かつては「いつかはマイホーム」と言われたものですが、時代の変化にともなってか、「賃貸住宅」を選ぶ人が年々増えています。なぜ賃貸が選ばれるようになったのでしょうか。
着実に増えている賃貸派
「持ち家」派が減っていることは、国土交通省の「土地問題に関する国民の意識調査」(2022年1月調査)で分かります。1994年には持ち家派が83.5%でしたが、最新の結果では66.7%と約30年で持ち家派は20ポイント弱も減っているのです。
特に、コロナ禍の最中である2019年から2021年の間に、6.8ポイントも減っています。ここ数年で意識の変化が加速していることが読み取れます。
賃貸のメリット・デメリットは?
賃貸のメリットやデメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。
ある企業が行った意識調査では、賃貸派のメリットとしてメンテナンスや固定資産税の負担がないことなどが挙げられています。
逆にデメリットは、一生家賃を払い続けなくてはならない点や資産にならない点などです。この点、持ち家はローンを払い終われば、それ以降は住宅取得にお金はかかりませんし、資産として残すこともできます。
あえて賃貸を選ぶ理由 持ち家を“買えない”人も増えている?
賃貸が選ばれる理由には、このような分かりやすいメリット・デメリット以外にもあるでしょう。
まず考えられるのは、物件の値上がりです。特にコロナ禍以降、木材価格が値上がりしたことなどから(ウッドショック)、戸建ての価格が高くなっています。
また、金銭面での余裕がないことも関係していそうです。最近でこそインフレ傾向にありますが、長くデフレが続いた日本は、給料も上がっておらず、ひと昔まえほど豊かな国とはいえなくなってしまいました。
こうした中でマイホームの値段は上がっているのです。2020年~2022年のたった2年で、首都圏の新築戸建て住宅の価格はおよそ20%近くも高くなっているといいます。
また災害が起こった場合、賃貸のほうが住み替えが楽ということもあるでしょう。
このほかにも、人々の消費行動が“所有”から“利用”へ変わっていることもあるでしょう。そうした傾向が強まっていることは、メルカリなどフリマアプリやサブスクリプションサービスが受けていることからも分かります。
家は資産?それとも負債?今後のくらし方を考えて慎重な選択を
このように、さまざまな理由・時代背景から、賃貸住宅を選ぶ人が増えています。
古くから言われている「家は買ったほうがいいのか、賃貸でいいのか」という問いについては、正解はありません。家を資産とらえる人もいれば、負債と考える人もいます。どちらのほうがいいかは、人それぞれです。
ただ、人生のうち長い時間をすごす家ですから、家選びはどういう人生を歩みたいか、ともいえます。
自分なりの答えを見つけるため、模索するしかないのかもしれません。
文/編集・dメニューマネー編集部
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