2023年の株価はどうなる?米国金利が4.625%を下回れば株高も

2023/01/06 11:00

2023年の世界の株式市場を左右する重要な要因が、米国の金利動向だ。株式市場では、基本的に金利が下がると景気を刺激する期待から株が上がり、金利が上がると景気の過熱を冷ます効果から株が下がる傾向にある。金利次第で株価予想も大きく変わる。 2023年の米利上げ予想を紹介しよう。 2022年株式市場の下落は金利上昇による景気

2023年の世界の株式市場を左右する重要な要因が、米国の金利動向だ。株式市場では、基本的に金利が下がると景気を刺激する期待から株が上がり、金利が上がると景気の過熱を冷ます効果から株が下がる傾向にある。金利次第で株価予想も大きく変わる。

2023年の米利上げ予想を紹介しよう。

2022年株式市場の下落は金利上昇による景気後退懸念

2022年は世界の株式市場は波乱の展開だった。

日経平均株価、NYダウともに9%安と4年ぶりの下落となった。アップル、アマゾン、グーグル、マイクロソフト、テスラなど大手IT企業のウェイトが高く日本の個人投資家にも人気の米ナスダック総合指数は33%安とリーマンショックで41%下げた2008年以来の大幅下落だった。

株安の背景は各国の金利上昇だ。2020年にコロナによる経済の落ち込みを防ぐため、世界の中央銀行は過去最大級の金融緩和を行った。その結果、世界の株式市場の多くが2020年〜2021年に上昇した。

しかし、コロナ禍からの景気急回復を受けた品不足と2022年2月のロシアのウクライナ侵攻で、インフレが世界を襲った。インフレは通貨の価値が下落するため、インフレ抑圧は世界の中央銀行がもっとも重視する政策の一つだ。

インフレを回避するため、米国が先導し世界の中央銀行は金融引き締めにスタンスを転換した。

米国の政策金利であるフェデラル・ファンド(FF)・レートの誘導レンジは年初の0〜0.25%(中央値0.125%)から年末には4.25〜4.5%(同4.375%)まで4.25%も上昇した。この急激な金利上昇が世界景気後退を招くとの懸念から株安となったのだ。

FRB見通しでは2023年末に5.125%、年間で0.75%の利上げを見込む

世界の金利動向を先導するのが米国の金利だ。なかでも米連邦準備制度理事会(FRB)の政策金利が米国の金融政策の方向性を示す。政策金利は年8回開催されるFOMCでFRB理事による投票で決まる。さらに、将来の金利についての理事の見方(ドッドチャート)も公表される。

直近の2022年12月FOMCでドットチャートの平均値は2022年末の中央値が4.375%、2023年末は5.125%、2024年末が4.125%だった。

FOMC後、パウエル議長は声明文で、「政策金利をしばらく引き締め水準で維持する必要がある」「2023年の利下げは検討していない」との利上げに対する強い姿勢を示した。

2023年はトータルで0.75%の利上げが行われ、利下げはないというのがFRBの見方である。 利下げに転じるのは2024年以降を想定している。

市場は2023年に利下げ転換を予想

FRBが利上げ継続見通しなのに対し、市場はFRBが利下げに転じると予想しはじめた。CMEFFレート先物の価格から市場が予想しているFFレート水準は、2023年末で4.625%である。FRB見通しを0.5%下回っている。

インフレ懸念の後退もしくは景気後退懸念の高まりからFRBは2024年後半には金融緩和へとスタンスを転じるというのが市場のコンセンサスになりつつある。

具体的には、2023年初回の2月1日のFOMCで0.25%の利上げで4.625%、3月22日のFOMCでさらに0.25%利上げで4.875%となる。しかし、年央には頭打ちとなり、年後半には利下げに転じて4.675%に低下するとの見方がコンセンサスである。

2023年末に政策金利4.625%を下回る見方となれば株高も

今後のインフレ指標、経済指標によって、市場の2023年末のFFレート予想が4.625%より上になるか下になるかが一番重要な分岐点になる。

上回るようなら2023年の株式市場もリスク回避の動きとなりやすく、下回るようなら金利低下による株高の可能性がある。

米国の金融政策とともに、日銀の金融政策は、2023年も株式市場と為替市場の重要な市場変動要因となりそうだ。

文/編集・dメニューマネー編集部

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