親族の死、考えたくないものです。しかし、現実問題として死は誰にでも訪れます。悲しみの中で物事を見誤らないためにも、万が一の時にやってはいけないことを覚えておきましょう。
遺言書の開封
遺言書がある場合、「何が書かれているのか」ということは誰でも気になるものです。しかし遺言書はすぐに開けてはいけません。
遺言書は家庭裁判所に提出し、「検認」という手続をしてもらいます。 検認をせずに開封してしまうと5万円以下の科料を課せられる可能性があります。
死亡した親族のクレジットカード利用
クレジットカードが止まっていないからといって、親族が死亡した直後に勝手にクレジットカードを使ってはいけません。
亡くなった人の財産は、相続の対象です。クレジットカードを利用し、支払が発生すると、亡くなった親族の財産が減ることになります。そのため、後々相続人の間でトラブルになる可能性があるので注意が必要です。
銀行口座の放置
役所に死亡届を提出したことによって銀行口座が凍結されることはありません。銀行は、預金者が死亡した事実を知ったらすぐに凍結手続きをしますが、基本的には親族が報告して口座の凍結に至ります。
死亡した人の銀行預金は、相続財産となり、相続人が相続します。銀行口座を凍結しないと、相続人の誰かが勝手に使い込みをするなどして相続人の間でトラブルに発展するケースも。
また、死亡した人の財産より借金が多い場合には相続放棄ができますが、相続人が勝手に引き出して利用すると単純承認したとみなされてしまう危険性もあります。このようなデメリットがあるので、基本的には親族が死亡したら即座に銀行に連絡して口座凍結の手続きをするべきなのです。
スマホをすぐに解約する
故人のスマホをすぐに解約すべきではない理由として、次の3つが挙げられます。
1. 故人の関係者と連絡を取るため
死亡したことや葬儀の日取りなど、故人の関係者に連絡を取るシーンは意外と多いものです。特に、家族が知らない知人などと連絡を取る際、スマホに登録されている電話番号が頼りになります。さらに、メールやSMSを使えば、電話をしなくてもやり取りができて便利です。
2. 相続財産の調査に使うため
相続に先立ち、預貯金や証券、不動産、自動車や貴金属など、故人の財産を調べる必要があります。預金通帳や不動産の権利証はもちろん、故人が使っていたパソコンやスマホも財産を調べる手がかりになります。
3. 故人のスマホ利用料金は高額にならないから
スマホを一切利用しないなら、月額利用料金は高額にはなりません。葬儀や相続財産の調査が終わるまでは、契約を残しておきましょう。
親族が元気なうちに心の準備を
死は誰しも平等にやってきます。「親族は高齢だけどまだ元気だから大丈夫」と思っていても、いつ突然の事故や病に見舞われるかはわかりません。残された家族がやらなければいけない処理は意外と多く、忘れると面倒な問題になりかねないので、今のうちから概要だけでも掴んでおくことをおすすめします。
文・fuelle編集部
(2022年7月30日公開記事)