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世帯年収2500万円・金融資産1億6000万円のパワーカップルが早期退職を断念した“意外な原因”

2026/01/24 11:00

早期退職を望んでいる人であれば、「いつ会社を辞められるだろうか」「いくら資産があれば安心だろうか」と、一度は考えたことがあるのではないでしょうか。年収が高く、資産も十分にあるなら、なおさら「早期退職が可能なのでは」と思うことでしょう。 しかし、今回の相談者は世帯年収2500万円、金融資産1億6000万円あるパワーカッ

早期退職を望んでいる人であれば、「いつ会社を辞められるだろうか」「いくら資産があれば安心だろうか」と、一度は考えたことがあるのではないでしょうか。年収が高く、資産も十分にあるなら、なおさら「早期退職が可能なのでは」と思うことでしょう。

しかし、今回の相談者は世帯年収2500万円、金融資産1億6000万円あるパワーカップルでありながら、望んでいた早期退職を断念する結果となりました。どのような理由で早期退職が叶わなかったのか、その理由と早期退職を考える際に押さえておきたいポイントについてお伝えします。

妻の体調不良をきっかけに早期退職を意識

今回の相談者は、夫・充さん(53歳・年収1500万円)、妻・加代さん(50歳・年収1000万円)の共働き世帯です。子どもはいません。早期退職を考え始めたきっかけは、加代さんの体調不良でした。もともと体が弱かった加代さんは、最近さらに体調を崩すことが増えてきました。その様子を見て、充さんは「いつでも妻が仕事を辞められる状態にしてあげたい」と思うようになったそうです。

一方で、充さん自身もできるなら2年以内に仕事を辞めたいと考えています。仕事がハードであることに加え、夫婦でスポーツ観戦をしながら旅行をして残りの人生を楽しみたいという思いがあるからです。夫婦ともスポーツ観戦が好きで、日本全国、時には海外までスポーツ観戦と観光を兼ねて出かける生活を送っているといいます。

この生活を実現させるため、充さんは早期退職の貯蓄目標額を1億5000万円に設定しました。そして、その目標を達成し、今の金融資産は預貯金や投資資産合わせて1億6000万円になりました。早期退職できると自分なりに考えた目標額を達成したため、本気で早期退職を考え始めたようです。

パワーカップルでも早期退職できない意外な原因

「億」と聞くと、十分すぎる資産があるように感じるかもしれません。ところが、家計をシミュレーションしてみると、早期退職できるほどの余裕はないことが明らかになりました。その理由は生活レベルの高さと支出額の見積もりの甘さです。支出を具体的に把握しきれていなかったのです。

老後の生活を考える上で欠かせないのが自分の年金額の把握です。50歳以上であれば、ねんきん定期便に年金の見込み額が記載されています。この金額は60歳まで今の年収・働き方が続いた場合の金額であるため、60歳より早く退職すると見込み額より金額は減ります。さらに、年金にも税金や社会保険料がかかるため、記載の金額がそのまま手元に残るわけではありません。年金額にもよるため一概には言えませんが、税金や社会保険料は年金額の約1割と考えておくと良いでしょう。

充さんご夫婦の年金を手取りベースで計算したところ、夫婦合計で約32万円でした。2人とも長年、厚生年金に加入して高年収だったため、年金額は一般的に多い方といえます。しかし、加代さんは「32万円では、全然足りないですね」といいます。現在の生活費は約55万円、加代さんは生活レベルを落としたくないとのこと。充さんは、加代さんが早期退職できるなら、今の生活レベルを落とすことはやむを得ないと考えていますが、当の本人の加代さんは生活レベルを落とすぐらいなら早期退職はしなくて良いと考えているようです。

必要額「2億2000万円」の事実に衝撃

もし老後も1カ月55万円の生活が続くとするなら、不足額はいくらになるでしょうか。年金との差額は毎月23万円です。この不足が30年続くと23万円×12カ月×30年= 8280万円になります。さらに、マンションの管理費・修繕積立が毎月4万円、固定資産税が年間20万円かかりますから、30年分を計算すると2040万円です。これに加えて、車の買い替え費用と維持費、スポーツ観戦・旅行代、臨時費用などを合計すると65歳以降の不足額は1億3000万円になりました。

しかし、不足はこれだけではありません。2年後に仕事を辞めた場合、退職後から年金を受給する65歳までは無収入期間が生じます。その期間の生活費などを試算すると、必要額は約9000万円になりました。

つまり

・64歳までに必要な資金9000万円
・65歳以降に必要な資金1億3000万円

合計で約2億2000万円の資産が必要という結果になりました。充さんは車の維持費や臨時費用、レジャー費用は具体的に考えていなかったようで、「結構かかりますね」と加代さんと顔を合わせて苦笑いをしていました。

●生活レベルを維持するなら予定通りの早期退職プランの実現は難しい……。夫婦が出した結論は? 後編【早期退職に必要な3500万円、どう埋める? 世帯年収2500万円夫婦が選んだ「収入を増やす」vs「支出を減らす」の最終結論は…】で詳説します。

※プライバシー保護のため、事例内容に一部変更を加えています。

前田 菜緒/ファイナンシャルプランナー

FP事務所AndAsset代表。ファイナンシャルプランナー(CFP、1級FP技能士)。大手保険代理店に7年間勤務後、独立。子育て世代向けにライフプラン相談、セミナー、執筆などを行っている。子連れでセミナーに行けなかった自身の経験から、子連れOK、子どもが寝てから開催するなど、未就学児ママに配慮した体制で相談やセミナーを実施。経済的理由で進学をあきらめる子をなくしたいとの想いを持ち、活動中。