子育ての費用を含む教育費は、住居費・老後資金と並ぶ家計の3大支出です。「子育てにはどれだけのお金がかかるのか……。」と不安を抱いている方もいらっしゃるでしょう。
確かに子育てにはお金がかかりますが、実は申請すれば貰える給付金もあります。今回は、子育て世代が利用できる給付金について紹介します。
出産時にもらえる「出産育児一時金」
出産時には、健康保険から1児につき42万円の出産育児一時金が支給されます。産科医療補償制度未加入の医療機関等で出産したときは40.4万円、多胎児を出産したときは胎児数分支給(双子なら2倍)になります。「直接支払制度」を利用すれば、健康保険から直接産院に分娩費や入院費を支払ってもらえるので、会計時に大きなお金を用意する必要はありません。
なお、妊婦期間中は14回分の検診費用も助成されます。
中学生までもらえる「児童手当・特例給付」
子供が中学校を卒業するまで児童手当が支給されます。支給金額は下記のとおりです。
子供の年齢 | 支給金額 |
---|---|
0歳~3歳未満 | 1万5,000円(一律) |
3歳~小学校修了前 | 1万円(第3子以降は1万5,000円) |
中学生 | 1万円(一律) |
児童手当を受け取るためには、子供が生まれたらすぐに役所で手続きを行う必要があります。手続きが遅れたら、その期間の手当はもらえなくなるので注意しましょう。
なお、児童手当には所得制限があります。扶養親族などの人数により異なりますが、年収103万円以下の配偶者と子供2人を扶養するモデルケースでは、目安として年収960万円を超えると児童手当ではなく特例給付(一律5,000円)の支給になります。
また、2022年10月からは上記のモデルケースで年収1,200万円を超える世帯は、この特例給付の支給も廃止されました。扶養親族などの人数に応じて、特例給付の支給が廃止となる収入の目安は異なります。
ひとり親世帯に支給される「児童扶養手当」
ひとり親世帯には児童扶養手当が支給されます。
児童扶養手当が支給されるのは下記の児童を養育する母・父・祖父母などです
・18歳に達する日以降の最初の3月31日までにある児童(一般的には高校卒業前の3月)
・一定以上の障害の状態にある場合は20歳未満の児童
金額は所得など状況により異なりますが、全額支給される場合は児童一人で43,070円、2人目が10,170円、3人目以降が6,100円です(※2022年4月以降)。
申請はお住まいの市区町村役所にて行います。
高校の学費が実質不要になる「高等学校等就学支援金制度」
2020年4月より私立高校も無償化の対象となりました。両親の一人が働き、高校生と中学生の子供がいるモデルケースの場合、世帯年収590万円以下であれば私立高校も無償で通えます。
また、世帯年収目安590万円~910万円の家庭は無償にはなりませんが、年間11万8,800円が支給されます。なお、世帯年収目安910万円以上世帯への支給はありません。
入学後に申請書が配布されるので、学校に提出しましょう。
大学の学費を支援する「奨学金」
奨学金というと貸付のイメージがあるかもしれませんが、学ぶ意欲がある学生は給付型の奨学金も利用できる可能性があります。給付には学校からの推薦が必要で、世帯年収などの条件を満たさなければいけません。収入により第一区分、第二区分、第三区分と別れますが、ここでは第一区分について紹介します。
第一区分 | 自宅通学 | 自宅外通学 |
---|---|---|
国公立大学・短期大学・専修学校 (専門課程) | 29,200円 (33,300円) | 66,700円 |
私立大学・短期大学・専修学校 (専門課程) | 38,300円 (42,500円) | 75,800円 |
第一区分として奨学金を利用できる具体的な収入は家族構成により異なりますが、本人、親A(給与所得者)、親B(無収入)、中学生のケースで世帯収入271万円以下の場合適用となります。その他、細かい条件がありますので、詳しくは日本学生支援機構のホームページをご確認ください。
家を買う人がもらえる「こどもみらい支援補助金」
新築戸建を立てる世帯や新築分譲住宅を購入する世帯は、下記の両方を満たすことにより最大100万円が給付されます。
・子育て世帯または若者夫婦世帯のいずれかである場合
・こどもみらい住宅事業者と工事請負契約を締結して住宅を新築する方
住宅の性能により給付金は100万円、80万円、60万円になります。受給するには住宅の性能を示す証明書が必要です。
実際に筆者も現在新築戸建を建設中ですが、ハウスメーカーがほとんどの書類を準備してくれたので手続きに手間はかかりませんでした。
現状、2023年3月31日が交付申請期限となっていますので、家を建てる予定の方はぜひ利用してください。
該当するものがあれば忘れず申請を
子育て世代に支給される給付金や手当は複数あります。受給するためには申請が必要になるので、忘れないようにしてくださいね。
幼保無償化や不妊治療の一部助成など、子育て世代向けの給付金や手当は以前に比べると拡充しています。私たち子育て世代が声を上げていけば、今後も給付金が増えていくかもしれませんね。
文・勝目麻希
(2022年10月25日公開記事)