住宅ローンの繰り上げ返済は金利節約のために元金を前倒しで返済する方法で、住宅金利が上がると噂される今検討する人が増えていますが、安易に選んではいけない注意点もあります。
注意点1 手元に残るお金が減る
1つ目の注意点は、返済でまとまったお金を使うと手元のお金が減り、急な出費に対応できなくなるかもしれないことです。
一般的に事故や病気、転職など、何かあったときのためのおいておくお金(予備資金)は生活費の6ヵ月分ほど必要といわれており、たとえば50代の1ヵ月の生活費平均は約29万円なので、180万円ほど要る計算です。
しかし予備資金を繰り上げ返済に使ってしまうと、収入が減ってしまったときに生活が苦しくなってしまいます。
繰り上げ返済をするときは貯金をすべてあてるのではなく、予備や将来のためのお金を残しておくとよいでしょう。
注意点2 金利が低いと効果が少ない
2つ目の注意点は、契約しているローンの金利が低い場合、繰り上げ返済をしても利息が大きく減らないため、効果が少ないことです。
今は住宅ローンの変動金利が低くなっているので、まとまった資金ができたなら、繰り上げ返済より資産運用に回す方がよいかもしれません。
もしくはすぐに繰り上げ返済するのではなく、変動金利の利息が上がる前に返済を考えるのもひとつです。
注意点3 返済方法を間違えると効果がない
3つ目の注意点は、返済方法を間違えると繰り上げ返済の効果がないことです。
繰り上げ返済には、毎月の支払額を減らせる「返済額軽減型」と、返済期間が短くなる「期間短縮型」がありどちらかを選ぶのですが、選び方を間違えると繰り上げ返済の効果があまりなく、手元のお金が減るだけになります。
たとえばローンをはやく終わらせたい人が「返済額軽減型」を選ぶと、月々の支払い額は減りますが支払期間は変わらないので、繰り上げ返済した効果がありません。この場合、「期間短縮型」を選ぶほうがよいでしょう。
期間短縮型は、月々の支払額は変わりませんが支払期間が短くなるので、完済までのローン総額を大きく減らせます。
返済軽減型は返済までの期間が変わりませんが、毎月の支払額を数千~数万円減らすことができます。しかし利息はあまり減らないので、返済総額は期間短縮型よりも多くなります。
また金融機関によっては繰り上げ返済に手数料がかかるので、何度も繰り上げ返済をすると思わぬ出費につながることもあり注意が必要です。
文・山田千景(ライター)
編集・dメニューマネー編集部
【関連記事】
・絶対避けたい!「老後破産」特集
・初心者が投資を始めるなら何がおすすめ?(外部)
・いつ借りる?借り換える?「住宅ローン」
・積立NISAを始めるタイミングは2023年がベスト?(外部)
・お金が貯まる?「風水・占い」特集