65歳以降働く人はこれから先増えることでしょう。年金を受けられる年齢になりながら働いて厚生年金に加入する人はその保険料を掛け続けることになりますが、その効果が12月15日に明らかになります。
65歳以降も働いて厚生年金加入中
昌行さん(仮名)は2025年11月に66歳になったばかり。妻・美咲さん(仮名、66歳)と暮らしています。65歳から老齢基礎年金と老齢厚生年金を受給していますが、年金を受け取りながら会社で働き続けています。
昌行さんは「本格的に年金も受けられる年齢なのにまだ働くのか。若い頃に想像していた老後とは違うよな」と思っていましたが、美咲さんは「どうせ毎日家にいても暇を持て余すよ。会社に70歳までいられるんだし、元気なんだったら仕事したら?」と勧めます。
健康面での不安もなく、これに納得して勤務を続けることにした昌行さん。一方で、「けど、65歳からの雇用契約では給与が月給24万円まですごく下がって、しかも賞与もないのに、厚生年金の保険料をまだ払うのかぁ。手取りで見ると給与は少ないなぁ」と給与明細を見ながら感じているところでした。
日本年金機構から届いた1通の知らせ…その中身とは?
そんな中、11月に日本年金機構から「年金決定通知書・支給額変更通知書」というお知らせが届きます。これを見た昌行さんは「年金が再計算? 変更? 受け取る年金額が増えるのか? けど、よくわからんなぁ」と思いながら、12月15日の年金の振込日を迎えます。すると、年金がそれまでより2000円程度増えていました。
「ちょっとだけだけど増えているな。増えるのはうれしいことだけど、どういうことだろう。お知らせの内容もよく分からないし」と思った昌行さんは年金事務所へ向かいます。
昌行さんは年金事務所の職員に「12月15日に振り込まれた年金が前より増えているんですけど、届いたこのお知らせがよく分からなくて……どういうことなんでしょう?」と相談します。
すると職員は「65歳以降も引き続き働いているのですね。12月15日振込分から年金が増えることになりますよ。今後も引き続き勤務し続ければ、毎年12月の振込分から増えることにもなります」と説明します。
昌行さんは「毎年増えるのですか。65歳から給与も下がっているし、年金が増えることにはありがたいけど、どういうことなのでしょう」と疑問点を尋ねます。
昌行さんの年金が増えることになった理由とは、そして12月の振込分で増える理由はどこにあるのでしょうか。
●65歳以降も働きながら保険料を払い続けた結果、年金額が少し増えた昌行さん。その仕組みについては、後編【「ちょっとでも増えるならいいな」66歳会社員が納得した、65歳以降の厚生年金保険料が無駄にならない理由】で詳説します。
※プライバシー保護のため、事例内容に一部変更を加えています。
五十嵐 義典/ファイナンシャルプランナー
よこはまライフプランニング代表取締役、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®認定者、特定社会保険労務士、日本年金学会会員、服部年金企画講師。専門分野は公的年金で、これまで5500件を超える年金相談業務を経験。また、年金事務担当者・社労士・FP向けの教育研修や、ウェブメディア・専門誌での記事執筆を行い、新聞、雑誌への取材協力も多数ある。横浜市を中心に首都圏で活動中。※2024年7月までは井内義典(いのうち よしのり)名義で活動。