前回はiDeCo(個人型確定拠出年金、イデコ)のメリットについてお伝えした。
税制優遇などメリットが多くあるようにみえるiDeCoだが、デメリットはあるのだろうか。
あえて言えばという形になるが、2つほど挙げてみよう。
●前回『「節税できる」と聞くけれど…?結局、iDeCo(個人型確定拠出年金)ってどんなメリットがある?』
原則60歳までは資産を引き出せない
例えば通常の証券口座で資産運用を行っている場合、資産を売却して現金にすればお金を引き出せる。預金ならば売却というステップすら踏まずにいつでも好きなときに引き出せるだろう。
しかし、iDeCoは「老後資金を形成するための支援制度」として導入されているので、原則60歳まではお金を受け取れない。制度の趣旨からすれば当然と言えなくもないが、運用益が出たから好きな時に売却し、引き出して使ってしまおうというわけにはいかないのだ。
これはデメリットではあるものの、見方を変えれば非常に理に適った仕組みとも言える。なかなかお金が貯められない人の場合、口座に給料が振り込まれたらすぐに引き出して使ってしまうことが多いのではないだろうか。引き出しやすいことが逆に資産形成のネックにもなり得るのだ。つまり「お金を引き出せない」というのは、「着実に老後資金を準備する」ことにつながるメリットでもあると言えるのだ。
お金に余裕がない人にとっては、いざというときに引き出せないことは気になるかもしれない。しかし、月額5000円からと少額の資金で始められるのがiDeCoのメリット。まずは自身の収入や生活費を踏まえて、いざというときの預金は別途確保しつつ、老後のためにiDeCoで積み立てる金額を決めることから始めるのも一案ではないだろうか。
長期的に見ると無視できない金額の手数料がかかる
iDeCoを始めるには、取り扱いのある金融機関で専用の口座を開設する必要がある。口座開設や維持に関しては以下の2つの手数料がかかることが特徴だ。
1つ目は、iDeCoを運営する国民年金基金連合会に支払う手数料。新規加入する際に2829円、掛金を納付する都度105円がかかる。
2つ目は、iDeCoの口座を管理する金融機関に支払う手数料。基本的にiDeCoは毎月積立のため、資産を管理する信託銀行に月額66円、そのほかに口座開設先の金融機関に口座管理料を支払う必要がある。口座管理料は金融機関によって異なるが、月額数百円ほど。なかには0円のところもあるので口座を開設する金融機関を選ぶ際は吟味が必要だ。
上述のとおり、iDeCoで基本的に毎月かかる手数料(最安)は105円+66円=171円。1回だけなら少額に見えるが、手数料は掛金を積み立てている限り払い続ける必要がある。ちりも積もれば山となるではないが、仮に30歳から60歳まで手数料を支払ったとしたら、月171円×12カ月×30年=6万1560円になる。
もっとも、この理屈はiDeCoのメリットである「毎年の所得税・住民税が安くなる」ことにも言える。節税効果のほうが手数料に比べてずっと金額が大きいので、手数料のデメリットを差し引いてもiDeCoは老後資産の形成に資する制度であることに変わりはないだろう。
投資信託へ積立を行う場合の注意点
このようにiDeCo特有のデメリットを2つ挙げたものの、発想を逆転すればメリットであったり、メリットを相殺するほどのインパクトがなかったりと、少々肩透かしだったかもしれない。
だからと言って、iDeCoは絶対に安全な制度、と言い切ることはできない。と言うのもiDeCoで積み立てる商品のラインアップには定期預金や保険のほか、投資信託という価格が変動する商品もある。投資信託に積立投資をする場合、資産を増やせることもある一方で、損をする可能性があることも頭に置いておく必要があるだろう。
投資信託の中には「ハイリスク・ハイリターン」を目指す商品もあれば「ローリスク・ローリターン」を志向する商品も存在する。iDeCoで投資信託を運用する際は自身がどれだけリスクを受け入れられるか(リスク許容度)に合わせて商品を検討した方が良いだろう。なお、商品の特性は目論見書という投資信託の取扱説明書に記載がある。金融機関のウェブサイトなどからもチェックできるので、商品選びの際には目を通しておくことをおすすめする。
Finasee編集部
「一億総資産形成時代、選択肢の多い老後を皆様に」をミッションに掲げるwebメディア。40~50代の資産形成層を主なターゲットとし、投資信託などの金融商品から、NISAや確定拠出年金といった制度、さらには金融業界の深掘り記事まで、多様化し、深化する資産形成・管理ニーズに合わせた記事を制作・編集している。