、けっこう難しいです。7社について、私が決算説明資料を読んで株価を見た時に思ったことをスライド下部に記載しています。企業Aは業界的にユニークな会社ですが、大きく成長している業界ではありません。一方で、売上と利益はモデレートなグロースで、バリュエーションは中ほどの水準です。倍になるかというとそうではないため、おそらく話を聞きに行かないのではないかと思います。企業Bは売上と利益の成長が「中」で、10パーセントくらいの成長です。過去4年から5年で見た時に売上、利益があまり伸びていない、流動性が低い中でわざわざ触りに行くほどではないと思うと取材をスキップされます。妥当な株価水準のところや、市場が魅力的でないように見えるとそのようになります。企業Cはけっこうおもしろく、時価総額帯は300億円から500億円の情報・通信業で、何年間も15パーセント前後の利益成長を続けています。情報・通信業でシステムインテグレーターのような会社です。こちらの取材件数は5件以下です。私は似たような企業をいくつか知っていますが、情報・通信業の中で真ん中くらいの成長性のためバリュエーション的には悪くないものの、「やや割安で良さそうだけれども、他にもこういう会社はあるしな」となぜか選ばれなくなってしまっているのかと思います。企業E、企業F、企業Gは、パッと見た時に「これは親会社がいるだろう」と思うところです。また、企業Fのような個別のファンダメンタルズは、今はテーマ的に動いているところで「アナリストがカバーしているなら、その話を聞くのがいいかな」という状況であるなどして「個別取材はしなくていいかな」という判断もあるかもしれません。投資家としてはこのようなことを考えているため、「時価総額対比で、自社はミーティングが少ない気がする」と思った時には、改善できる部分がないかと考えてみるといいかもしれません。あるいは、妥当な株価水準だと思われているから取材が来ないのであれば、「妥当な水準だったら別にいいよね」とするのか、「いやいや、市場の評価が低いからもっと成長ストーリーを推していかなければいけない」「周りに埋もれているなら、もう少し魅力的なエクイティストーリーを考えなければいけない」というような検討の仕方ができるのではないかと思います。その他市場系指標から見る取材件数 - 売買代金
関本:売買代金です。これはイメージしやすいところだと思います。私はけっこう「5,000万円から1億円を超えてくると取材しやすくて、2億円を超えてくるとロングオンリーも入りやすいですかね」とお話しすることが多いのですが、今回の調査でも実際にそうなっていると思います。スライドの表を見ると、1日あたりの売買代金が3,000万円未満の会社は取材件数が5件以下と回答したところがかなり多いです。売買代金が増えていくと取材件数もどんどん増えていって、6,000万円を超えてくると一気に増えます。平均12件か13件という状況は2億円まではあまり変わらず、2億円を超えると平均20件を超えてきます。6,000万円と2億円は、売買代金の基準として考えられると思っています。したがって、例えば「今うちの売買代金は1日あたり3,000万円だから、どうにかして6,000万円や7,000万円まで上げたい」という目標はワークすると思います。また、「うちの売買代金は6,000万円から7,000万円のため、もうちょっと増やしたい。いや、でも意味のある効果を感じるには2億円まで増やさないといけなくて、それはけっこう難しい」という判断にも使えると思います。その他市場系指標から見る取材件数 – バリュエーション
関本:バリュエーションです。このスライドだけグラデーションで示しているとおり、よくわかりません。「高いと多い気がする、低いと少ない気がする」というような部分もありますが、平均を取ると、バリュエーションがPrice/OPで5倍未満、PERで1.5倍くらいです。7倍の会社の平均件数は12件なのに対して、30倍くらいありそうな会社は20数件あることを考えると、バリュエーションが高いほうが取材に行きやすいケースが多いのではないかと思います。これは裏を返すと、ビジネスモデルがサービスや情報・通信業などの高いものである、またバリュエーションが高いことは注目度も高く人気もあり、流動性もあるためこのようになっているという表現もできます。したがって、一概にバリュエーションが影響するとは言いにくいです。おもしろいのは、Price/OPで30倍を超えてくる、PER50倍近くになる会社は逆に取材件数が減っています。けっこう示唆的だと思いますが、投資家が「バリュエーションが割高かもしれないな」「ここからどれくらいリターンを取れるんだっけ?」という思考をした時に劣後してしまうと、取材に来る人が少なくなるかもしれないと思います。足元で見た目のPERが高くて取材件数が増えていないと思った時には、「PERが下がるだろうという将来の見通しをきちんと伝えなければいけない」という考え方ができるのかもしれません。市場系の指標のまとめ
関本:市場系の指標のまとめです。仮説や経験として、時価総額100億円、300億円、500億円で取材件数に差がある気がすること、売買代金ではいったん6,000万円/日くらいを目指したく、その後は2億円くらいまであまり変わらないことなどがあります。6,000万円/日や2億円/日というと「ヘッジファンドとロングオンリーの差かな」とも思っています。私はどちらもしていましたが、ヘッジファンドは6,000万円/日くらい売買があったら取り組めるという考え方もありますし、ロングオンリーだと「少なくとも2億円/日ないと駄目だよ」とファンドマネージャーに言われることもあります。そのような意味での水準の差かと思います。バリュエーションについては、「割安だから話を聞きに行こう」ということはあまりないため、やはり成長ストーリーがあってこそだとまとめられるのかと思っています。売上成長率①
関本:続いて、業績系の指標でお話しします。まずは売上成長率です。売上成長率は3年間の平均を取り、3年間平均で売上がマイナス成長の会社、0パーセントから5パーセント伸びた会社、5パーセントから10パーセント、10パーセントから15パーセントと区切っています。市場系の時価総額や売買代金と比べると関係が見えにくいです。売上成長率②
関本:ほぼ影響がないかもしれませんが、時価総額で区切って抽出してみました。そうすると、時価総額500億円以下だと気持ちスライドの右下の件数が増えています。例えば、売上成長率が15パーセントより低い企業の中では50パーセント以上が5件以下の取材件数で、売上成長率15パーセント以上では5件から10件程度に増えてきます。ごく緩い関係ですが、売上成長率が高いほうが取材件数は増えやすいのかと思います。逆に、時価総額500億円以下では、売上成長率が15パーセント以上あると、投資家に成長企業として見られやすいのかと思います。一方で、時価総額500億円以上で平均を取ると、売上成長率10パーセントくらいはあるほうが取材件数は増えると思いますが、売上の成長がない企業であっても100件以上取材がある会社もあり、幅広いです。意外と時価総額が大きくなってきた後は「成長しているから見に行こう」ではなく「もうこの会社のことは知っているけれども、足元はどうなっているんだ?」のような、企業そのものの人気ではなくて、知っている上で今どのような状況なのかというテーマ性のほうが大事になってくるのかもしれないです。また、売上成長率が50パーセント以上などかなり成長している企業については、逆に取材件数の平均が少し減っています。サンプル数が少ないためたまたまともいえると思いますが、一方で、「業績が伸びてピークアウトしている」と考えられている可能性もあると思っています。そのような意味では、「この成長はまだ続くのです」としっかりと主張できるかどうかで、取材件数が増減するのかもしれないと思いました。利益成長率①
関本:利益成長率です。こちらもやはりばらつきがあり、利益成長率が高いほうが取材件数は多いとは言いにくいです。利益成長率②
関本:ただし、時価総額500億円以下では、利益成長率が低いよりも高いほうが、気持ち取材が増えやすいような関係性が見てとれます。一方で、時価総額500億円以上ではやはり難しいです。かなりバラバラで、利益成長が高いことを理由に会うのではない気がします。時価総額500億円以上で利益成長率が10パーセント以下の会社だと、取材件数は5件以下や5件から10件がけっこう多いのですが、利益成長率15パーセントを超えてくると5件以下の会社はなくなっています。そのような意味では、最低限の利益成長があるほうが取材に行きやすい気持ちはあるかと思いつつも、重要なファクターとは言いにくいです。富山:成長投資を積極的にするような会社はどうですか? 関本:それはなかなか難しいところです。私も気になったのですが、この2年から3年くらいはコロナ禍後で、きちんと利益を出す会社のほうが望ましいという動きがあり、SaaS系の会社でも利益を動かす方向に動いてきたと思っています。それがまるで意味がなかったということは、おそらくないです。周りがみんな利益を出している中で、きちんと利益を出す取り組み、体制を示せたことは非常にポジティブです。しかし、利益を出しているから取材の件数が増えるとは言いにくいのではないかと思います。逆に「周りが利益を出している中で利益を出さないで投資している」と悪目立ちすると取材件数が落ちる可能性もあります。やはり利益を削って成長投資に取り組むのは、それなりの覚悟が必要だと思います。ただし、成長投資とバランスを取って利益成長させたからといって、投資家から高く評価されることはないのではないかと思います。業績系の指標のまとめ
関本:業績系の指標のまとめです。市場系の指標ほどクリアな関係性がないのですが、気持ち成長率が高いほうが目立つこと、時価総額で分けた時に、500億円以下では成長性が意識されている気がするものの、中堅から大企業ではもう知られているという前提があるため、あまり関係性が強くは見られないことがあります。明日からできることとしては、2桁パーセントの売上成長や、それをきちんとイメージできるように伝えることです。中期経営計画を作る会社は、計画を作る時にそのようなことも意識して考えてみるといいかもしれないと思いました。時価総額
関本:ここからはセルサイド関連のお話です。セルサイド関連でよく「うちは取材してもらっているのにレポートが書かれない」「セルサイドの取材件数を増やせない」という相談がたくさんあります。私も疑問に思ったため、今回の調査を含めて考えてみたいと思います。まず、時価総額との比較です。やはり時価総額50億円以下の企業にセルサイドが取材に行くことはほぼなく、平均0.3件です。この段階だと個人投資家がメインになるというのが正しいと思っています。時価総額が50億円から100億円になると「1件くらいは経験がある」という会社もちらほら出てきます。意外と閾値としては低く、見てくれるセルサイドが1人はいると思っています。時価総額が200億円を超えてくると平均2件から3件になり、2,000億円を超えてくると急に増えています。彼らのビジネスにおいて、大企業と取引する運用会社と話をし、大企業の収支を出して100億円や200億円でトレードしてもらわないと、自分の会社のパフォーマンスにつながりません。そのため、やはり優先順位として時価総額が大きいところを見ているのかと思います。セルサイド取材数とセルサイドカバー
関本:スライドはセルサイド取材数と、実際にセルサイドのカバレッジがあるかについてです。やはりカバレッジがない企業はセルサイドの件数があるというわけではないです。私の見た中だとセルサイドカバレッジがない会社が146社あり、そのうち取材数が1件もないのは62社で、80社くらいはセルサイドとミーティングをしています。したがって、カバレッジがないからといって絶望するほどではなく、ミーティングは来ると思っています。一方で、「セルサイドが取材したことがあるのにレポートが書かれない」ということは、おそらく取材したことのある会社のうち半分以上が思っていることです。私もよく相談を受けますが、「あまり気にしなくても大丈夫」と思っていいと思います。また、カバレッジが増えていくとセルサイドのミーティングは増えていきます。ここで出てくる疑問が「カバーしていないのになぜ会いに来るのだろう?」ということだと思います。セルサイドからするとレポートを書くのはけっこう大変だそうです。レポートは「パフォーマンスとして、これくらいある」とバリュエーションを出し、社内の会議をとおして、それが業績や自分のパフォーマンスにつながるのか、投資家に感謝されるのかも含めて考えて出すものです。レポートを書くほどではなくても「この会社を知ってる? 最近取材に行った? 何と言っていた?」と聞かれた時に応えられるかどうかというのも、証券会社のアナリストの価値なのです。カバレッジするほどではないが、周辺取材的に話を聞きに行って投資家に聞かれた時に返せるようにしておくことは、おそらくセルサイド担当者のニーズでもあり、その一環としていろいろと取材に回っているのだと思います。「カバレッジがない」「レポートを書いてくれないのかな?」と思うよりはソフトでおもしろい話をしてみます。そして、セルサイドによるバイサイドミーティングの時に「前にこの会社の話を聞いたのですが、おもしろかったです」と吹聴してくれると、巡り巡ってIR取材が入るかもしれません。そのため、セルサイド取材もきちんと対応したほうがよいと思います。成長率とセルサイド取材数①
関本:成長率とセルサイド取材数についてです。正直に言うと関係性はわかりません。スライド上段の表で右端にある中央値とは、平均値のことです。取材数が1件もない会社の売上成長の平均値が約6パーセントであることに対して、7件以上取材が入っている会社の平均値が約7パーセントだと示しています。つまり、セルサイド取材が1件もない企業と、セルサイド取材を7件以上行っている企業で、売上成長率に差はないと言っているようなものです。成長率とセルサイド取材数②
関本:同じデータを時価総額で絞ってみると、おもしろい結果が出ました。時価総額が500億円以下の場合には、売上・利益の成長率が高いほうがセルサイドは取材に来ています。これは明確な事実だと捉えています。セルサイドは「この企業は成長率が高いな」「おもしろいかもしれない」という考えで取材に来ます。それから取材を経て、「仮に今後の成長率が2倍、3倍になるとしたら、投資家に伝えて『よい銘柄をありがとう』と言ってもらえるかもしれない」と考えるのだと思います。時価総額が500億円以下で、セルサイドとのミーティングを7件以上している企業は、実は利益成長率の中央値が約42パーセントです。高成長な企業だと、証券会社の人たちも会いに来るのだと思われます。成長率とセルサイド取材数③
関本:このスライドは時価総額500億円以上に絞った状態です。先ほどよりも数値が緩いです。時価総額500億円以下では、セルサイド取材が1件もない会社だと、売上成長率の中央値が6.9パーセントでした。その一方で、7件以上取材が来ている会社だと約13パーセントまで数字が伸びており、倍以上の差がありました。時価総額500億円以上の場合だと、取材が1件もないのが2.7パーセント、7件以上あると5.3パーセントです。それでもおよそ2倍の差がある状況ですが、先ほども3パーセント程度の差だったため、時価総額500億円以下の場合との差はあまりないです。利益成長率に関しては、取材が7件以上来ているほうがやはり高いため、「利益成長率が高いほうが、セルサイドが取材に来そうな印象はある」ぐらいで見ていくのがいいと思います。成長率とセルサイド取材数④
関本:基準を上げて、時価総額2,000億円以下に絞ってみました。すると、「時価総額2,000億円以下だと、売上・利益が高いほうが、セルサイドの取材が来やすそうだ」という傾向が明確に出てきました。成長率とセルサイド取材数⑤
関本:おもしろいことに、時価総額2,000億円以上に限ると、取材件数が1件もない会社と、7件以上の会社との間で業績成長の差はほとんどありません。したがって、時価総額2,000億円まで上がると、「業績には関係ないが、とりあえず見なければいけない」という動きが出てくるのだと思います。ただし、サンプル数が少ないため、あくまでも参考程度のイメージです。以上のことから、事業規模が一定以上の会社であれば、業績以外の個別ファクターなど、業績成長よりも、その前段階で取材するかどうかが決まっているように思われます。セルサイド関連のまとめ
関本:セルサイド関連のまとめです。まず、時価総額が50億円以上になると、セルサイドのミーティングが来ます。一度も会ったことがないのであれば、アプローチをかけてみてもいいかもしれません。あるいは、バイサイドなどに依頼して紹介してもらうのもいいです。ただし、時価総額を200億円、500億円まで増やせばセルサイドの取材件数が増えるかというと、そうでもありません。1社、2社しか証券会社が来ない状況から無理やり増やそうとするよりは、「時価総額をきちんと上げていこう」「もっと他のアプローチを考えたほうが効率がよいかもしれない」ということです。また、カバレッジから考えた時に、ミーティングがあってもレポートを書いてもらえません。おそらく6割、7割の会社がそう思っているため、「ご安心を」とは言えませんが「そういうものなんだな」と思っているほうがいいかもしれません。時価総額の規模によって影響が異なることが、今回の新しい発見だと思っています。企業の規模が大きくなればなるほど、成長性よりもその前段階、成長前の変化点などを、投資家や証券会社が気にするようになると思います。以上が、セルサイドとの付き合い方だと思います。単純集計結果
関本:最後は機関投資家分析です。このデータはほとんど、どこにも提示されていないのではないかと思っています。日本IR協議会などで作っているかもしれませんが、私は見たことがありません。このような個別情報を共有いただきありがとうございます。回答者の方には、ファンドの名前を並べて、この四半期で会った覚えのある投資家にチェックを入れてもらいました。全部で5、60社あったにもかかわらず1個ずつチェックいただき、本当にありがとうございます。集計の結果、投資家にたくさん会っている企業と、そうでもない企業、まったく会っていない企業がありました。時価総額基準①
関本:時価総額から見てみましょう。スライドのグラフは左から順に、投資家にたくさん会っている会社と考えてもらえればと思います。上位10社は、時価総額の中央値が500億円前後を切っている会社が多く、かなり幅広く投資家と会っている会社だと思っています。個別の会社名については、補足資料を見ていただくのがいいと思いますが、みなさまもご存知の企業が多いのではないのかと思います。某日系大手ロングオンリーのような会社や、某国内大手ヘッジファンドのような会社がずらっと並んでいます。もし「この会社にも会っていなくて、そんなに取材件数が多くないな」とみなさまが思うようでしたら、彼らの取材があってもいいかもしれません。あるいは証券会社に取材をスケジュールできないか依頼したら、意外と受け入れてくれるかもしれないと思います。一方でO社・U社・V社のような、時価総額の中央値の段階で1,000億円や1,500億円を超えている企業もあります。実はこれらも国内大手のロングオンリーだったり、外資系大手のロングオンリーだったりします。「この人たちに会って買ってもらいたい」ということはどの企業も思っていますが、時価総額などで見た時のサイズのハードルが高いかもしれないということは、把握しておいたほうがいいと思います。したがって、「今のフェーズだったら、うちはこの会社に買ってもらえる」という考えもあるかもしれません。おそらく、日本企業の時価総額のグループから見た時に「1,500億円はけっこう遠い数字で、それと比べるとうちは小さいぞ」と考える企業のほうが多いと思います。やはり、ターゲットにする会社によって、件数は違ってくると思います。取材件数が少ない会社、例えばグラフ右側のAK社・AL社・AM社などは、大型株を中心にしている状況なのかと見えたりします。時価総額基準②
関本:先ほどのグラフは時価総額の中央値でしたが、今度は最低値です。これを見ると、中型株・大型株を見ているファンドと、小型株まできちんと見ているファンドとの差が見えてきます。やはり、上位10社は最低値で100億円を下回っています。「規模は小さいけれども僕らは会いますよ」と実績としてきちんと出ていることを考えると、「機関投資家の取材が少ない」「1件もない」「数件だ」という時は、アプローチしてもいいプレイヤーなのかもしれません。反対に、N社・V社・AB社は、最低値で200億円を超えている状況です。「この会社が会いに来るのは珍しいが、買ってくれるかは少し微妙だ」「うちの会社は半年前の時価総額が100億円だったものの、今は改善してきて200億円になったから、もしかしたらもう少し幅広い、高めの投資家も狙えるかもしれない」という戦略もありだと思います。そのような意味では、この時価総額の最低値リストと補足資料を見比べてみると、おもしろいと思います。富山:これは、補足資料と照らし合わせて、自社が100億円未満だとしても会ってもらえる可能性がある投資家というところで、検討することができるのですよね? 関本:そうですね。したがって、N社・O社・P社・V社・AB社以降を除く企業は、時価総額が小さくても会ってくれている会社だということになっています。一方で、例えばU社などは、時価総額の中央値で見た時には1,800億円です。しかし、最低値を見ると100億円以下の企業にも会っています。このような会社は、100億円以下の企業の将来性や「ここは儲かりそうだな」と考えたのか、はたまた別の考え方、例えば周辺取材で行っただけというような事情もあると思われます。こうした事情は本来の目的からピントがずれるのかもしれないとは考えています。このような資料の使い方を考えており、私自身もおもしろいなと思っています。売買代金①
関本:次は売買代金です。こちらも時価総額と同じ傾向が見られますが、今回の調査で、時価総額はわりと低いところでも取材しているのに、売買代金は高いところを求めている企業が見えてきました。売買代金②
関本:取材先企業の3ヶ月の売買代金最低値では、会社によっては1日の売買代金が500万円、1,000万円と、まったく売買がないところもありました。先ほどお話ししたように、取材先の3ヶ月平均売買代金が5,000万円や1億円もあったら、とりあえず会ってくれるところはあるのかもしれないと思いました。富山:売買代金がある程度あれば、時価総額が小さな会社でも機関投資家はミーティングを経て買うのですか? 関本:よい質問だと思います。「あまり買わないのではないか」というのが正直なところです。2,000億円を運用しているファンドの担当者からすると、どうしても管理が難しいため、「1パーセントぐらい買いたいな」などと思うわけです。しかし、「この会社を20億円買うと、時価総額の10パーセントをうちが買うことになるんだけどな」と考えると、やはり買えないと思います。「おもしろそうだからとりあえず会って、周辺の話も聞いてみておもしろかったけれども、投資するにはもう少し大きくなってくださいね」「もうちょっと売買代金を上げてください」という流れになってしまうのは、仕方がないと思います。「会いに来てくれる=買ってくれる可能性があるではない」というのが、私が持っている感覚です。時価総額×売買代金

関本:先ほど「時価総額の要求はわりと高いのに売買代金が低い」という話をしました。スライドのグラフを見た限りでは、M社・N社・U社・Y社・AA社・AG社・AL社が、それに近いと思っています。M社は時価総額中央値は750億円で、500億円を割っているぐらい低くはありませんが、低い層です。しかし売買代金は4億円ぐらいを求めています。実は、時価総額が750億円ぐらいの会社に求める売買代金は、他の会社を見ると2.5億円ぐらいあったら大丈夫と言っています。しかし、M社はその1.5倍ぐらいの売買代金を求めているわけです。このような傾向は、大手の会社や内需ギャップを見ているヘッジファンドなどに多いです。お客さまからの解約があった時に、すぐに株を売ってお金を作り、返金しなければいけないなどといった理由があるからこそ、高い売買代金を好む傾向があります。
関本:時価総額のグルーピングについてです。補足資料にも書いていますが、全体の比率にだいたい等しく、まんべんなく会っている企業や取材の中で小型寄りに会っている、あとは極めて大型寄りといったグループがあります。「うちの今のフェーズから考えると、C社・Q社・T社・X社・Z社・AJ社は、会っていなかったらアプローチをかけてもいいかもしれない」「うちはこれまでこの会社と会ってきたが、時価総額が上がり成長してきた中で、中型の企業でも見てくれるK社・P社・S社・AD社・AO社にもアプローチをしたら会ってくれるんじゃないか?」というように、このクラスターを使えればと思っています。ちなみに、私が「そんなことがあるんだ」と感じた配分がこの中にあります。スライド内の「大型+Mid Small」は、時価総額2,000億円以上の企業に取材している割合と、500億円から1,000億円の企業に取材している割合が高いです。少し変な配分ですよね。流動性が高いところでマーケットにキャッチアップするような運用をしつつ、時価総額が500億円から1,000億円ぐらいの会社が倍になるところでアルファを稼ぐ、といった戦略を行っていると、おそらくこのような配分になるのかもしれません。逆に、「500億円以下は流動性が低すぎて見ません」「1,000億円から2,000億円も、注目度が上がりすぎてアルファが取りにくいから見ません」というような、大型とMid Small両方の傾向を持つ企業もいるということは、今回調べてみておもしろい発見でした。
関本:成長率でのイメージです。機関投資家は、今回の母集団全体と比べて成長率が高い企業に会っているのか、それとも低い企業に会っているのか、はたまた平均くらいの企業に会っているのか、という指標になっています。例えば、スライド図の一番右側にぽつんとある点を見てください。これは今回のユニバース約160社のうち、平均値と比べて6パーセントぐらい売上成長率が高い企業というイメージです。さらに、営業利益の成長率も20パーセント近く高い企業です。つまり、高い成長志向を持つ企業を見ていることになります。また、赤い点(平均値)の近くにばらついている企業は、比較的まんべんなく機関投資家が取材している会社です。逆にスライド左下側に飛び抜けている会社は、「業績が悪いところへ会いに行く」という機関投資家が取材している会社です。このグラフの見方としては、「うちは今からまさに利益を出して回収するフェーズだ」という時には、「できれば売上成長を抑えても利益を伸ばすところを好む機関投資家と会えたらいいな」ということです。「うちは業績が悪い状況だが、来期や再来期ぐらいからはボトムアウトしていくはずだ」という場合には、スライド左下の会社を取材する機関投資家が向いているかもしれません。そのような使い方ができると思っています。
関本:グルーピングをして見ていきます。A社・B社・G社・I社・L社・M社・O社・P社・Y社・AE社・AI社・AK社は、まんべんなく会っています。一方で「売上成長重視」は、全体と比べて売上がより成長している会社に取材していますが、実はその企業の利益成長率は、全体の平均を下回っている会社です。したがって、見方によっては、費用を使ってでも売上を伸ばしている会社です。「利益成長重視」は、売上で見るとフラットか減収していますが、利益が大きく伸びている会社です。「成長企業」は売上も利益もしっかり伸びている会社です。「コントラリアン」は逆張り志向で、売上・利益がユニバースから比べて劣っている会社に取材を行っています。時価総額が小さいところはどうなのかと思ったのですが、これも傾向が見えてきています。本来、G社などは大型株まで含めるとまんべんなく会っている状態でしたが、時価総額500億円以下に限ると「売上成長はきちんとしてね」という傾向です。同じように、I社・L社・S社のような会社は、もともと全体に並ぶような平均に近い水準を見る「売上成長重視」型ですが、小型株に対しては「売上も利益も成長してくれないと困る」という傾向です。時価総額が小さくなると、モデレートなグロースというよりは、しっかり成長する企業が欲しいのだと思います。以上のことから、一概に「この会社はなんでも会うからうちでも大丈夫だ」と考えるのは違うかもしれません。会社のフェーズによっては、フィットする企業が他にもあると思います。一方でY社はおもしろいです。全体の比率に類似していますが、小型株になるとより足元で低めな数値の企業を取りにいきます。2倍、3倍とターンアラウンドしていくところを取りにいきたがる会社が、Y社ではないかと思っています。
関本:続いて、「国内ロングオンリーがよい」「海外ロングオンリーがよい」「ヘッジファンドは嫌だ」というような話です。今回、独断と偏見で各社の属性を分けてみましたが、時価総額の中央値や売買代金の状況は、国内ロングオンリーとヘッジファンドではあまり違いはありません。ヘッジファンドのほうが、気持ち売買代金が高いほうを期待すると思っています。一方で、海外ロングオンリーがかなり目立っており、想定する時価総額が高そうだということを今回感じました。会社のフェーズによっては「『海外ロングオンリーに買ってほしい』というのは、ハードルが高いのではないか」と話しています。
関本:機関投資家からの取材関連まとめです。先ほどのスライドで見るとA社からK社、L社などたくさん会っている業者は、ひどい業績でなければ会ってくれると思われるため、積極的にアプローチをかけてもいいと思います。売買代金が5,000万円や1億円というラインは、最初の時価総額・売買代金のフェーズと同じようなところです。このあたりを超えていたらいいのではないかと思っています。時価総額帯で区切るとファンドの傾向が見えてくるため、これに沿って「うちはこのファンドと話しやすいんじゃないか?」という発想もできるかもしれません。基本的には、増収増益の企業を好む投資家が多いです。しかし中には「今は投資フェーズで利益が減っている」ことを好む会社もいるかもしれないですし、「今はピークアウトしていて弱い状況である」ことを好む会社もいます。フェーズに合わせてコミュニケーションを取れば、その時その時に応じた、潜在的な買い手を探しやすいかもしれません。富山:関本さんの資料は実戦で使えそうですね。関本:ありがとうございます。このようなアンケートを行っている人をあまり見たことがないため、補足資料をご活用いただければと思いますし、「補足資料が欲しい」という方は、ぜひ次回のアンケートにも参加してください。
時価総額でのグルーピング
関本:時価総額のグルーピングについてです。補足資料にも書いていますが、全体の比率にだいたい等しく、まんべんなく会っている企業や取材の中で小型寄りに会っている、あとは極めて大型寄りといったグループがあります。「うちの今のフェーズから考えると、C社・Q社・T社・X社・Z社・AJ社は、会っていなかったらアプローチをかけてもいいかもしれない」「うちはこれまでこの会社と会ってきたが、時価総額が上がり成長してきた中で、中型の企業でも見てくれるK社・P社・S社・AD社・AO社にもアプローチをしたら会ってくれるんじゃないか?」というように、このクラスターを使えればと思っています。ちなみに、私が「そんなことがあるんだ」と感じた配分がこの中にあります。スライド内の「大型+Mid Small」は、時価総額2,000億円以上の企業に取材している割合と、500億円から1,000億円の企業に取材している割合が高いです。少し変な配分ですよね。流動性が高いところでマーケットにキャッチアップするような運用をしつつ、時価総額が500億円から1,000億円ぐらいの会社が倍になるところでアルファを稼ぐ、といった戦略を行っていると、おそらくこのような配分になるのかもしれません。逆に、「500億円以下は流動性が低すぎて見ません」「1,000億円から2,000億円も、注目度が上がりすぎてアルファが取りにくいから見ません」というような、大型とMid Small両方の傾向を持つ企業もいるということは、今回調べてみておもしろい発見でした。成長率でのイメージ①
関本:成長率でのイメージです。機関投資家は、今回の母集団全体と比べて成長率が高い企業に会っているのか、それとも低い企業に会っているのか、はたまた平均くらいの企業に会っているのか、という指標になっています。例えば、スライド図の一番右側にぽつんとある点を見てください。これは今回のユニバース約160社のうち、平均値と比べて6パーセントぐらい売上成長率が高い企業というイメージです。さらに、営業利益の成長率も20パーセント近く高い企業です。つまり、高い成長志向を持つ企業を見ていることになります。また、赤い点(平均値)の近くにばらついている企業は、比較的まんべんなく機関投資家が取材している会社です。逆にスライド左下側に飛び抜けている会社は、「業績が悪いところへ会いに行く」という機関投資家が取材している会社です。このグラフの見方としては、「うちは今からまさに利益を出して回収するフェーズだ」という時には、「できれば売上成長を抑えても利益を伸ばすところを好む機関投資家と会えたらいいな」ということです。「うちは業績が悪い状況だが、来期や再来期ぐらいからはボトムアウトしていくはずだ」という場合には、スライド左下の会社を取材する機関投資家が向いているかもしれません。そのような使い方ができると思っています。成長率でのグルーピング – 時価総額500億円以下
関本:グルーピングをして見ていきます。A社・B社・G社・I社・L社・M社・O社・P社・Y社・AE社・AI社・AK社は、まんべんなく会っています。一方で「売上成長重視」は、全体と比べて売上がより成長している会社に取材していますが、実はその企業の利益成長率は、全体の平均を下回っている会社です。したがって、見方によっては、費用を使ってでも売上を伸ばしている会社です。「利益成長重視」は、売上で見るとフラットか減収していますが、利益が大きく伸びている会社です。「成長企業」は売上も利益もしっかり伸びている会社です。「コントラリアン」は逆張り志向で、売上・利益がユニバースから比べて劣っている会社に取材を行っています。時価総額が小さいところはどうなのかと思ったのですが、これも傾向が見えてきています。本来、G社などは大型株まで含めるとまんべんなく会っている状態でしたが、時価総額500億円以下に限ると「売上成長はきちんとしてね」という傾向です。同じように、I社・L社・S社のような会社は、もともと全体に並ぶような平均に近い水準を見る「売上成長重視」型ですが、小型株に対しては「売上も利益も成長してくれないと困る」という傾向です。時価総額が小さくなると、モデレートなグロースというよりは、しっかり成長する企業が欲しいのだと思います。以上のことから、一概に「この会社はなんでも会うからうちでも大丈夫だ」と考えるのは違うかもしれません。会社のフェーズによっては、フィットする企業が他にもあると思います。一方でY社はおもしろいです。全体の比率に類似していますが、小型株になるとより足元で低めな数値の企業を取りにいきます。2倍、3倍とターンアラウンドしていくところを取りにいきたがる会社が、Y社ではないかと思っています。投資会社の属性別
関本:続いて、「国内ロングオンリーがよい」「海外ロングオンリーがよい」「ヘッジファンドは嫌だ」というような話です。今回、独断と偏見で各社の属性を分けてみましたが、時価総額の中央値や売買代金の状況は、国内ロングオンリーとヘッジファンドではあまり違いはありません。ヘッジファンドのほうが、気持ち売買代金が高いほうを期待すると思っています。一方で、海外ロングオンリーがかなり目立っており、想定する時価総額が高そうだということを今回感じました。会社のフェーズによっては「『海外ロングオンリーに買ってほしい』というのは、ハードルが高いのではないか」と話しています。機関投資家からの取材関連まとめ
関本:機関投資家からの取材関連まとめです。先ほどのスライドで見るとA社からK社、L社などたくさん会っている業者は、ひどい業績でなければ会ってくれると思われるため、積極的にアプローチをかけてもいいと思います。売買代金が5,000万円や1億円というラインは、最初の時価総額・売買代金のフェーズと同じようなところです。このあたりを超えていたらいいのではないかと思っています。時価総額帯で区切るとファンドの傾向が見えてくるため、これに沿って「うちはこのファンドと話しやすいんじゃないか?」という発想もできるかもしれません。基本的には、増収増益の企業を好む投資家が多いです。しかし中には「今は投資フェーズで利益が減っている」ことを好む会社もいるかもしれないですし、「今はピークアウトしていて弱い状況である」ことを好む会社もいます。フェーズに合わせてコミュニケーションを取れば、その時その時に応じた、潜在的な買い手を探しやすいかもしれません。富山:関本さんの資料は実戦で使えそうですね。関本:ありがとうございます。このようなアンケートを行っている人をあまり見たことがないため、補足資料をご活用いただければと思いますし、「補足資料が欲しい」という方は、ぜひ次回のアンケートにも参加してください。質疑応答:しばらく取材のない投資家へのアプローチについて
富山:「しばらく取材のない投資家へのアプローチで、何かよい方法はあるでしょうか?」というご質問です。関本:これは2パターンあると思います。完璧な把握はできませんが、「1回売買して妥当な水準になったので、今はもう新しいイベントがない限りは見ていない」という層と、「だいたい思ったとおりに動いているから、別に取材しなくてもいい」と思っている層です。後者の場合は放っておいても取材に来るので、そのままにしておけばいいと思います。ただし前者の場合は、投資のスコープから外れている可能性があります。その際は、「こういうタイミングがあって業績が変わりそうなんですよ」と材料を併せて説明してあげるのがいいと思います。例えば、中期経営計画の見直しは大きなトピックです。また「社長が交代したため、新社長と一緒に会いに行きたい」「戦略について話したいところもあるので、ミーティングはどうですか?」といった変化をつけてあげます。このように「新社長が行きます」「中計を発表しました」「直近の修正について説明したいです」「状況が変わってきていまして」など、何が変わったかを付け加えると、相手の興味を引けるかもしれません。また、取材頻度は投資家によって違います。投資期間次第でもあり、私は来期の情報が欲しいため、第3四半期はけっこう取材に行きますが、上期の段階だと得られる情報が少ないので行きません。上期を飛ばして第1四半期の出だしを確認し、第3四半期の締め前にまた確認します。第2四半期と通期はなにか大きいことが起きていない限り、資料を見て満足してしまうようなところがあります。質疑応答:セルサイドとバイサイドの違いについて
富山:「セルサイドとバイサイドで着眼点はどのように異なりますか?」というご質問です。関本:大きく異ならないのではないかというのが、私の感覚ではあります。ただし、セルサイドは調べ尽くす傾向にあるため、細かい情報が出ているほうが感謝されやすいということは、企業のIR担当者と話していて思うところです。企業側で四半期の推移や増益分析をしっかりと行っている会社はありますが、セルサイドが調べる時は取材を何回も行い、エキスパートコールも行うなど、細かく調べます。セルサイドと比べると、バイサイドは瞬発的です。「資料が出てきた。パッと見る。違和感があるから聞きに行く。これはおそらくマーケットが気づいていない。行かなきゃ」という感覚でいるため、バイサイドのほうが変化点やポイントに早く気づける資料を求めるかもしれません。セルサイドはある程度ラージキャップでしっかり調べて、おもしろいプランや材料があればあるほどよいということかと思いますが、私はセルサイドにいたことがないため、あくまでも想像です。質疑応答:決算説明資料の情報量について
富山:「投資家がIR取材をしなくても、決算説明会資料を読めばわかるほど、数値の増減要因等を丁寧に記載しています。IR取材を増やすためには、これはやめたほうがいいでしょうか?」というご質問です。関本:これはなかなか難しく、本質的な質問です。「取材を増やすために、数値の増減要因等の記載をやめたほうがいいのだろうか?」という質問に対しては、「投資家が求める最小限の情報公開で済ませたい」と、私がIR支援をしている会社にはお話ししています。ピンポイントに情報が伝われば「この会社はうまくいっているんだな」「この会社はこの点を警戒していて、計画に織り込もうとしているんだな」とすぐにわかります。しかし、情報過多にすると、投資家から見た時に注目点がわからなくなってしまい、会社側が伝えたいことが伝わらなかったり、余計な質問を生んでしまったりします。会社側としては、うまくいっている取り組みを話したいのに、併せて開示したことばかりを質問され、「これは業績にあまり関係ないから、聞いてもらわなくてもいいんだけどな」ということもあります。こうしたことが発生すると、30分や60分しかないミーティングのうち、5分、10分と時間を取られて無駄になってしまいます。そのため、情報公開は必要最低限にしたいと私は考えています。記載量は多すぎるのも良くないと思っています。一方で、数値の増減の要因等を記載しなかった場合、要は必要最低限の情報すら開示されていなかった場合は「この会社は伸びているけどよくわからない。いいや、次にいこう」と、そもそもIR取材に来ない可能性もあるわけです。加減が難しいのですが、興味がそそられるだけではなく「周辺の事業環境はどうなのか?」「資料に書いてある『人事体制を見直しました』というのが中長期にどう貢献するのか知りたい」など、「ちょっと取材に行って聞いてみるか」と思える要素をちりばめる、絶妙な塩梅が求められます。富山:難しいですね。関本:「数値増減の要因を資料に記載するのは、IR取材を増やすためにはやめたほうがいいですか?」という質問には、やめないほうがいいですとお伝えします。なぜかというと、「この要因がわからないんだったら、もう投資をしないほうがいいな」と相手が考えてしまう可能性があるからです。例えば、数値増減の要因を資料に書かなければ、取材で「計画対比の増減のプラマイについて詳細を教えてください」と投資家が聞いてきます。その回答に10分、15分使っても無駄な話です。それよりは資料に記載して、「これを踏まえた上で、なぜこの増減になったのですか?」「是正できるのですか?」といったディスカッションに使えるほうが、より建設的です。投資家の興味を引くことができるため、数値増減の要因は丁寧に記載したほうがいいと思います。質疑応答:投資家へのメール配信について
富山:「投資家との接点が少なく、1on1依頼のメールを四半期ごとに個別で50件ほど送っていますが、成果がありません。『こういうことをメールに記載したらいいですよ』ということがあれば教えてください」というご質問です。関本:ドロップアウトした私が言うことでもありませんが、まずは「投資家がメールを見ていなくてすみません」と、謝るところから始まるかと思います。富山:ちなみに関本さんは、事業会社からのメールを1日何件ぐらい受けていますか? 関本:事業会社からのメールはそこまで多くないのですが、証券会社から「こういうレポートを上げました」「セールスコメントです」というのがずらっと来ます。毎朝メールボックスを見ると数十通は当たり前、決算期では多いと500通や1,000通来ることもあるのではないでしょうか。富山:1日にですか? 関本:そうです。ふと見るとメールソフトのフィルターで「セルサイド」と付けているフォルダに1万通も入っていて「見ていなくてごめんなさい」と思うこともあります。事業会社からは決算説明会の案内メールもたくさん来ます。そのようなフィルターしやすいメールは、フォルダに飛ばしてしまっています。富山:そのような中で、関本さんの目に留まる内容はどのようなものですか? 関本:特殊な情報が書かれていたり、見た時に興味を引かれる内容だったりすると、目に留まります。例えば「新中計を発表しました。こういうところがポイントだと思っていて、よかったら話をさせてください」などと書かれていると、「話を聞いてみようかな」と思います。「今回は修正があって、とてもよい状況です」というような内容だと「計画と違うところがあったんだったら、それを聞いてみようかな」とも思います。また、フィルターで仕分けられにくいメールの件名にしておくと、「この会社が決算を発表したんだ」「別に取材はいいけれどちょっと見てみよう」と、頭には入ってくると思うので、それだけでも効果はあると思います。他におもしろいと思ったのは、以前SHIFTのIRメールマガジンにあった「社内文化の醸成」「社内イベントについて」といった話です。「バーベキューをしました」などは興味が出ませんが、「社内のIR体制構築のためにこんなことをしました」などと書かれていると、ユニークな情報のため「ブロックしないで見てみるか」と思います。ユニークな情報が流れているほうが、目に留まりやすいかもしれないです。質疑応答:中小型企業におけるIR活動のトレンドについて
関本:「中小型企業におけるIR活動のトレンドを教えてください」というご質問です。IR活動はあまりイノベーションがありません。この2、3年で増えたのは、ログミーFinanceの書き起こしですよね。富山:ありがとうございます。関本:宣伝のようになってしまいますが、私のほうでも書き起こしを勧めています。コストパフォーマンス的に書き起こしは楽ですし、ミーティングや決算説明会に出ない人でも見返しやすいです。他には個人投資家が主催している説明会ですね。ご存知の方もいらっしゃると思いますが、Kabu Berryや湘南投資勉強会、神戸投資勉強会といった会社です。このあたりが中小型企業におけるIR活動のトレンド、いわゆる王道に近いのかとは思います。富山:この2、3年で増えたのは、Xやnoteを自社で運用することですね。関本:そうですね。SNSの活用も戦略としてあると思います。Xは社長のポストなど、時と場合においてのコントロールが難しいとは思うものの、noteは私もたまにIR noteマガジンなどを読んでいます。おもしろいですよね。また、個人投資家向け説明会に付随していることが多いオフィス見学会などもあります。「オフィスや商品を見ることができます」などと宣伝することで、中小型企業に興味を持ってくれる人が増えるきっかけになっているとは思います。富山:最近は、株主総会後の交流会を再開している会社もありますよね。関本:そうですね。コロナ禍のタイミングで取りやめていたという話でしたが、株主総会に来てくれる人が増えるし、よいのではないのかと思います。また、私は一長一短だと考えていますが、スポンサードリサーチなどもありますね。富山:わかりました。ありがとうございます。まとめ
関本:個人的にはいろいろ調べることができて、おもしろい調査でした。このデータをどのように活用できるかは、参加されたみなさまの会社でどのように見るか次第だと思っています。1つ目としては「自分たちのステータス感で、機関投資家からの取材リクエストは十分だろうか?」とあらためて確認することです。「時価総額の水準や売買代金からすると、これくらいの件数があるとよいのではないか?」と考えることです。十分もらっているならよいですが、もらっていないのだとしたら証券会社にお願いして、よいところをアプローチできるか考えてみましょう。2つ目に「どの機関投資家にアプローチをかけるべきだろう?」と考える時には、今回説明したようにファンドごとに癖と傾向があります。時価総額帯、成長企業が好き、逆張りが好きというような要素を意識して取り組めるといいのかもしれないと思います。3つ目は「機関投資家にアプローチをかけるとして、いつかけるべきか?」です。これは先ほどご説明した業績の数値を参考にするような取り組みです。「業績が悪い間よりは、ターンアラウンドが見えてくるタイミングで声をかけようかな」「実績が作れて、ガイダンスで『10パーセント成長、15パーセント成長ができます』と出してからいこうか」など、見え方が変わるタイミングを、声をかけるタイミングとして考慮すべきだと思っています。富山:ありがとうございます。IR Agentsのサービスについてもお聞かせください。弊社のIR支援のスタンス
関本:弊社のIR支援事業についてです。スタンスとしてはいろいろな会社があります。私のところでは実際に1on1取材をした後に、企業の「自分たちの会社の価値や株価をこう思っています」というところと「取材を通して私からはこう見えています」というところを踏まえて、実際の株価と比較します。市場との株価にギャップがあると感じたら、何が課題なのかを特定した上で、「戦略を考えましょう」「資料作成をブラッシュアップしましょう」「動画を作りましょう」などと提案するプロセスで行っています。無償サービス – 初回ご相談/IR取材時フィードバック
関本:初回のIR相談では無償の対応をけっこう行っています。公開情報の範囲内の問い合わせであれば、メールでの問い合わせにも対応しています。例えば「決算発表後にこんな株価の動きが出ましたが、どう思いますか?」「決算説明会資料で何か気になるところはありますか?」など、公開された情報でしたら、なんでも受けつけています。投資家の方はよく「選ぶ側」というような表現をされます。しかし私は、資本市場において投資家と企業は対等な立場だと思っています。たくさん活用していただきたいので「なんでもお気軽にご相談ください」と話をしています。有償サービス① IR資料作成サポート
関本:また、IR資料作成のサポートとして中期経営計画などを作成しています。有償サービス② 取材風IR動画配信
関本:取材風のIR動画制作支援を行ったり、対談風のIR動画も作ったりしています。有償サービス③ Model-Based 月次支援
関本:他にはModel-Basedの月次支援です。ユニークなのは、私のほうで投資家が作る業績予想モデルを作った上で、企業に共有しながら「新セグメントの成長性は情報が足りなくて入れられませんでした」「この費用はこういう表現をしたから、こういう増加を入れています」といった内容を示します。それに対して、企業から「もっと費用は増えるんです」「これは成長が織り込んでもらえていない」「どのような開示をしたらいいですか?」などの質問をいただき改善していきます。投資家の業績予想モデルをどう組み替えていくかというような発想から、IRコミュニケーションをPDCA的に改善していきましょうというサポートもしています。