喪中はがきを受け取ったことはあっても「喪中」が何なのか、よくわからない人は多いのではないでしょうか。亡くなった人の死を悼み、身を慎む期間とされる喪中。具体的にやってはいけない行為について解説します。
喪中とは? 意味と期間
「喪中」とは、亡くなった近親者の死を悼む期間です。喪中の間、遺族は行動を慎み、近親者を亡くした悲しみを癒します。亡くなった人と自分の関係によって喪中の期間は異なりますが、明治時代に定められた法律によると、父母や夫が亡くなった場合は13か月、妻や子どもが亡くなった場合は90日などとなっていました。
現在、この法律は撤廃されており、喪中期間について法的な決まりはなく、配偶者や父母は約1年、子どもや兄弟は3ヵ月~1年とされています。
また、喪中と似たものとして「忌中」があります。忌中は亡くなった人が無事にあの世へたどり着けるよう、遺族が供養する期間です。亡くなった人との関係に関わらず、遺族は7日ごとに法要を行い、49日目の法要で「忌明け」となります。
なお、忌中は喪中期間に含まれます。
喪中にやってはいけない行為4つ
喪中期間、遺族は行動を慎まなくてはなりませんが、具体的にはお祝い事や遠方への移動を控えることになります。ここでは、代表的なNG行為を4つ挙げます。
正月関連の祝い事
正月に関することはすべてNGです。正月飾りやおせち料理で新年を祝うことはもちろん、正月に客を招いて宴会を開いたり、初詣に出かけたりすることもできません。また年賀状も控え、代わりに喪中はがきを送ります。
宴席への出席
披露宴などの祝い事への出席も、本来は遠慮すべきです。しかし、最近は出席する人の心情が落ち着いていて、周囲の人も喪中の人が出席することを気にしなければ出席しているケースも少なくありません。
逆に身内を亡くした悲しみが癒えない場合、お祝いの席に出席しても、招いた側が気を遣ってしまいます。宴席に招かれた場合は自分の精神状態を主催者に伝え、相談しましょう。
旅行
喪中に遠距離の旅行も控えるべき行動といわれています。喪中は身を慎み派手な行動を避ける時期であり、旅行は娯楽と考えられ「派手な行動」とされているのです。「喪中の人が遠方に出かけると悪いことが起こる」という言い伝えが残る地域もあります。
入籍・結婚式
入籍や結婚式についても、喪中に行うことを避けることがあります。ただし、入籍については慶事ではないので、喪中でも問題ないとする考え方もあります。
すでに決まっているNG行為の対応は周囲と相談する
喪中にやってはいけない行為を挙げましたが、自身が結婚式を挙げたり、長期の旅行に出かけたりする場合、すでにキャンセルができなければ最近は無理に取りやめない傾向にあります。
また、結婚式の日取りを決める前に両家のいずれかが喪中になった場合は、両家で相談して対応を決めるケースが多いようです。
現在、法律などで決められた喪中期間はなく、自身の気持ちが落ち着いていればNG行為を行っても問題なしと考える人は増えています。ただし、地域によって喪中を重視するところもあります。喪中のNG行為に対する対応は、周囲の人々と相談してきめるとよいでしょう。
文・はせがわあきこ
(2022年5月28日公開記事)