島忠を買収したニトリが34期連続の増収増益を発表!コロナ禍でなぜ好調?

2021/04/10 12:00

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ニトリホールディングス <9843> が3月31日に発表した2021年2月期の通期連結決算で、34期連続で増収増益を達成しました。34期といえば、1988年2月期からずっと収入も利益も増え続けているということです。 この34年間で店舗数は45倍、売上高は69倍、経常利益は276倍になりました。特に2021年

ニトリホールディングス <9843> が3月31日に発表した2021年2月期の通期連結決算で、34期連続で増収増益を達成しました。34期といえば、1988年2月期からずっと収入も利益も増え続けているということです。

この34年間で店舗数は45倍、売上高は69倍、経常利益は276倍になりました。特に2021年2月期はコロナ禍が直撃した1年間でしたが、売上高、営業利益、純利益どれを取っても、コロナ前より伸び率が拡大しています。

店舗ビジネスのニトリが、コロナ禍においてさらに業績を伸ばしたのは、どのような背景があるのでしょうか。

売上高の伸びをけん引したのはEC事業

コロナ禍の影響を直に受けた2021年2月期の売上高と、コロナ禍の影響をほとんど受けていない2020年2月期の売上高を比べてみましょう。

2021年2月期の売上高:7,169億円(前年比746億円増加)
2020年2月期の売上高:6,422億円(前年比341億円増加)

このように、コロナ禍の影響をもろに受けた2021年2月期の売上高のほうが、増加幅が2倍以上になっています。

それでは、部門毎の売上高の変化を見ていきましょう。矢印の左側が2020年2月期の数字、右側が2021年2月期の数字です。

店舗売上高(海外含む):5,746億円 → 6,238億円(492億円増加)
通販(EC)     :443億円 → 705億円(262億円増加)
法人&リフォーム   :103億円 → 93億円(10億円減少)
賃貸収入 :73億円→74億円(1億円増加)
その他 :55億円→57億円(2億円増加)

店舗売上高が圧倒的に大きいため、492億円という数字が目につくかもしれませんが、伸び率で見ると前年比8.6%増です。むしろ、着目すべきはEC事業でしょう。2020年2月期は443億円でしたが、2021年2月期は705億円と1.5倍以上の伸びになっています。

コロナ禍を追い風に業績拡大

実は、コロナ禍になるまでの過去数年間では、EC事業は以下のように、成長が鈍化していた部門でした。

通販事業の純売上高前期比(国内分のみ)
2018年2月期:134.9%
2019年2月期:127.3%
2020年2月期:114.7%
2021年2月期:159.3%

ニトリの企業努力は一定程度あるにしても、この成長率の推移を見ると、コロナ禍が2021年2月期のEC事業の追い風になったことは確かでしょう。

ただ、いくらコロナ禍によって消費形態が接触型(店舗)から非接触型(オンライン)に移ったと言っても、生活に必要なものでなければ買ってもらえませんから、大きな売上増にはつながりません。

ニトリが発表した決算短信にも「巣ごもり消費やこれまでより多くの時間を自宅で過ごす新しい生活様式の定着により、家具・ホームファッション商品ともに大変好調に推移いたしました」と書かれているように、コロナ禍の消費トレンドにうまく乗れた結果だったようです。

テレワークの普及で、自宅用の作業椅子や作業テーブルを新たに購入した人も多かったのではないでしょうか。実際、ニトリが開発した、デスクとしても使える昇降式リビングテーブル「リフティ」も人気を得たそうです。

島忠を買収したニトリが34期連続の増収増益を発表!コロナ禍でなぜ好調?
リフティ (画像=ニトリウェブサイトより)

一方で前述のように、法人&リフォーム部門は前期比10億円の売上減少となりました。こちらはリモートワークの普及で、企業がオフィスへの投資を抑えた影響を受けたことが予想されます。

島忠との経営統合をどのように進めるか

ニトリといえば、ホームセンター大手の島忠を公開買い付けTOB)して、2021年1月に連結子会社化したことも注目を集めました。島忠は2021年3月24日をもって上場廃止となっています。

島忠との経営統合をどのように進めるかは、2022年2月期における大きなトピックです。2021年2月期の決算説明資料でも、全31枚のスライドのうち5枚が島忠関連になっており、熱量の高さがうかがえます。

円滑な統合を進めて、5年間で島忠の経常利益率を約2倍(2020年8月期実績6.6%から2026年2月期計画12%へ)を目指すとしています。

17期連続の増配

ニトリは2021年2月期の年間配当金を1株あたり123円としました。これで17期連続の増配です。もしニトリ株を長期で保有していた場合、業績拡大に伴うキャピタルゲイン(値上がり益)はもちろん、配当によるキャピタルゲインも大きな利益となっていたでしょう。

2022年2月期は35期連続の増収増益を達成できるのか、18期連続の増配を実施するのか、注目していきましょう。

文・菅野陽平(ファイナンシャル・プランナー)
編集・dメニューマネー編集部

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