GT-Rが8000万超え!コレクターが探す「次のプレミアム中古車」は日本製のMT車?

2023/01/05 10:00

1990~2000年代に生産された希少性の高いプレミアムスポーツカーの価格が高騰し続けています。特に走行距離が少ない車体の価格はすさまじく、最近、スカイライン GT-Rに8000万円以上の価格もついたばかりです。 あまりの高騰ぶりから、多くのコレクターは「さすがに手が出ない」と、手が届きやすい、希少性がそこまで高くない

1990~2000年代に生産された希少性の高いプレミアムスポーツカーの価格が高騰し続けています。特に走行距離が少ない車体の価格はすさまじく、最近、スカイライン GT-Rに8000万円以上の価格もついたばかりです。

あまりの高騰ぶりから、多くのコレクターは「さすがに手が出ない」と、手が届きやすい、希少性がそこまで高くない車を探し始めています。その多くは日本メーカーのMT(マニュアルトランスミッション)車です。

なぜMT車が注目されているのでしょうか(1ドル約132円で計算しています)。

日産GT-Rの価格がフェラーリ新車の2倍以上?

近年、カリスマ的人気を誇る日本のスポーツカー「日産スカイライン GT-R」の代表格は、3代目の「R32」(1989~94年)でしたが、最近は5代目の「R34」(1999~2002年)の価格が高騰していました。

限定仕様の「VスペックII ニュル」が40万ドル(約5,294万円)を超えるなど、以前の4~8倍以上で取引きされています。

つい最近も歴代GT-Rの最高値が更新されています。2022年11月、走行距離ほぼゼロの「1999年型R34」が510万香港ドル(約8,608万円)で売却されたのです。これは、「フェラーリ458スパイダー」(26万3,553ドル/約3,488万円)の新車価格の2倍以上の価格です。

価格が跳ね上がっているのはGT-Rだけではありません。「ホンダ S2000CR」は1999年から2009年まで北米市場向けに700台のみ生産されましたが、過去5年間で3万ドル(約397万円)から6桁台(数千万円)へ値上がりしています。

日本車だけでなく、海外メーカーのMT中古車も高騰しています。生産台数がわずか125台の「ブガッティEB110」(1991~95年)のように希少性の高い車は、相場が300万ドル(約3億9,745万円)。過去17年間で6倍になっています。

希少性がそこまで高くないMT中古車に注目

このような中、コレクターの中には「既にプレミア化している高額MT車は手が届かないが、もう少し希少性の低いモデルならば入手できる」と考える人が増えています。

そこで注目が高まりつつあるのが、90年~2000年代初頭に生産された「スバルアルシオーネSVX」 「トヨタMR2ターボ」 、ガルウイングが特徴の「トヨタ・セラ」 、オープン2シーターの軽自動車「ホンダ・ビート」、 「三菱エクリプススパイダーGT」などの日本車のほか、「ポルシェ986」 などです。

2022年12月末現在のMT仕様の中古平均価格は1万ドル(約131万円)前後、安いものは5,000ドル(約65万円)未満で買えます。

MT中古車の人気が高まっている理由

MT中古車の価格が高騰しているのは、「市場からMT車が消えてしまうのではないか」という不安感がMT車ファンの間で高まっているためです。既に主流はオートマチック(AT)車ですし、最近は電気自動車(EV)への移行も加速しています。

既にMT車も、MT車を運転できるドライバーも減っています。現在アメリカで生産されている車のうちMT車はわずか1%、MT車を運転できるアメリカ人は18%という調査結果が報告されています。そのため、一部のモデルは同年式・同グレードでもAT車よりMT車の方が珍重される傾向があるといいます。

現時点でプレミア化していないMT中古車のメリットは、希少性が低い分、比較的手頃な価格で入手できることです。そのため、将来的な値上がりを期待して購入するコレクターが増え、これがプレミア化していないMT中古車の値段を押し上げています。

現行のMT車も数十年後にはプレミア化するかも?

日本でMT車が国産乗用車に占める割合も1%あまりですが、各メーカーは根強いMT車ファン向けにMT仕様のモデルを発表しています。

現行のスポーツカーはトヨタの「GR86」「スープラRZ」、ホンダの「シビック EX」 「シビックタイプR」、あるいは2022年3月に生産終了した「S660」などです。海外メーカーではBMWやポルシェ、アストン・マーティンなどがMT仕様モデルを発売しています。

ラインアップや生産台数が年々減っているMT車ですが、それゆえにメーカー側のこだわりが満載された名車揃いです。今のうちに入手してしっかりとメンテナンスしておけば、数十年後には希少性が上がりプレミア価格で売れるかもしれません。

文・アレン琴子(英国在住のフリーライター)
編集・濱田 優(dメニューマネー編集長)

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