2年に1度に原則改定している診療報酬について、物価高や賃上げに迅速対応するため、毎年改定する案が与党内に浮上している。日本医師会も賛同しているが、報酬の引き上げは公的医療保険料と患者の自己負担の増加に直結することから財務省は難色を示している。
制度を所管する厚生労働省部幹部は「そういう議論があるのは承知している」と述べるだけで、今のところ静観の構えだ。26年度の予算編成過程で、報酬改定の議論が本格化する中、「毎年改定案」が具体化するのか注目が集まる。
前回の24年度診療報酬改定は、食材費高騰と賃上げを踏まえ、医療従事者の技術料に当たる「本体」部分が0.88%引き上げられた。しかし、食材以外の物価高は織り込んでおらず、設備関係の値上がりに多くの医療機関が対応できず、赤字経営を強いられている。
賃上げ部分については、24年度に2.0%、25年度に2.5%の医療従事者のベースアップを見込んでいた。しかし、直近2年間の全産業の賃上げ率はともに平均5%超だった。一方、四病院団体協議会は25年度の賃上げ率は平均2.41%で全産業の半分以下だった。
全産業の賃上げは定期昇給分を含んでいるので単純比較はできない。日医幹部は「勤務医は頻繁に職場を変わるケースがあるので、定期昇給はあまり関係ない」という。
いずれにせよ、2年に1度の改定では急激な物価高には対応できない。冒頭の厚労省幹部は「結局、補正予算で後追いで医療機関の赤字を手当てすることになる」と話す。
厚労省は26年度の診療報酬改定の基本方針で医療機関の設備投資や所遇改善についても「報酬措置においても適時適切に行えるよう検討する」と盛り込んだ。ただ、毎年改定に必要な財源確保策となると議論は中々前に進みそうにない。
【改めて賃上げは進むのか?】第一生命経済研究所・首席エコノミスト 熊野 英生
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2年に1度に原則改定している診療報酬について、物価高や賃上げに迅速対応するため、毎年改定する案が与党内に浮上している。日本医師会も賛同しているが、報酬の引き上げは公的医療保険料と患者の自己負担の増加に直結することから財務省は難色を示している。 制度を所管する厚生労働省部幹部は「そういう議論があるのは承知している」と述べ