「年収1,000万円」というと「豊かな生活が送れるお金持ち」のイメージで、いつか大台に乗りたいとあこがれている方も多いかもしれません。年収1,000万円の暮らしとは、どのようなものなのでしょうか。
年収1,000万円の人は日本人の5%未満
国税庁の「民間給与実態統計調査(2019年)」によれば年収1,000万円を超える給与所得者の割合はわずか4.8%と、狭き門であることがわかります。ただ、近年は共働きの家庭も増えていますので、「夫500万円+妻500万円」など「世帯年収1,000万円」も含めればもっと多くなります。
年収1,000万円でもやりくりが大変!?
数字の上では上位5%の富裕層と言えますが「年収1,000万円=優雅な暮らし」とは限らないのが現実です。その理由はおもに次の2つです。
支出が多い
都心に住むため住居費が高額、子どもにいい教育を受けさせるために学費や習い事代がかさんでいるなど、本人が意識していなくても固定費が高くなり「生活に余裕がない」「やりくりが難しい」と感じていることがあります。余裕があるからと盛大にお金を使って、貯金はほとんどないという方もいます。
医療費や税負担が増える
年収1,000万円あたりをさかいに、それまではあった手当や控除の対象から外れることが多くなります。配偶者控除が受けられなくなって税金が高くなったり、高額療養費の上限が上がって医療費の負担が増したり、児童手当や高校の就学支援金が減って子どものための出費が増えたり、堅実に暮らしていても家計が圧迫されてしまうこともあるのです。
同じ「年収1,000万円」の暮らしでも違いが
同じ「年収1,000万円」でも、独身と子どもがいる家庭、都心と地方、会社員と自営業、など日々必要な支出や安定具合などによってやりくりのしやすさは変わります。
ちなみに「1人で稼ぐ年収1,000万円」より「夫婦共働きの世帯年収1,000万円」の方が、税金が安いため手取りが多くなります。これから年収1,000万円を狙うなら共働きでクリアを目指す方が、手が届きやすくメリットが大きいかもしれませんね。
年収1,000万円だからといって豪遊できるとは限らない
年収1,000万円は1つの目標になるかもしれませんが、「達成すればお金の悩みがすべてなくなる」というわけではありません。年収1,000万円でも、日々のやりくりに悩んだり将来に不安を感じたりする方はいます。年収が上がっても堅実にお金と向き合っていきましょう。
文・馬場愛梨(ばばえりFP事務所代表)
自身が過去に「貧困女子」状態でつらい思いをしたことから、お金について猛勉強!銀行・保険・不動産などお金にまつわる業界での勤務を経て、独立。むずかしいと思われて避けられがち、でも大切なお金の話を、ゆるくほぐしてお伝えする仕事をしています。AFP資格保有。
(2022年3月26日公開記事)