1ドル139円という24年ぶりの円安水準にある今、投資先を迷っている人も多く、中にはFX(外国為替証拠金取引)を始めようと考えている人も多いでしょう。FXなら円高、円安のどちらに向かっても利益を出せるからですが、初心者には注意が必要な点があります。
FXなら円安の今からでも利益が狙える
FXではさまざまな通貨の取引ができますが、初心者に人気のドル円で考えましょう。FXが円高、円安のどちらに振れても利益が狙えるのはなぜでしょうか。
もしこれから円高になると考えれば、ドルを買って(円を売って)円高になってからドルを売れば利益が出せます。130円で1ドル買って140円で売れば10円利益になります(税金や手数料は除く)。もし、逆に円安になるとすれば、ドルを売って(円を買って)円安になってドルを買い戻せば利益が出せるわけです。
注意点1 レバレッジをかけすぎて大きく損する可能性
FXの特徴は、手元にある資金以上の取引ができることで、これを「レバレッジをかける」といいます。もし資金が10万円しかなくてもレバレッジを10倍にすれば100万円分の取引ができるのです(以下、手数料などは除いて試算します)。
たとえば1ドル130円の時、円安を予想して13万円を投資するとします。レバレッジをかけていなければ、買えるドルは1000ドルですが、レバレッジを10倍かければ資金は130万円分となり、ドルが1万ドル買えます。
もし予想通り円安になり、1ドル140円になって円に戻した場合、レバレッジをかけていなければ14万円で売れるので、利益は1万円です。しかし、レバレッジが10倍なら、利益は単純計算で10万円になります。
ただし、予想と異なり円高になると損失が生じます。逆に1ドル120円になれば、レバレッジをかけていなければ損失は1万円ですが、レバレッジ10倍なら、当然損失も10倍、10万円のマイナスとなります。
レバレッジをかけると利益も大きくなりますが、損失も増えるというリスクがあるのです。
スワップポイントにもレバレッジがかかる
FXでは、高い金利の通貨を買って持っていれば、金利差によるスワップポイントがつきますが、このスワップポイントにもレバレッジの倍率がかかるので注意が必要です。
スワップポイントとは何のことでしょうか。ドルを買って円を売ると、「ドルの金利をもらう一方、円の金利を払う」ことになりますが、ドルは円と比べて金利が高いため、そこには差額が生じます。これがスワップポイントです。逆にドルを売った場合(円を買った場合)、円の金利をもらってドルの金利をもらうためマイナスになります。
注意点2 損失の限度額を設定しないと損失が広がる場合がある
FXでは、自分で損失の限度額を事前に決めておかないと、取引所で決められている額まで損失がどんどん広がる点にも注意が必要です。
ある限度額に価格が到達すると、取引所が強制的に損失を確定させます。これを「ロスカット」といいます。具体的には、FXの取引口座に入れている金額(証拠金)が、レバレッジをかけた後の金額の一定割合を下回ると、強制的に損失が確定される仕組みです。
そもそもFXでは、取引口座に一定のお金(証拠金)を入れておかなければいけません。その額は、レバレッジをかけた後の金額の4%程度です(取引所や通貨によって異なる)。
ロスカットになるのは、その必要証拠金に“証拠金維持率”と呼ばれる一定の割合をかけた金額を下回った時です。
たとえば必要証拠金が10万円で、証拠金維持率が50%だとすると、ロスカットとなるのは10万円の50%で5万円です。証拠金として100万円入れていても、それが5万円になるまで損失が広がってしまうのです。
株取引の場合は、損失は最大でもその株に投資した金額分までですが(信用取引の場合などは除く)、FXでは取引所に入れてある金額のすべてがロスカットの金額まで減ってしまう可能性があります。
こうしたことが起きないよう、「いくら損失が出たら、損失を確定する」という金額をあらかじめ決めておく必要があるのです。
FXは、円安となっている今からでも利益をあげることができますが、注意しないと大きく損失を出してしまうことがあります。始める際には、しっかりと注意点を確認しましょう。
文/編集・dメニューマネー編集部
(2022年7月25日公開記事)
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