年金・iDeCo・保険を見直したい

確定拠出年金(DC)の掛金上限アップが決定、掛金額は「変えない?」「増やす?」、シニアと若者の意外な共通点が明らかに

2025/12/08 13:00

老後資産を自分で作る年金制度が確定拠出年金(DC)だ。個人が自分で掛金を出す個人型(iDeCo、イデコ)と、企業が掛金を出して従業員の退職金として備える企業型DCがある。iDeCoは20~65歳未満までの国民年金加入者なら基本的に加入が可能だ。一方、企業型DCは勤め先企業に制度がないと加入できない。それぞれの掛金の上限

老後資産を自分で作る年金制度が確定拠出年金(DC)だ。個人が自分で掛金を出す個人型(iDeCoイデコ)と、企業が掛金を出して従業員の退職金として備える企業型DCがある。iDeCoは20~65歳未満までの国民年金加入者なら基本的に加入が可能だ。一方、企業型DCは勤め先企業に制度がないと加入できない。それぞれの掛金の上限額は2027年1月に引き上げられる予定となっている。

具体的には職業などによって異なる。自営業者は月7万5000円(現行:6万8000円、国民年金基金等との合計額)、会社員・公務員は月6万2000円(現行:5万5000円、他の企業年金やiDeCoとの合計額)、企業型DCを含め、企業年金のない会社員は月6万2000円(現行:2万3000円)を拠出できるようになる。この改正に伴い、加入者は掛金額の変更を考えているのだろうか。まずは企業型DCで個人が掛金を上乗せできる「マッチング拠出」の掛金額について見ていこう。

企業型DCのマッチング拠出、4割が「変えない」

全国5000人の金融資産の状況を分析した「個人投資家の証券投資に関する意識調査報告書」(日本証券業協会、2025年9月公表)では確定拠出年金に加入する70歳未満の1400人に掛金上限の引き上げへの対応について聞いている。

企業型DCのマッチング拠出で従業員が自ら出す掛金は、これまでは企業が出す掛金額を超えることはできなかった。この制限が2026年4月をめどに撤廃される。この制度変更は、前述したDC制度全体の掛金上限額の引き上げより一足先に行われる予定だ。

確定拠出年金の拠出限度額の引き上げによる変更意向(企業型のマッチング拠出)

確定拠出年金の拠出限度額の引き上げによる変更意向(企業型のマッチング拠出)を表した図表
出所:「個人投資家の証券投資に関する意識調査報告書」(日本証券業協会)

調査結果によれば、「変えない」と答えた人が40.8%と最も多かった。「増やす」と回答した人は11.8%、「減らす」と回答した人はわずか1.8%だった。また、「マッチング拠出がない・加入していない」という回答が33.1%を占めるように、そもそもマッチング拠出を採用していない企業もある。

●前編「「年金を上乗せしたい…」確定拠出年金(DC)に入っている人はどのくらいいる? 掛金はいくら? ボリュームゾーンを探る」

積極的? シニアと若者の意外な共通点

年代別の回答傾向を見ると、興味深い傾向が浮かび上がってくる。「増やす」と答えた割合は、30代以下が17.5%と最も高い。そこから年代が上がるにつれて減少していき、40代では13.2%、50代では8.8%、60~64歳では2.8%となっている。年代が若いほど今後の運用期間を長くとれるため、「少しでも多く積み立てておこう」と考えているのかもしれない。

ところが65~69歳では4.1%と再び増加に転じる。実際に老後生活を送る中で、追加の資産形成の必要性を実感し始めた人の声なのかもしれない。

「変えない」との回答も特徴的だ。30代以下が46.4%と高い一方で、65~69歳も46.9%とほぼ同水準となっている。企業型に関しては規約にもよるが、この年代では新たに掛金の拠出はできず、これまでの積立金の運用のみに専念している人も多いと推察される。

iDeCoの掛金も「変えない」が最多

同様に、iDeCoの掛金についても見ていこう。

確定拠出年金の拠出限度額の引き上げによる変更意向(iDeCo (70歳未満確定拠出年金加入者)

確定拠出年金の拠出限度額の引き上げによる変更意向(iDeCo) を表した図表
出所:「個人投資家の証券投資に関する意識調査報告書」(日本証券業協会)

iDeCoについても「変えない」が46.4%と最も多く、「増やす」が17.1%、「減らす」が1.8%となった。マッチング拠出と比較すると、「増やす」という回答がやや多い傾向が見られる。年代別では、「増やす」が最も高いのは40代(20.0%)、次いで30代以下(17.8%)、50代(17.1%)となっており、以降は年代が上がるにつれて増やす意向は減少する。

「変えない」と回答した割合は、60~64歳が51.0%と最も高く、30代以下が47.9%、40代が46.3%、50代が44.4%、65~69歳が38.8%となっている。

拠出限度額引き上げへの対応の違い

確定拠出年金の掛金上限が引き上げられることが決まったが、現時点では多くの人が現状維持の傾向にあるようだ。しかし年代別に見ると、若い層ほど増やす意向が強く、将来の資産形成に対する積極的な姿勢がうかがえる結果となった。

企業型のマッチング拠出とiDeCoでは、iDeCoの方が掛金額を増やす意向が強い結果となった。個人の裁量でより自由に運用できるiDeCoの特性が反映されているのかもしれない。

確定拠出年金制度は公的年金を補完する老後資金の準備法として注目されている。実際に上限額が上がるのは2026年12月の法改正により翌2027年1月の口座引き落とし分からの予定であり、まだ先ではある。

事実、「わからない」という回答が一定数あることから、今後の回答には変化があるだろう。気になる老後資金の準備に確定拠出年金制度をどのように活用していくか。ライフプランや資産状況に合わせて慎重に検討する必要があることに変わりはない。

調査概要 調査名:「個人投資家の証券投資に関する意識調査」 調査主体:日本証券業協会 調査報告書公表:2025年9月 調査実施期間:2025年4月15日~19日 調査対象:日本全国の18 歳以上の有価証券保有者5000 人

Finasee編集部

「一億総資産形成時代、選択肢の多い老後を皆様に」をミッションに掲げるwebメディア。40~50代の資産形成層を主なターゲットとし、投資信託などの金融商品から、NISAや確定拠出年金といった制度、さらには金融業界の深掘り記事まで、多様化し、深化する資産形成・管理ニーズに合わせた記事を制作・編集している。