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共働き夫婦は将来の勝ち組? 家事育児に追われる日々が“老後に必ず報われる”納得の理由

2026/02/06 19:00

共働きはストレスか幸せか? 共働き夫婦の世帯が増えています。昭和の時代は「会社員の夫+専業主婦の妻(片働き)」が多数派でおおむね「片働き世帯2:共働き世帯1」といわれていました。女性が社会で働くことが少しずつ当たり前になっていき、平成の時代が始まる頃に「会社員の夫+会社員あるいはパート等で働く妻」という共働きの夫婦が

共働きはストレスか幸せか?

共働き夫婦の世帯が増えています。昭和の時代は「会社員の夫+専業主婦の妻(片働き)」が多数派でおおむね「片働き世帯2:共働き世帯1」といわれていました。女性が社会で働くことが少しずつ当たり前になっていき、平成の時代が始まる頃に「会社員の夫+会社員あるいはパート等で働く妻」という共働きの夫婦が、片働き世帯とほぼ同じ割合になりました。つまり「1:1」です。

平成の30年間でこの数字ははっきりと逆転し、今は「共働き世帯2:片働き世帯1」を超え、このままいくと「3:1」になりそうな割合で共働き夫婦の割合が高まっています。

※参考:総務省統計局「労働力調査(詳細集計)」(2025年2月14日公表)

会社においては「結婚退職」や「子育て退職」のようなケースは大きく減少しました。会社が、結婚や産休・育休などを理由として社員をクビにすることは法律上許されません。女性の多くが、子育てをする場合もお休みをはさみながら復職する時代となっており、これも共働き世帯の増加(特に若い世代)につながっています。

一方で、共働きについては「ワンオペ育児」のようにネガティブな印象も強くあります。家事や育児にふりまわされたり、子育てに必要なお金を準備できるかというストレスを感じながら働いている女性も多いようです。

ウェルビーイングの観点、あるいはファイナンシャル・ウェルビーイングの観点で共働きを考えるとき、注意点はどこにあるか考えてみたいと思います。

ダブルインカムの力は家計の安定をもたらす

共働きで働いているということは、お給料を2人が受け取っているということですが、これをダブルインカム(収入源が2つ)といいます。

単純に収入源が2つあることで、1人で働く世帯と比べて合計年収が高くなったり、その分生活に余裕が出たり、あるいは将来に備える力が生まれます。

また、共働きをしていることはそれ以上に経済的安心をもたらしています。片働きの世帯にとって、もっとも怖いのは「稼ぎ手が働けなくなったとき」です。病気などで今までの稼ぎを維持できなくなることもありますし、会社がいきなり倒産したことで収入源を断たれてしまうこともあります。どちらも健康保険制度や雇用保険制度が支えになるものの、収入ゼロという怖さは残ります。

あるいはキャリアアップを目指して仕事を辞めてでも学び直しの時間を取りたいと考えたとき、片働きの場合はそれも実行できません。

こうした収入の不安を、共働き世帯は軽くしてくれます。もちろん合計年収がダウンする心配もありますが、2人が協力して、2つの収入源を持っていることはファイナンシャル・ウェルビーイングの観点、お金の不安を小さくする視点では重要なポイントです。

共働き夫婦のウェルビーイングは「共家事・共育児」にあり

共働き夫婦がウェルビーイングを高めていくとき、考えなければいけないのは、「仕事(稼ぎ)も分担するなら、家事育児も分担」ということです。

かつての専業主婦世帯の場合「夫は仕事に専念」「妻は家事と育児に専念」という家庭内分担をしていたわけです(このとき、仕事をしている人が偉いわけではなく、ただ家庭内での分担をしていたと考えるべき)。

共働き夫婦の場合、夫婦ともに仕事をしているわけですから、夫婦ともに家事も育児もするべきです。つまり「共家事」「共育児」をするのが当たり前ということです。よく「男性の育児参加」といいますが、参加することはそもそも当たり前なので、この言い方はあまり適切でないかもしれません。

若い世代になるほど共働き夫婦の家事育児分担割合が近づいていきますが、まだまだ女性の割合が高くなっています。そうなると、負担が重いほうのウェルビーイングは低くなってしまいます。

基本的には夫婦の分担割合を「5:5」で、そうでない場合も、「6:4」くらいの分担割合に抑えられると理想的です。これが「7:3」あるいは「8:2」となると、負担が重い方のストレスが高まってしまいます。

私は『共働き夫婦お金の教科書』という本を出していますが、まずは現状の分担割合から、家事や育児のバトンタッチを1割分やってみようとアドバイスしています。

現状としては、東京都の行った「男性の家事・育児実態調査2025」において、未就学児を抱える子育て世帯の家事育児時間(1日あたりの平均)は、男性3時間29分、女性7時間48分となっています。男性の皆さんは、妻の幸福度を高める入り口としても、分担割合の見直しから始めてみましょう。

家事家電の導入で負担を減らす

帰宅時間が遅くなるなど、家事育児の負担割合をすぐには変えられないのであれば、実際の家事負担を楽にするのも1つの方法です。

共働き世帯においては、女性に家事や育児負担のしわ寄せが来ているとはいえ、共働き世帯は合計の家事時間は片働き世帯より少なくなる傾向があります。つまり「割ける時間がない分、時間そのものを減らそう」となっているわけです。

オススメしたいのは、「家事家電」の導入です。私は「洗濯乾燥機(浴室乾燥機)」「ロボット掃除機」「食洗機」を共働き共家事世帯の三種の神器と呼んでいますが、あると家事負担がグッと軽減されることになります。これに加えて「電動自転車」もあると鬼に金棒です。

また、たまに外食をはさんだり、中食(できあいのお惣菜や冷凍食品の活用など)、デリバリーの活用などを採り入れてみましょう。

私自身、正社員で働く妻と夕飯担当はほぼ半々としていますが、仕事が忙しいときはファミレスのお世話になったり、ファーストフードを利用したりしています。週に一度くらいであれば子どもは大喜びですし、栄養バランスとしても許容範囲でしょう(クタクタなときに1時間かけて作った夕飯を子どもに残されるよりは、楽しく食べてくれたほうがずっといいと思います)。

実は、専業主婦のほうが幸福度が高いという調査結果が現れることもあります。仕事と家事の両立が、働く女性の幸福度を下げてしまっているとしたら、これは男性のがんばりどころであり、夫婦での工夫のしどころではないでしょうか。

正社員共働き夫婦、実は老後の安心を手に入れている

日々の生活ではストレスも多く、トラブルやケンカもある共働き夫婦ですが、その苦労や努力は、ちゃんと報われるときがやってきます。それは2人の老後です。

もし正社員で夫婦とも働いている場合、「2人とも厚生年金」「2人とも退職金」という新しい世帯モデルになるからです。

国のモデル年金は「厚生年金1人分(夫)、基礎年金2人分(夫と妻)」で説明されています。モデルが月23.2万円程度と聞くと「たったそれだけ?」と思うかもしれません。

しかし、夫婦ともに会社員であった場合、モデル年金が月30万円くらいになりうる、という試算を国も示しています。「年収の壁」手前で働いていたり専業主婦であった世帯と比べて、月7万円くらい年金が多いと思えば、これはかなりの余裕になってきます。

また、2人とも退職金をもらえれば、老後のお金の不安も一気に解消される可能性があります。これまた親や祖父母の世代ではまったく見られなかった「老後の余裕」です。

仕事と家庭の両立は確かに大変です。しかし、そのがんばりは将来必ず余裕をもたらしてくれるはずです。老後のウェルビーイング獲得は間違いありません。

であれば、夫婦でしっかり話し合い、目の前のストレスを軽くしウェルビーイングを感じられる生活スタイルを考えてみてください。

山崎 俊輔/ファイナンシャルプランナー

1972年生まれ。フィナンシャル・ウィズダム代表。1995年中央大学法学部法律学科卒業後、企業年金研究所、FP総研を経て独立。確定拠出年金を中心とした企業年金制度と投資教育が専門。著書『普通の会社員でもできる 日本版FIRE超入門』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『共働き夫婦 お金の教科書』(プレジデント社)、『ファイナンシャル・ウェルビーイング』(青春出版社)など多数。