離婚すると、専業主婦(夫)や収入が少ないほうも、結婚している間に得た財産(預貯金や退職金、年金)を受け取る権利がありますが、果たしてどういう割合になるのでしょうか。
こうした疑問を解消しておくべきなのは、熟年離婚するかもしれない夫婦です。熟年離婚すると、それまで専業主婦(夫)だった人が、新たに一人で稼いでいくのは大変だからです。最近の統計でも、同居20年以上の熟年離婚は21%で、5組に1組が熟年離婚と意外に高い割合です。
貯金は共有財産になる
結論からいうと、結婚してから貯めた貯金は、夫婦の共有財産なので、名義にかかわらず“2分の1”を受け取れます。
たとえ給与収入などで稼ぎ、財産を築いたのが夫または妻のいずれか一人であっても、その財産をつくるためにはパートナーの協力が欠かせかったと考えられるからです。このため、家事育児を担っていた専業主婦(夫)や収入が少ないほうが不利になることはありません。
ただし、結婚している間にためたすべての財産が分割の対象になるわけではありません。たとえば、独身時代の貯金、別居後の貯金、親から相続したお金などです。これらは、個人の「特有財産」として分割されません。
また、特殊な資格や能力が財産形成に大きく関わっているときも、割合が調整されることがあります。たとえば、医師や弁護士、スポーツ選手、画家などです。
退職金も財産分与の対象になる
退職金も財産分与の対象になります。これは、離婚する時点で既に受け取った退職金も、定年間近で近いうちに受け取る予定の退職金も同様です。
しかし、退職金も全額が対象になるわけではありません。というのも、多くの会社では勤続年数をもとに計算されるためで、独身時代の勤続年数がもとになっている部分をのぞいて計算されます。
婚姻中の厚生年金は分割できる
会社員や公務員が加入する厚生年金や共済年金は、分割して夫婦それぞれで受け取れます。
ただし、離婚してすぐお金を受け取れるとは限りません。自分が年金を受け取る年齢になったときに、引き継いだ年金記録をもとに計算された年金を受け取れます。また、退職金と同じで、分割できるのは婚姻期間中の年金記録だけで、独身時代の分は対象外です。
離婚して夫婦それぞれで生活するとなると、思っていたよりお金が足りなくなり、貧困に陥ってしまうことがあります。特に稼ぐ力が減っている熟年世代は注意が必要です。お金の正しい知識を身につけ、生活設計を立てた上で、悔いのない選択をしましょう。
文・木崎 涼(ファイナンシャル・プランナー)
編集・dメニューマネー編集部
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