相続に備えたい

2024年に相続税のルール変更へ 親からもらえる財産を減らさないための対策

2022/12/28 07:00

相続税の計算が2024年に変わり、相続で払う税金が増えてしまうかもしれません。相続税のルールでは、親が亡くなって相続が発生した時の財産だけではなく、亡くなる直前に贈与(生前贈与)していた財産も、一部は相続財産として課税される仕組みですが、この対象が広がる見込みなのです。税金を安くするにはどうしたら良いのでしょうか。 亡

相続税の計算が2024年に変わり、相続で払う税金が増えてしまうかもしれません。相続税のルールでは、親が亡くなって相続が発生した時の財産だけではなく、亡くなる直前に贈与(生前贈与)していた財産も、一部は相続財産として課税される仕組みですが、この対象が広がる見込みなのです。税金を安くするにはどうしたら良いのでしょうか。

亡くなる3年以上前の贈与分は対象ではなかったが……

今のルールでは、相続税の対象になるのは、亡くなった時の財産と、亡くなる前“3年以内”に贈与した財産ですが、2024年からは、亡くなる前“7年以内”に贈与した財産が対象になります。

つまり、今のルールでは課税されなかった3年前の前日から7年前に贈与した財産に、相続税がかかるようになるということです。この仕組みは、亡くなる直前に駆け込みで贈与することで相続税から逃れることを防ぐもので、「持ち戻し」といいます。その対象範囲が広がるわけです。

たとえば2024年12月27日に親が亡くなって相続が発生した場合、現行ルールのままなら、課税されるのは2021年12月27日以降に贈与した分ですが、新しいルールだと2017年12月27日以降の贈与分が対象になります。

対策は早めに年間110万円の生前贈与を始めること

新しいルールでも相続税を抑えるには、早く財産を贈与してしまえばいいのですが、いつ相続が発生するか、つまり親が亡くなるのがいつになるかは分かりません。このため、現実的に考えられる対策としては、親の存命中に年間110万円以内の贈与を早く始めておくことでしょう。

贈与額が年間110万円以内なら贈与税はかかりません。これは今のルールでも可能ですし、今のところ2024年のルール変更後にもできる見込みです。

たとえば親が子(20歳以上)に、現金1,000万円を一括で贈与すると、かかる贈与税は177万円ですが、110万円以内(たとえば毎年100万円など)で毎年渡せば、結果的に10年で贈与でき、贈与税もかかりません。

ただ、財産(遺産)が現金1,000万円だけなら相続税はかかりませんが、現金以外にも遺産があって総額で「3,000万円+600万円×相続人の数」で計算した金額以上になると、基本的に相続税がかかってしまいます。

親がいつ亡くなるのか、事前に把握はできませんが、少しでも早くに財産を贈与しておくと、実際に相続が起きたときに7年が経っていて相続税がかからずに済む確率が高くなります。

「相続のことを家族で話すのは気が引ける」という人もいるでしょうが、実際に相続が起きてから慌てないように、家族で話し合っておくことが大切です。

文・大垣秀介(マネーライター)
編集・dメニューマネー編集部

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