「日本銀行券」──渋沢栄一が1万円券の肖像に

2021/07/21 05:00

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連載 そのコトバ、子どもに説明できますか? 投資や経済、金融、ビジネスで頻出するさまざまな専門用語。なんとなく知っている程度で済ませている言葉はたくさんある。そんな専門用語も、だれかにちゃんと説明できるようになれば、しっかり理解していると言えるはず。中学生くらいの子供に向けて、専門用語を説明できるようになるための連載。

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投資や経済、金融、ビジネスで頻出するさまざまな専門用語。なんとなく知っている程度で済ませている言葉はたくさんある。そんな専門用語も、だれかにちゃんと説明できるようになれば、しっかり理解していると言えるはず。中学生くらいの子供に向けて、専門用語を説明できるようになるための連載。

第2回「日本銀行券」──日本銀行が発券するお札、3年後に肖像が変更

NHKで放映されている大河ドラマ「青天を衝け」の主人公である渋沢栄一が、2024年ごろに発行される新しい1万円札の肖像になります(現在は福澤諭吉)。渋沢栄一は、第一国立銀行(日本最古の銀行)をはじめとして、東京株式取引所(現在の東京証券取引所)など約500もの企業の設立などに関わった、「日本資本主義の父」とされている明治時代の偉人です。

「貨幣も日銀が発行している」は誤解

第2回のテーマである「日本銀行券」。これは日本銀行が発券している紙幣のことを指します。「日本銀行」(日銀)は「日本で唯一の発券銀行」です。

お金は「紙幣(しへい)」と「貨幣(かへい)」に分けられます。紙幣は「お札」のことで、千円、2千円、5千円、1万円の4種類があり、貨幣はいわゆる「硬貨」(コイン)のことで、1円、5円、10円、50円、100円、500円の6種類があります。

日本銀行券は国立印刷局によって製造され、日銀が引き取り、日銀の取引先がこれを引き出すことで社会に流通していきます。よくある誤解ですが、「貨幣」を発行しているのは日銀ではありません。発行しているのは政府です。「貨幣」は造幣局が製造し、その後日銀へ渡ります。社会に流通していく流れは紙幣と同じです。

ちなみに、現在私たちが使用している「貨幣」はすべて円形ですが、江戸時代には大判や小判、豆板銀や丁銀など、多種多様な形や大きさのお金が流通していました。しかし、その後、日本の近代化を推進した明治政府が利便性や大量生産といった観点から、円形で統一したとされています。

そもそもなぜ「紙幣」と「貨幣」があるのか それぞれにある長所と短所

そもそもなぜ紙幣と貨幣があるのでしょうか。

「紙幣」は軽くて薄いため、持ち運びには非常に便利な反面、紙でできているため、汚れや耐久性が弱点です。日銀によると「紙幣(しへい)」の寿命は、「一万円券で4~5年程度、五千円券、千円券は使用頻度が相対的に高く傷みやすいため1~2年程度」といいます。

一方、貨幣のほうは、金属でできているため耐久性に優れています。ただ、持ち運びには一定の限界もあります。電子マネーやキャッシュレス決済の利用が推進されている影響もあって、使う機会が減ったという人も多いのではないでしょうか。コロナウイルスの感染を防止するため、現金を触ったり受け渡したりすることも避けている人も少なくないでしょう。実際に流通枚数も減っていて、例えば1円の流通枚数は2002年をピークに減少傾向にあります。

500円硬貨のデザインも替わる予定

電子マネーについて触れましたが、最近では、日本銀行がデジタル通貨を発行するという構想もあります。

冒頭でお札の肖像交代について触れましたが、1万円札だけでなく、5千円札(樋口一葉から津田梅子)、千円札(野口英世から北里柴三郎)も変わります。そして500円硬貨も近く新しいデザインになる予定です(今年上半期の予定がコロナウイルスの影響で延期になりました)。

日本銀行券をはじめとした身近なお札・硬貨を通して社会の動きについて考えてみるのも面白いかもしれません(文中、故人敬称略)。

文・若杉篤史(RAKAN RICERCA代表)
編集・濱田 優(dメニューマネー編集長)

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