NISA・クレカ積立を始めたい

【新NISA3年目、年初の動向は?】米国株式&オール・カントリーが年初買付の2大巨頭だった昨年から一変…新たにお金が向かった先は

2026/03/09 12:00

新NISAで注目されるトピックの1つに「年初一括 VS 積立」があるように、NISAでの1月の買付状況や動向はどのようなものだったか気になる投資家は少なくない。 そこで以前、インタビュー:【新NISA開始から丸2年】オルカンが爆売れだったが…投資地域別にみると浮かび上がる「別の実態」(2025年12月公開)にて、20

NISAで注目されるトピックの1つに「年初一括 VS 積立」があるように、NISAでの1月の買付状況や動向はどのようなものだったか気になる投資家は少なくない。

そこで以前、インタビュー:【新NISA開始から丸2年】オルカンが爆売れだったが…投資地域別にみると浮かび上がる「別の実態」(2025年12月公開)にて、2026年の注目ポイントも指摘してくださっていた、ニッセイ基礎研究所・主任研究員 前山裕亮氏に「実際に2026年1月はどのような動きであったか」をテーマに話を聞いた。

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――まず、26年1月のNISAでの買付状況について教えてください。

断片情報を見る限りでは、3年目となった26年1月もNISA口座を積極的に活用しているようです。

日本証券業協会が公表している証券10社の金額を見ると、2年目以上に買付が行われたことが確認できます(図表1の棒グラフ)。また、NISA対象投信(ETFを除く)への資金流入を見ても、NISA口座以外の売買も含まれる金額ですが、26年1月は約2兆3400億円となっています。1年目である24年1月が約1兆2800億円、2年目の25年1月が約1兆9400億円でしたから、着実に増加しています(図表1の紺線)。

図表1.証券10社のNISA口座の買付額とNISA対象投信への流入額

※日本証券業協会資料、Morningstar Directより前山氏作成。
NISA対象投信の流入額はNISA口座以外の売買を含む数値。

また証券10社の数値になりますが、毎月の買付額を24年、25年と比較しながら見ていきましょう。図表2が「つみたて投資枠」、図表3が「成長投資枠」になります。「成長投資枠」については、さらに投信と投信以外の「その他」に分けています。

まず目を引くのは、成長投資枠の26年1月の「その他」だと思います。その中身の9割強が日本株(個別株)となっていますが、24年、25年を大きく上回る買付がありました。

一方、今回のテーマである投信に戻ると、つみたて投資枠と成長投資枠は25年1月に比べ、26年1月は「小幅な増加」でした。制度全体もしくは証券10社でも、この1年間で口座数は1.1倍程度増加していますので、口座数の増加に伴う自然増の範囲内とも見ることができます。

25年1月が24年1月に比べて急激に投信の買付が増えたのは、24年の結果を受けて、年初一括で買付を行う人が増えたからではないかと以前のインタビューで指摘しました。つみたて投資枠でも、ボーナス設定を活用すれば年初多めに買うことは可能ですし。26年は増加ペースが落ち着いていますので、そうした方はさほど増えなかったのかもしれません。

ただ、いずれにしても買付額は「減ってはいない」、小幅とはいえ「増えている」わけですから、25年にNISA口座から投信を買い付けた方の多くが、26年も継続しているといえそうです。

図表2.証券10社のつみたて投資枠からの買付額

※日本証券業協会資料より前山氏作成。

図表3.証券10社の成長投資枠からの買付額

※日本証券業協会資料より前山氏作成。

――投信の選好に何か変化はあったのでしょうか。

もっとも買われていたのが、外国株式という点は24年1月から変わりません。ただ、25年1月には1兆6900億円の流入があったのに、26年1月は1兆4800億円と2100億円鈍化しました。

その大きな要因は米国株式人気の一服です。25年1月は米国株式が非常によく買われていたのですが、26年1月も確かに大規模な買付自体は入っているものの、「25年1月と比べると、だいぶ減った」といえます。25年1月には1兆700億円を記録したのに、26年1月は5500億円とほぼ半減していることからもお分かりになると思います。

では、25年1月に米国株式を買っていた人たちのお金の半分が26年1月にどこへ向かったかというと、1つはオール・カントリー(全世界株式)に代表されるグローバル株式。金(ゴールド)や国内株式にも流れたと考えられます。特にアクティブ型の米国株式を買っていた方は、これらに流れたのではないかと予想しています。

以前から米国株式の人気は、アクティブ型だけでなくインデックス型も米国株式自体のパフォーマンスに連動する傾向があります。26年、正確には25年後半から徐々に人気が一服し、グローバル株式はじめ他の資産に流れたのも、その傾向に当てはまったといえます。何しろ、25年において、S&P500(円換算ベース、以下同)は年間で収益率が16%ほどでしたが、オール・カントリーは20%超、国内株式は30%ほど、金にいたっては60%超でしたから。

ただ、いくら米国株式の人気が落ち着いたといっても、投信の流入額は金や国内株式より大規模です。根強い人気というか、もうド定番商品になっているといえます。

図表4.資産クラス別のNISA対象投信の1月の資金流入額

※Morningstar Directより前山氏作成。NISA口座以外の売買を含む数値。

――年初買付の2大巨頭である米国株式とグローバル株式ですが、右肩上がりのグローバル株式、人気が一服した米国株式と対照的です。さて、資金が向かった先としてあがった国内株式は25年~26年にかけて、どうでしたか。以前のインタビューでも国内株式の買付がトレンドフォローの一時的なものかどうかは注目ポイントだとおっしゃっていました。

はい。まず、国内株式の26年1月の結果は、買付で見ると過去最大といえるもので、人気は継続しているといえるでしょう。これまで国内株式は“逆張り投資”される傾向が強かったのです。25年10月に日経平均株価が5万円台をつけて以降、最高値更新が続く中にあっても大規模な買付が入っている点は、大きな変化ではないでしょうか(図表5)。

図表5.NISA対象の国内株式投信の設定額と売却額

※Morningstar Directより前山氏作成。NISA口座以外の売買を含む数値。

――その日本株式のなかでは、どんなものが選ばれていたか特徴や傾向はありますか。

TOPIX連動インデックス型の買付額でみると、もともと25年後半から買付はほぼ右肩上がりで増えていました。26年1月はこの流れが加速する形で急増し、900億円程度となっています。NISA口座からの買付が背景にあると期待したいです(図表6)。

一方で日経平均連動インデックス型はどうか、という話ですが、もともとTOPIX連動より買付が入っています。TOPIX連動型と日経平均連動型のグラフの縦軸を見ると、金額の水準がそもそも3倍ほど違うことからも分かると思います。ただ、売却も多く、相変わらずタイミング投資の売買が多い様子です(図表7)。

私はTOPIX連動に安定して売却を上回る買付が入っていることから、特につみたて投資枠ではTOPIX連動型が選好されているのでは見ています。いずれにしても26年に入っても日経平均TOPIXとも史上最高値を更新する展開となっており、トレンドフォローなのか否かの現時点では分かりかねる状況です。

図表6.NISA対象のTOPIX連動インデックス型投信の設定額と売却額

※Morningstar Directより前山氏作成。NISA口座以外の売買を含む数値。

図表7.NISA対象の日経平均連動インデックス型投信の設定額と売却額

※Morningstar Directより前山氏作成。NISA口座以外の売買を含む数値。

――26年1月は投資資金が国内株式や金にも分散して、新たな様相を見せました。いっぽう1月につみたて投資枠・成長投資枠ともに大きく買付が立った(図表2、3)という意味では、25年とも似ています。この先の買付や資金の流出入はどうなっていくのでしょうか。

“今年”どのような傾向を見せるのかは経済イベント次第なところもありますし、今後明らかになるデータを注視したいところです。

25年は年初の1月と駆け込み投資で12月の買付が多かったです。24年はつみたて投資枠は右肩上がりを描きましたし(図表2)、成長投資枠で「夏のボーナスが投資に振り向けられたのでは」と推測できる動きもみられました(図表3の24年の6月、7月)。

そして、買付の傾向をもう少し長期目線で考えてみると、5年でNISAの枠を使い切る人が出てきた時に、どんなことが起きるのだろうという点も興味深いのではないでしょうか。現状、資金に余裕のある方が課税口座や一般NISA口座から振り替えている動きも多分に含まれているはずです。そういった方たちが枠を使い切ったあと、全体の動向はどうなっていくのか――それでもやっぱり年初に買付は膨らむのかなど中長期でも注視したいテーマだと考えます。

前山裕亮氏

ニッセイ基礎研究所主任研究員。大和総研、大和証券キャピタルマーケッツ、イボットソン・アソシエイツ・ジャパンを経て2014年にニッセイ基礎研究所入社。2022年より現職。株式市場・投資信託の資産運用の調査、分析に従事。

Finasee編集部

「一億総資産形成時代、選択肢の多い老後を皆様に」をミッションに掲げるwebメディア。40~50代の資産形成層を主なターゲットとし、投資信託などの金融商品から、NISAや確定拠出年金といった制度、さらには金融業界の深掘り記事まで、多様化し、深化する資産形成・管理ニーズに合わせた記事を制作・編集している。