老後独り身…厚生年金だけで生活できている人は何割くらいいる?

2022/05/04 13:30

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総務省が公表している「令和2年国勢調査」によると日本の総人口に占める 65 歳以上人口の割合は、 26.6%→28.6%に上昇し過去最高でした。世界で最も人口に占める高齢者比率が高いことが分かっています。それに合わせて単身の高齢者も増加傾向です。なかには、老後独り身の場合の老後資金設計に不安を覚えている方もいるのではな

総務省が公表している「令和2年国勢調査」によると日本の総人口に占める 65 歳以上人口の割合は、 26.6%→28.6%に上昇し過去最高でした。世界で最も人口に占める高齢者比率が高いことが分かっています。それに合わせて単身の高齢者も増加傾向です。

なかには、老後独り身の場合の老後資金設計に不安を覚えている方もいるのではないでしょうか。そこで今回は、年金でどれくらい老後の生活をカバーできるかについて解説します。

65歳以上の単身無職世帯の収入と支出金額の平均

総務省の「令和2年家計調査年報(家計収支編)」によると65歳以上の単身無職世帯1ヵ月の収入は13万6,964円、支出(消費支出+非消費支出)は約14万4,687円で毎月7,723円が不足となっています。

老後独り身…厚生年金だけで生活できている人は何割くらいいる?
(出典:総務省ホームページ 家計調査2020年)

同データは、ある特定のモデルケースの高齢単身者に基づいたものです。しかし一般的に老後独り身の方が厚生年金だけで生活していくのは難しいといえるでしょう。

実際に老後独り身かつ厚生年金だけで生活している方の割合について正確なデータはありません。しかし厚生労働省の「国民生活基礎調査」によると2019年時点で高齢者世帯全体のうち48.4%が年金以外の所得を得ていないことが明らかとなっています。

そのため老後独り身の方も厚生年金だけで生活している割合は少なくないと考えられるでしょう。

老後独り身…厚生年金だけで生活できている人は何割くらいいる?
(出典:厚生労働省ホームページ 2019年国民生活基礎調査の概況)

老後の支出は万が一の備えも必要

ちなみに上記の支出に関するデータに示されているのは、毎月の最低限度の費用となるため、万が一の備えにあたる費用は含まれません。老後独り身であれば医療費や介護費についても貯蓄などである程度の資金を用意しておくことが必要です。

高齢者の医療費はどれくらいかかる?

厚生労働省が公表している「国民医療費の概況」によると1年間にかかる国民1人あたりの医療費は、35万1,800円でした。ただ医療費は、高齢になった段階で急激に増加する傾向です。65歳以上と75歳以上の男女では以下のように増加します。

性別 65歳未満 65歳以上 75歳以上
男性 35万900円 81万5,800円 101万3,300円
女性 35万2,700円 70万6,700円 87万6,800円
老後独り身…厚生年金だけで生活できている人は何割くらいいる?
(出典:厚生労働省ホームページ 令和元(2019)年度 国民医療費の概況)

これらの医療費には、公的保険が適用されるため、国民はこの一部を負担することとなります。これまで75歳以上の医療費自己負担割合は1割でした。しかし2022年10月からは2割に変更されます。

この負担が適用されるのは、一定の所得がある世帯のみです。しかし今回の改正以後も高齢者の医療費負担が引き上げられる可能性がないとはいえません。

介護費はどれくらいかかる?

生命保険文化センターの「2021(令和3)年度生命保険に関する全国実態調査」によると介護期間の平均は61.1ヵ月でした。また介護費用(月額)は、平均8万3,000円、住宅改造や介護用ベッドの購入などの一時的な費用の平均は74万円となっています。

これらの平均値から算出すると介護費の平均は、61.1ヵ月×8万3,000円+74万円=約581万1,300円です。

出典:生命保険文化センター 生命保険に関する全国実態調査 2021年度

高齢期の単身生活の準備はできるだけ早めに

このように年金だけで高齢期の単身生活を続けていくのは現状でも難しく今後さらに厳しくなることが予想されます。今後老後を向かえる方は、できるだけ早めの対策が必要です。

支出を減らす

今すぐできることは、家計の節約です。特に固定費の削減は即効性が高いため、まず固定費から見直しできる支出がないか確認してみましょう。

収入を増やす

長期的には、キャリアプランの検討も大切です。「今の勤務先で何歳まで働けるか」「定年後に転職する場合はどのような手段があるか」などさまざまなパターンを考えてみてください。

また働ける期間が以前よりも長くなってきているため、高齢期でも資産運用による資産形成がしやすくなってきています。つみたてNISAや確定拠出年金(個人型、企業型)などの非課税投資をうまく活用してみるのもいいでしょう。

文・fuelle編集部

(2022年5月4日公開記事)