1位は和歌山市
今回注目したのは2025年5月に公表された総務省の家計調査(資産・負債編)。全国52の県庁所在地および政令指定都市の貯蓄額および投資信託を時価評価した現在高がわかるからだ。二人以上世帯の調査結果を参考に編集部が貯蓄額に占める投資信託保有額の割合を算出。割合が高いほど貯蓄手段として投資信託を選択する人たち(=「投資信託党」)が多いと解釈した。なお同調査で定義する貯蓄額には、預貯金以外にも、掛け捨てでない生命保険や貯蓄型損害保険、株や投資信託、国債といった有価証券も含まれる。また持ち家など不動産は含まれないので注意してほしい。
全国「投資信託党」ランキング(全国主要52都市)
1位 和歌山市 16.0%
2位 川崎市 14.7%
3位 大津市 12.7%
4位 神戸市 11.5%
4位 宮崎市 11.5%
6位 千葉市 11.4%
7位 東京都区部 10.4%
8位 仙台市 10.3%
9位 岡山市 9.9%
10位 津市 9.5%
11位 大阪市 9.4%
12位 奈良市 9.2%
13位 堺市 8.9%
14位 長崎市 8.8%
15位 札幌市 8.7%
16位 徳島市 8.6%
17位 山形市 7.9%
18位 横浜市 7.8%
19位 さいたま市 7.7%
20位 京都市 7.6%
21位 盛岡市 7.4%
21位 名古屋市 7.4%
23位 水戸市 7.1%
24位 福岡市 7.0%
25位 熊本市 6.9%
出所:総務省「家計調査(貯蓄・負債編)」(2025年5月公表)よりFinasee編集部作成
早速1位から25位までで気になるところを解説しよう。1位は和歌山市で16.0%。和歌山市の人口は約35万人(2025年)。徳川御三家の一つである紀州藩の城下町として本格的に発展した。和歌山県生まれという説もある紀伊国屋文左衛門の「みかん船」(嵐の中を江戸までみかんを運び富を得た)ではないが、チャンスがあればリスクを取って投資する気風があるのだろうか。和歌山市に限らず投資信託保有の割合が高い関西圏の都市は多く、トップテンには他にも3位の大津市(12.7%)、4位の神戸市(11.5%)、10位の津市(9.5%)がランクインした。
2位は14.7%で首都圏から川崎市が登場。同じ神奈川県の横浜市(7.8%、18位)や相模原市(5.9%、34位)と比べてもかなり高い割合だ。居住者に若い世代が多いことから、投資信託も含めて投資への関心が高いのかもしれない。
神戸市と同率4位は宮崎市(11.5%)。プロスポーツのキャンプ地になるなど南国リゾートのイメージもあるが、投資信託の割合は同じ南国である那覇市(5.1%、37位)の倍以上。近県の大分市(4.6%、45位)、鹿児島市(5.0%、39位)、熊本市(6.9%、25位)と比べても高く、なにか独自の風土があるのかもしれない。
なぜか「投資信託党」が少ない中国地方
続いて26位から52位を見ていこう。
全国「投資信託党」ランキング(全国主要52都市)
26位 佐賀市 6.6%
26位 高知市 6.6%
28位 金沢市 6.4%
29位 北九州市 6.3%
30位 富山市 6.2%
30位 宇都宮市 6.2%
32位 福井市 6.1%
33位 高松市 6.0%
34位 相模原市 5.9%
35位 松山市 5.4%
35位 前橋市 5.4%
37位 静岡市 5.1%
37位 那覇市 5.1%
39位 福島市 5.0%
39位 鹿児島市 5.0%
41位 甲府市 4.9%
41位 岐阜市 4.9%
41位 長野市 4.9%
44位 新潟市 4.7%
45位 大分市 4.6%
46位 松江市 4.5%
47位 浜松市 4.4%
48位 秋田市 4.2%
49位 青森市 3.9%
50位 鳥取市 3.5%
51位 山口市 2.6%
52位 広島市 1.8%
出所:総務省「家計調査(貯蓄・負債編)」(2025年5月公表)よりFinasee編集部作成
26位から52位までで注目点はどこだろうか。最下位は広島市で1.8%。トップの和歌山市が16%だったので、約8分の1の水準である。
実はこの地域で投資信託の割合が小さいのは広島市だけではない。51位の山口市(2.6%)、50位の鳥取市(3.5%)、46位の松江市(4.5%)など下位には中国地方の都市が並ぶ。山口市や鳥取市、松江市はいずれも2025年の人口が20万人未満と全国の県庁所在地では人口の少なさで5位以内に入る小都市のため、金融機関へのアクセスに課題がある可能性はある。一方、広島市は約117万人の大都市だ。なぜ中国地方の都市では投資信託党が少ないのだろうか。さらに謎を深めるのは岡山市の存在。2025年の人口は約69万人と中国地方では広島市に次ぐ第二の都市になる。投資信託の割合は9.9%で9位と、中国地方では例外的に投資信託党が多いのだ。地域金融機関との関係などの要因もあるのだろうか。
中国地方に次いで投資信託党が少ない地域が東北地方。たとえば49位に青森市(3.9%)、48位に秋田市(4.2%)が入っている。一方で東北地方の最大人口都市である仙台市は10.3%で8位と、中国地方での広島市とは対照的な立ち位置だ。
相場は高値づかみが怖い? それなら積立投資という手も
全国52主要都市の「投資信託党」ランキング。1位は和歌山市を筆頭に関西圏が多く、下位は広島市を中心に中国地方が占めるなど地域色豊かな展開に。
投資信託とよくセットで語られるのが積立投資。毎月一定の金額で投資信託などを購入していく仕組みだ。購入タイミングを分散できるので、高値づかみをある程度は避けることができる。また価格が安いときは購入数量が多く、高いときは少なくなるので、取得単価を平均的に抑える効果が期待できる。NISAなどで少額から試してみるのはどうだろうか。
調査概要 調査名:「家計調査(貯蓄・負債編)」 調査主体:総務省 公表:2025年5月
Finasee編集部
「一億総資産形成時代、選択肢の多い老後を皆様に」をミッションに掲げるwebメディア。40~50代の資産形成層を主なターゲットとし、投資信託などの金融商品から、NISAや確定拠出年金といった制度、さらには金融業界の深掘り記事まで、多様化し、深化する資産形成・管理ニーズに合わせた記事を制作・編集している。