贈与税の計算方法が2024年に変わり、制度をうまく使えば税金を安くできるかもしれません。現在のルールでは、税務署で手続きを行って税金の計算方法を変更すると、親から子どもに財産を渡しても累計2,500万円までは贈与税がかかりませんが、税金がかからずに済む金額が上がる見込みです。これまでより多くの財産を、税金がかかることなく子どもが受け取れます。
2,500万円に加えて110万円の非課税枠が新設される
親が子どもに財産を渡す際に相続時精算課税制度を使うと、親が亡くなるまで最大2,500万円までの贈与で贈与税がかかりませんが、2024年からは非課税枠がさらに年間110万円分広がります。
新設される110万円の非課税枠は、各年で使えます。例えば5年かけて財産を渡す場合、これまでは2,500万円まで贈与税がかからなかったのが、「110万円×5年=550万円」が追加で非課税になるので、最大で3,050万円まで贈与税が発生することなく渡せます。
これまでは贈与額が2,500万円を超えると20%の贈与税がかかったので、3,050万円なら「超過分550万円×20%=110万円」もの税金がかかりましたが、これからはかかりません。
毎年の贈与額が110万円以下なら面倒な申告手続きは不要
相続時精算課税制度を使って財産を子どもに渡すと、累計でかなりの額の贈与でも贈与税がかからないことがメリットですが、贈与をしなかった年でも税務署で手続きが必要で、手間がかかることがデメリットでした。
しかし2024年からは、1年間の贈与額が110万円以下なら、申告手続きが不要になります。デメリットが解消されて、節税というメリットだけが残るわけです。
もしも相続時精算課税制度を使わないと、親が成人の子どもに1,000万円を渡す場合は177万円もの贈与税がかかりますが、この制度を使えば税金はかかりません。
ただし、この制度を使って贈与した財産は、相続税の計算に含まれることに注意が必要です。
とはいえ、贈与分と親の遺産が合計で「3,000万円+600万円×相続人の数」で求めた額以下なら相続税はかからないので、相続税の計算に含まれることを気にする必要はありません。
2,500万円まで贈与税がかからずに済む分、より多くの財産を親から子どもに渡せるので、相続時精算課税制度の活用を検討してみるとよいでしょう。
文・大垣秀介(マネーライター)
編集・dメニューマネー編集部
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