マクドナルドが2023年1月16日、ハンバーガーを150円から170円(税込み)に値上げした。昨年3月、9月に続く3度目の値上げとなる。値上げは利益率改善による売上増につながる場合と需要が減退して売上減につながる場合がある。過去の値上げで業績や株価がどう動いたかを検証してみよう。
マクドナルド値上げは株式市場でポジティブな反応
日本マクドナルドHD <2702> は1月16日、およそ8割の商品を10円〜150円の幅で値上げした。ハンバーガーは150円(すべて税込み)から170円、ビッグマックは410円から450円、マックフライポテト(M)は290円から330円へ値上げだ。
マクドナルドは22年3月と9月にも値上げをしており、この1年で110円から170円に60円(55%)も値上がりした。原材料価格、人件費、物流費、エネルギーコストの上昇を商品価格に転嫁する。
マクドナルドが値上げを発表したのは1月6日の引け後だ。翌1月10日の株価は40円(0.8%)高の5110円としっかりだった。
株式市場では企業の値上げは、売上増、採算改善の期待から株価がプラスになることが多い。特に生活必需品のように値上げでも需要が大きく減らない商品やマクドナルドのように人気商品にその傾向が強い。
2022年12月期の業績について11月14日に期初予想の修正を発表した。売上は月次の好調な推移から3330億円を3500億円(前年比10.2%増)に170億円(5.1%)の上方修正。
しかし営業利益は340億円を325億円(前年比2.5%減)に15億円(4.4%)の下方修正を発表した。急激な円安、原材料価格やエネルギーコストの上昇が利益の圧迫要因となった。2023年1月の値上げは、売上が落ちなければ、2023年3月期決算の上乗せ要因になる。
また、輸入原材料高も円高が一服したことから、2023年1Qは採算も改善する可能性が高そうだ。
過去の値上げ実施時の売上動向は?
多くの外食店がコロナ禍で売上を落とした。赤字に陥るチェーン店も多かった。
しかし、マクドナルドは、非接触のドライブスルー、デリバリーなどを強化して支持されたため、コロナ禍でも売上を伸ばす勝ち組だった。2021年月期決算は売上も営業利益も6年連続の増加。営業利益は2021年、2022年3月期と2期連続で過去最高益を更新した。
インフレ下でもマクドナルドの強さは際立っている。
外食店の売り上げ動向を見るのに、新規店舗を含まない既存店の売上動向を見る。マクドナルドはコロナが最初に流行した2020年3月、行動規制が敷かれた2020年6月こそマイナスに転じたが、20年7月以降30ヵ月連続でプラスだ。値上げした2022年3月も12.6%増、9月も4.9%増と落ち込みはなかった。
2022年を四半期別に見ると、1Qは9.4%増、2Qは8.8%増、3Qは5.4%増、4Qは12.5%増とむしろ4Qは拡大した。
過去にはデフレの象徴だったが、今回はインフレの象徴になるのか?
1980年代の平成バブルの時期は、マクドナルドのハンバーガーは過去最高値の210円だった。その後、円高原材料安を背景に、日本はデフレに突入し2002年には59円の過去最低まで値下げした。
2005年にはデフレの象徴「100円マック」が始まった。マクドナルドの過去最高売上は2008年12月期だ。2006年12月期から6年連続で営業増益と低価格を武器に業績を伸ばしデフレの勝ち組とされた。
デフレ、コロナで勝ち組だったマクドナルドはインフレでも勝ち組になるのか?値上げ実施後の決算内容に注目だ。
文/編集・dメニューマネー編集部
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