年金・iDeCo・保険を見直したい

2025年 年金改正法の施行に向けて、政府の準備が進展~年金改革ウォッチ 2025年12月号

2025/12/09 00:00

■要旨 2025年6月に成立した年金改正法の施行に向けて、政府は政令の改正案に関する意見募集や政省令の改正などを進めている。本稿では、この過程で明らかになった施行予定日などを確認した。 改正法では「施行後1年以内」となっていた離婚時分割の請求期限の伸長の施行日は、2025年11月6日に公布された政令で、2026年4

■要旨

2025年6月に成立した年金改正法の施行に向けて、政府は政令の改正案に関する意見募集や政省令の改正などを進めている。本稿では、この過程で明らかになった施行予定日などを確認した。

改正法では「施行後1年以内」となっていた離婚時分割の請求期限の伸長の施行日は、2025年11月6日に公布された政令で、2026年4月1日とされた。

改正法では「施行後3年以内」となっていた確定拠出年金の見直しの施行予定日を2026年12月とすることが、2025年11月5日に開始された政令案への意見募集で示された。

他方で、確定拠出年金の見直しと同様に「施行後3年以内」となっていた厚生年金のパート労働者の賃金要件(いわゆる年収の壁)の撤廃については、まだ施行予定日が示されてない。早めの施行を期待したい。

■目次

1 ―― 先月までの動き
2 ―― ポイント解説:2025年6月に成立した年金改正法の施行時期
  1|全体像:未定だった施行時期のうち、確定拠出年金の見直しなどの期日が明らかに
  2|2026年4月:離婚時分割の請求期限の伸長
  3|2026年12月(予定):確定拠出年金(DC)の見直し
  4|未確定:厚生年金の「年収の壁」の撤廃


* 年金改革ウォッチは、2013年1月より連載。2023年4月より、原則毎月第2火曜日に連載。
資金運用部会は、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の業務方法書の変更について持ち回りで審議し、了承した。

○社会保障審議会 資金運用部会
11月17日(第30回) GPIFの業務方法書の変更(持ち回り開催)
URL https://www•mhlw.go.jp/stf/newpage_shikinshiryo30.html (資料)

2 ―― ポイント解説

2025年6月に成立した年金改正法の施行に向けて、政府は政令の改正案に関する意見募集や政省令の改正などを進めている。本稿では、この過程で明らかになった施行予定日などを確認する。1|全体像:未定だった施行時期のうち、確定拠出年金の見直しなどの期日が明らかに
2025年6月に成立した年金改正法では、いくつかの項目で施行日が未確定(公布後○年以内)となっていた(図表1の太字)。

政府は、同法の施行に向けて、政令の改正案に関する意見(パブリックコメント)の募集や政省令の改正などを進めており、この過程でいくつかの施行予定日が明らかになった(図表1右)。
2|2026年4月:離婚時分割の請求期限の伸長
改正法では「施行後1年以内」となっていた離婚時分割の請求期限の伸長の施行日を2026年4月1日にする政令が、2025年11月6日に公布された。

離婚時分割は、離婚する際に婚姻中の厚生年金の保険料納付記録を夫婦で分割できる仕組みである(図表2)。分割の請求期限は、現在は民法で定められた離婚時の財産分与請求権の除斥期間に合わせて2年となっているが、民法の改正に合わせて5年に延ばされる。
3|2026年12月(予定):確定拠出年金(DC)の見直し
改正法では「施行後3年以内」となっていた確定拠出年金(DC)の見直しの施行予定日を2026年12月とすることが、2025年11月5日に開始された政令案への意見募集で示された。12月に施行されれば、翌年1月に引き去られる掛金から改正の影響を受ける。具体的な内容は(図表3~5)、(1)個人型DC(iDeCo)の加入上限年齢の引上げ、(2)企業型DCの加入者掛金の制約撤廃、(3)DCの拠出限度額の引上げや統合、である。(1)では、現在は国民年金の各被保険者種別の要件と揃っている加入上限年齢を、老齢基礎年金やiDeCoの未受給者に限定して70歳に引き上げる。(2)では、企業型DCの加入者掛金(マッチング拠出)は事業主掛金を超えられないという制約を撤廃し、合計で限度額まで拠出可能にする。(3)では、第3号被保険者(専業主婦[夫])以外の拠出限度額を月7000円引き上げ、さらに個人型と企業型を合算した掛金の限度額に変更する。
4|未確定:厚生年金の「年収の壁」の撤廃
他方で、確定拠出年金の見直しと同様に「施行後3年以内」となっていた厚生年金のパート労働者の賃金要件(いわゆる年収の壁)の撤廃については、まだ施行予定日が示されてない。

法改正時には、全都道府県の最低賃金が週20時間働くと賃金要件(月8.8万円)を超える水準(時給1016円超)になることを見極めて廃止するとされ、その後の最低賃金の見直しにより、2026年4月には全都道府県の最低賃金が1023円以上になる予定となっている。時給が1016円を超えれば、改正法が施行されなくても所定労働時間が週20時間以上の場合に厚生年金の対象となるため、大勢には影響がない。しかし、賃金要件の廃止に合わせて、障がいなどで最低賃金の減額特例が適用される場合に厚生年金へ任意加入できる制度*1が導入されるため、早めの施行を期待したい。

*1 最低賃金の減額特例が認められて月給が厚生年金の標準報酬月額の下限(8.8万円)を下回る場合は、8.8万円に基づいて保険料が決まることに配慮して、厚生年金の対象者とならない。しかし、本人が申し出れば厚生年金に加入できる。