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「え? そうなんですか?」年金3年分の“もらい忘れ”が発覚…65歳専業主婦がハマったまさかの落とし穴

2025/08/28 18:00

老齢年金の受給資格を満たしていれば、その支給開始年齢が近づく頃に年金請求についてのお知らせが届くようになります。しかし、本当は受給できるようになる時期なのに、届かないケースもあります。 年金は65歳からという思い込み 佳世さん(仮名、65歳)は結婚してすぐに退職してからはずっと専業主婦です。子どもは全員社会人となっ

老齢年金の受給資格を満たしていれば、その支給開始年齢が近づく頃に年金請求についてのお知らせが届くようになります。しかし、本当は受給できるようになる時期なのに、届かないケースもあります。

年金は65歳からという思い込み

佳世さん(仮名、65歳)は結婚してすぐに退職してからはずっと専業主婦です。子どもは全員社会人となって離れて暮らすようになり、現在は夫の耕一郎さん(73歳)と暮らしています。佳世さんは大学を卒業した頃、1年ちょっとだけ会社に勤めていました。そこは親戚の紹介で入社した地元の小さい会社でした。大学生の頃から既に耕一郎さんとの結婚の予定をしており、大学卒業後1年も経たないうちに結婚したこともあって、会社の在籍期間も短いものとなっていました。退職後は30年以上、会社員である耕一郎さんの扶養に入っていました。

佳世さんは、自身の親世代と異なって年金が受け取れるのは65歳からだという情報を得ていました。「8歳上の夫は何とか60歳から年金を受けられたようだけど、少子高齢化で年齢は60歳から65歳へと引き上げられているのね。仕方ないね……」と納得します。過去に送られてきた「ねんきん定期便」にも65歳開始としての老齢基礎年金の見込額が表示されています。

年金は62歳から? 65歳から?

しかし、3年前、佳世さんは友人から「私は結婚前に7年間会社に勤めてたけど、会社に勤めていたことがあるなら年金は62歳から受け取れるよ」と言われます。その友人は62歳の3カ月前に年金の請求書が送られ62歳で手続きを済ませ、実際に受け取るようになっています。

これに対して、佳世さんには、62歳を迎えてもそうしたお知らせは来ていません。佳世さんは「私は会社に勤めていたのは短かったし、小さい会社だったし、厚生年金なんて入っていなかったのかも。私は65歳から国民年金の老齢基礎年金だけかな」と思います。

それから3年ほど経ち、65歳になる3カ月前に年金の請求書が届きました。「ようやく自分にもお知らせが来た。65歳から受け取れることになってる。やっぱり自分の年金は65歳からで、65歳前にお知らせが来るのが正解なのね」と思います。

年金事務所で発覚! 実は62歳から受給資格があった

佳世さんは「これでやっと私も年金が受け取れるようになる」と思い、65歳を迎えてから年金事務所に行きます。佳世さんは早速、窓口の職員に対し、「年金って65歳からということでいいんですよね? 私は1年ちょっと勤めた会社がありますけど、厚生年金には入っていないようですし、私の友人が言う62歳の頃のお知らせは何もなかったですし」と伝えます。職員は「昔勤めた会社がおありとのことですね。会社名や在籍期間はわかりますか?」と聞きます。佳世さんは会社名や当時のことをよく覚えていたので、その内容を伝えます。すると、職員は年金の記録を確認した上で、「そうなりますと、年金は62歳から受け取れますよ」と回答します。

「え? そうなんですか?」と佳世さんは不思議に思います。佳世さんの年金はやはり62歳からのようで、それは間違いがないようです。しかし、62歳から受け取れるのに、その年金請求のお知らせはなぜ62歳の前ではなく65歳の前に届いたのでしょうか。そして、佳世さんはこれからどのように年金を受け取るようになるのでしょうか。

●佳世さんが62歳になる前にお知らせを受け取れなかった理由とは? 後編【「本当は3年前から受け取れていたのか…」年金をもらい忘れた65歳女性が「ねんきん定期便」で見落としていたこと】で詳説します。

※プライバシー保護のため、事例内容に一部変更を加えています。

五十嵐 義典/ファイナンシャルプランナー

よこはまライフプランニング代表取締役、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®認定者、特定社会保険労務士、日本年金学会会員、服部年金企画講師。専門分野は公的年金で、これまで5500件を超える年金相談業務を経験。また、年金事務担当者・社労士・FP向けの教育研修や、ウェブメディア・専門誌での記事執筆を行い、新聞、雑誌への取材協力も多数ある。横浜市を中心に首都圏で活動中。※2024年7月までは井内義典(いのうち よしのり)名義で活動。