保険

知らないうちに損をする?保険販売のうまいトークに隠された真実

2022/12/13 07:00

「がんは日本人の死因第一位で、入院や手術をしたら、3割の自己負担でも50万円ぐらいかかりますよ。万が一のために、1日あたり5,000円の医療保険に入っておけば安心ですよね」 保険販売員がこんなセールストークをすることがある。データもあって説得力があるように聞こえるが、この販売員は敢えてあることに触れていない。このトーク

「がんは日本人の死因第一位で、入院や手術をしたら、3割の自己負担でも50万円ぐらいかかりますよ。万が一のために、1日あたり5,000円の医療保険に入っておけば安心ですよね」

保険販売員がこんなセールストークをすることがある。データもあって説得力があるように聞こえるが、この販売員は敢えてあることに触れていない。このトークの“隠された真実”を見抜けるだろうか。

たしかに医療費は3割負担だが……

セールストークにあったように、病気やケガで病院にかかったとき、窓口で支払う医療費の自己負担は3割だ。これは小学校入学年度から69歳以下の人が対象で、70歳以上は2割負担など、負担はさらに軽くなる。

この自己負担3割はがん治療でも同じ。たとえば肺がんで手術(肺葉切除)・入院をした場合、目安として掲げられている医療費の総額は169万1,700円という。3割負担ならば50万7,600円となる(国立がん研究センター中央病院)。

とはいえ「3割負担でも50万円は高すぎる」と思うものだろう。だたし実際には、そこまで払う必要があるわけでもない。

なぜなら「高額療養費制度」があるからだ。これは、同じ月内に払う医療費が自己負担限度額を超えたときに、その超えた分があとで払い戻される仕組みだ。限度額は所得や年齢によって異なる。

上で挙げた肺がんの例では、患者が70歳未満で、標準報酬月額28万円~50万円の場合、自己負担限度額は9万4,347円。3割負担なら50万7,600円だが、支払うのは9万4,347円で、差額の41万3,253円があとから戻ってくる。

販売員のトークに生じる疑問

この高額療養費制度があることを前提にすると、冒頭で紹介した保険販売員のセールストークには疑問が生じる。

たしかに3割の自己負担と仮定するなら費用は50万円だし、1日5,000円保険から出るなら安心かもしれない。

しかし、安心を大きく(保険を手厚く)すれば、その分、保険料が高くつく。高額療養費制度を考慮せずに保険に入ってしまうと、必要以上の保険料を払わなければいけなくなる。

いい販売員を見極めるコツ

残念なことに、保険販売の現場にいた人の話によると、保険販売員の中には、高額療養費制度について知っていてもあえて言わずに商品を勧める人もいるという。

そんな販売員を避けるコツとしては、まずセールストークの中で高額療養費制度の紹介をするかどうかを確かめよう。ベストなのは、こちらから指摘せずとも、販売員からこの制度について紹介してくれる販売員だろう。

しかし、話の流れで高額療養費制度に触れられない場合もあるだろうが、そういう時は、「高額療養費制度」という言葉を使わずに、「医療費が高くなったら戻ってくる制度があると聞いたのですけど」と言ってみてもいいだろう。

このほか、いい販売員かどうか見極めるには、とにかく分からないことを聞くこと。それに対して、自分にとって分かりやすい説明をしてくれることが大事だ。

そして、逆に販売員のほうから困っていることなどを聞いてくること。無理に売ろうとしない、契約を急がせないこと。時には、保険を売る側にとってはあまり言いたくないであろうこともしっかり説明すること……。こういうことができる販売員かどうかを判断するとよいだろう。

文/編集・dメニューマネー編集部

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