子どもが親元から離れて夫婦2人になったときに賃貸物件から公営住宅へ引っ越せば、老後にかかる家賃をかなり抑えられることが多い。しかし、公営住宅は住む場所に困っている低所得者のための住宅で、入居資格が厳しく定められている。つまり、誰でも入れるわけではないのだ。
老後に夫婦2人で公営住宅に入るのは、難しいのだろうか。年金収入がいくら以下であれば入れるのか、見てみよう。
夫婦2人で公営住宅に入るのに年齢制限はある?
公営住宅に入るための条件は自治体によって異なるが、2人以上世帯の場合は年齢制限が設けられていないことが多い。
たとえば、東京都が管理する公営住宅である「都営住宅」では、2人以上世帯の入居資格として「申込日に都内に住んでいること」「同居家族がいること」「住宅に困っていること」「所得が決められた基準内であること」と定めているが、年齢については書かれていない。
「お年寄りは物件を借りにくくなる」とよくいわれるが、公営住宅の場合はあまり心配する必要はないだろう。
年金所得がいくら以下なら公営住宅に入れる?
年金所得が具体的にいくら以下なら、公営住宅に入れるのだろうか。
都営住宅の場合、通常は、世帯あたりの年間所得(年金含む)が227万6,000円以下(ひと月あたり約19万円以下)であれば対象になる。ただし、60歳以上の世帯は「特別区分」というものが適用され、年間所得が294万8,000円以下(ひと月あたり約25万円以下)であれば対象になる。
老後夫婦のひと月あたりの所得が実際にどれくらいなのかというと、65歳以上で年金のみを収入源とする夫婦の可処分所得は、約21万円(総務省「家計調査報告(家計収支編」2021年」)。可処分所得とは、収入から税金や社会保険料を引いた金額のことだ。
都営住宅で定められている所得基準と、この可処分所得を考えれば、老後に夫婦2人で公営住宅に入るのはそこまで難しいわけではないといえよう。
公営住宅の家賃は所得や築年数によって異なる
公営住宅の家賃は、世帯の所得や住宅のある地域、住宅の広さ、築年数などによって決められるので、一概にいくらとはいえない。
たとえば、東京都練馬区にある2人世帯向けのアパートでは、所得に応じて3万円〜6万6,000円ほどの家賃が設定されている。
埼玉の公営住宅の中には、収入に応じて2万4,000〜6万6,000円ほどの家賃で住める物件もある。
公営住宅に入るための所得基準や入居後の家賃は、各自治体のWebサイトに掲載されている。老後にかかる家賃を少しでも抑えたいなら、確かめてみるとよいだろう。
文・廣瀬優香(フリーライター)
編集・dメニューマネー編集部
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