「株は5月に売れ」という意味の有名な投資格言「セル・イン・メイ(Sell in May)」がありますが、実はこの格言には続きがあり、“……and go away. Don’t come back until St Leger day. ”と続きます。これは「株は5月に売れ、そしてセントレジャーデーまで(市場に)戻ってきてはならない」ということ。果たしてこの格言は何を意味しているのでしょうか。また実際に株式投資で役に立つのでしょうか。
株は秋に買うのが正解
St. Leger dayとは、毎年9月の第2土曜日にイギリスで行われる競馬(ダービー)の開催日です。
この相場格言は、5月に株を売るだけではなく、9月に株を買う(買い戻す)ことを投資家に教えているのです。
実際、過去には9月のこの時期に株価が大きく下落する出来事が何度も起こっていて、たしかに9月が株を買うのにいい時期と言えそうです。
9月(頃)に起きたイベント | 発生年 |
---|---|
欧州通貨危機 | 1992年 |
米国同時多発テロ | 2001年 |
パリバショック | 2007年(8月) |
リーマンショック | 2008年 |
チャイナショック | 2015年(8月) |
〇〇危機、〇〇ショック呼ばれる大きな相場の下落は意図して引き起こせるものではありません。偶然かもしれませんが、9月に株を買うことは合理的と言えそうです。
格言通りに投資していたら、ほぼ買っていた?
相場の格言通りに投資していたら、どんな結果だったのでしょうか。
格言は「5月に売れ」から始まりますが、今回は「9月に買って翌年5月に売っていたら」という前提で、米国株のパフォーマンスを検証してみました。
ただし、日本では5月はゴールデンウィークがあり、売買できない日が多いことから、9月最終営業日と翌年4月の最終営業日のNYダウの終値を比べます。
1992年から2021年までの30年間で、前年9月末から4月末までのNYダウの騰落率を調べると、騰落率がマイナスだった年はわずか3回しかありません。その3回とは、コロナショックの影響を受けた2022年、そしてリーマンショックの影響を受けた2008年と2009年の3回です。
さらに、平均の上昇率は8.9%、10%以上上昇している年は16回あります。
こうして考えると、格言通りなら(9月に買って5月に売っていたら)かなり高い確率で利益が出せていたでしょう。相場格言は実は過去の確率・統計に基づいたもので、まんざらでもないと言えそうです。
文・高村阿木夫(現役銀行員のマネーライター)
編集・dメニューマネー編集部
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