年金・iDeCo・保険を見直したい

父の古びた貯金箱に涙した理由、娘が親孝行に目覚めたiDeCoの本当の「使い方」

2025/10/30 12:00

老後の生活を支える有力な手段の一つである確定拠出年金(DC)には、個人が加入するiDeCo(イデコ)と企業の従業員が加入する企業型の2つの制度があります。9月16日は2016年に個人型DCの愛称が「iDeCo」に決まった記念日です。両制度の活用と資産運用の必要性を考えるきっかけとして、FinaseeではNPO法人確定拠

老後の生活を支える有力な手段の一つである確定拠出年金(DC)には、個人が加入するiDeCoイデコ)と企業の従業員が加入する企業型の2つの制度があります。9月16日は2016年に個人型DCの愛称が「iDeCo」に決まった記念日です。両制度の活用と資産運用の必要性を考えるきっかけとして、FinaseeではNPO法人確定拠出年金教育協会の協力のもと、「iDeCo・企業型DCショートエッセイ」コンクールを開催しました。全国の皆さまからご応募いただいた「iDeCo」「企業型DC」に関するご自身の気持ちをつづった力作から、栄えある優秀賞に輝いたニックネームめぐみるくてぃーさんの体験談をお届けします。

父から娘へ、時を超えて受け継ぐ未来への「夢」

私がiDeCo(個人型確定拠出年金、イデコ)を始めたきっかけは、少し変わっています。

それは、実家の片付けを手伝っていた時に見つけた、父が若いころに使っていた「貯金箱」でした。さびてぼろぼろになったその貯金箱を振ると、カランカランと乾いた音がしました。中を開けてみると、100円玉や500円玉に交じって、古びたメモが何枚も入っていたのです。

「娘の大学資金、〇〇円」
「母との温泉旅行代、△△円」

父は、その時々で、ささやかな目標のためにお金を貯めていたのです。

そのメモを見た瞬間、私の胸にジーンとくるものがありました。父は、ただ漫然とお金を貯めていたのではなく、未来の家族のために、具体的な夢や目標を「見える化」して、お金をそこに結びつけていたのです。

その時、私はハッとしました。今の私は、ただ漠然と「老後のために」と貯金しているだけで、何の目標も、具体的な夢も持っていなかったからです。私は、父の貯金箱をiDeCoという現代版の貯金箱に置き換えて考えてみることにしました。

「老後の世界一周クルーズ代」
「親孝行のハワイ旅行代」

そうやって、iDeCoの掛金が引き落とされるたびに心の中で「未来の自分」に語りかけるようになりました。

「このお金は、将来のクルーズ船代だぞ!」とか、「このお金で、ハワイのおいしいパンケーキを食べるぞ!」と。

不思議なことにそう思い始めてから、iDeCoの運用状況を確認することがこれまでのただの数字の羅列をながめるだけではなく、未来の夢がどれだけ膨らんでいるのかを確認する作業に変わりました。

iDeCoは、私たちの「お金を積み立てる」という行為に具体的な「意味」を与えてくれます。それは父が昔、さびた貯金箱に未来の夢を託したように、私たちにとってもまた、自分の未来を自分でデザインするための大切な道具なのだと思います。

父の貯金箱は、今も私の部屋の片隅に飾ってあります。iDeCoを続けていく限り、この貯金箱は私にとって未来への羅針盤であり続けるでしょう。

講評:資産形成の本当の意味を教えてくれるメッセージ

断捨離の最中に思いがけず見つかった父の古びた貯金箱とささやかな目標が書かれたメモは世代を超えて変わらない「夢を育てる」お金のはぐくみ方を教えてくれたようです。

父は貯金、娘はiDeCoと方法は違っても、ともに人生の目標をかなえる存在を親子代々、大切にしていく様子が情感豊かな描写から目に浮かんできます。

ただ漠然とではなく、具体的な目標を持って大切な人生のために資産形成を行うことの重要性を捉え直すきっかけを与えてくれます。

Finasee編集部

「一億総資産形成時代、選択肢の多い老後を皆様に」をミッションに掲げるwebメディア。40~50代の資産形成層を主なターゲットとし、投資信託などの金融商品から、NISAや確定拠出年金といった制度、さらには金融業界の深掘り記事まで、多様化し、深化する資産形成・管理ニーズに合わせた記事を制作・編集している。