iDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)は老後資金を準備する上で重要な制度の一つだが、運用中に金融機関が破綻したらどうなるのか不安に思う人も多いだろう。
実は、運用している商品タイプによって保護される範囲が異なるのをご存じだろうか?
投資信託、預貯金、保険それぞれの保護範囲を正しく理解しておこう。
●前編『自分の資産は守られる?金融機関の破たんでiDeCo口座はどうなってしまうのか』
もし金融機関が破たんしたら…iDeCoで積立していた商品はどうなる?
iDeCoの金融機関が破たんした場合、運用している商品によって保護される範囲が異なる。簡単にまとめると以下のとおりだ。
【まとめ表 iDeCoの金融機関が破たんした際の保護範囲】
大別するとiDeCoの運用商品は、価格変動型の「投資信託」と、元本確保型の「預貯金」「保険」の3種類がある。商品によって預け先も異なることから、それぞれについてiDeCoの金融機関が破たんした場合にどのように扱われるのかを詳しく見ていこう。
投資信託の場合
iDeCoで投資信託を運用する場合、払い込んだ掛金は最終的に信託銀行などの「事務委託先金融機関」に預けられて管理される。その事務委託先金融機関が破たんしたら、投資信託の資産に影響はないのだろうか。
結論からいえば、事務委託先金融機関が破たんしても、加入者の資産がなくなる心配はない。iDeCoの加入者から預かった資産は、法律によって金融機関自身の資産とは分けて管理するよう義務付けられている(分別管理)。
ところで投資信託には、投資対象が株式や社債の場合もある。投資先の企業が破たんした場合にはどうなるのだろうか?
個別銘柄へ投資する株式投資などであれば、投資先の企業が破たんすれば保有する資産を売却するなどしてお金を回収するしかなく、その価値は大きく損なわれてしまうリスクもある。
だが、投資信託は一般的に幅広い銘柄に分散投資しているため一つの企業が破たんしたとしても、投資信託全体への影響は限定的で済む。
預貯金の場合
iDeCoで預金の商品を運用する場合、「商品提供機関」に資産が預けられる。元本確保型という言葉から、金融機関が破たんしても無条件に元本が保護されると思いがちだが、実はそうではない。実際には、法律に基づき預金保険機構によって1金融機関ごとに1人当たり1000万円までの元本とその利息が上限となっているのだ。
iDeCoは長期間にわたり運用することが前提であるため、1000万円を超えるケースもあり得るだろう。またiDeCo口座を開設した金融機関に既にほかの預金がある場合、合算されて保護の対象となる。その場合、iDeCo口座では1000万円未満でも、通常の口座の預金と合算するkとおで1000万円を超えてしまうこともあり得る。
保険の場合
iDeCoで保険商品を運用する場合、預金と同様、資産は「商品提供機関」に預けられる。こちらも元本確保型といいつつ、破たん時には原則一定額までしか保護されない。保険商品によって補償の内容が異なる。
まず生命保険会社が提供する保険商品の場合、生命保険契約者保護機構によって一つの金融機関当たり、破たん時点の責任準備金の90%までは原則保護される(残り10%については破たんした金融機関の財産状況などによって決定)。なお責任準備金とは、生命保険会社が将来の給付の支払いに備えて、掛金の一部を積立しているものだ。
また損害保険会社が提供する保険商品の場合は、損害保険契約者保護機構によって保険金・返戻金の90%まで原則保護される(残り10%については破たんした金融機関の財産状況などによって決定)。
このようにiDeCoで運用する保険商品については、それぞれ資産の預け先と保護(補償)される金額が異なる。
投資初心者のなかには元本割れのリスクがある投資信託を避けて、できるだけ元本確保型の商品で運用したいと考える人もいるかもしれない。しかし、元本確保型に該当する預貯金・保険商品はiDeCoの金融機関が破たんした際に補償される金額に上限があることは覚えておいてほしい。
iDeCo口座を作った証券会社が破たんした場合も資産は保護される
老後資金の準備を後押ししてくれる制度であるiDeCo。最近は証券会社でもiDeCoのサービスを提供するところが増えている。しかし銀行や保険会社に比べると一般の人には比較的馴染みが少ない証券会社。大切な老後のお金を預けることに不安を感じる人がいるかもしれない。しかし万が一、証券会社が破たんしても加入者の資産が守られる仕組みがある。
証券会社にiDeCo口座を開設して掛金を払い込んだ場合、そのお金は最終的に信託銀行など事務委託先金融機関に預けられる。証券会社が資産を預かっているわけではないのだ。そして前述のとおり事務委託先金融機関ではiDeCoの資産を自社資産とは分別して管理している。そのため証券会社や事務委託先金融機関が破たんしたとしても、iDeCoの資産は全額保護されるというわけだ。多様な選択肢からiDeCoのサービスを検討してみてほしい。
Finasee編集部
「一億総資産形成時代、選択肢の多い老後を皆様に」をミッションに掲げるwebメディア。40~50代の資産形成層を主なターゲットとし、投資信託などの金融商品から、NISAや確定拠出年金といった制度、さらには金融業界の深掘り記事まで、多様化し、深化する資産形成・管理ニーズに合わせた記事を制作・編集している。