富裕層は足元の「第二次ビットコインブーム」をどのように見ているのか?

2021/04/15 07:00

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暗号資産(仮想通貨)の代表格であるビットコインの価格上昇が続いています。2019年初は1ビットコイン40万円強でしたが、足元では600万円を超えています。2年4ヵ月で約15倍という上昇率です。 実は、ビットコインの急激な上昇は数年前にもありました。2017年初は約10万円だった価格が、2017年末には220万円を超え、

暗号資産(仮想通貨)の代表格であるビットコインの価格上昇が続いています。2019年初は1ビットコイン40万円強でしたが、足元では600万円を超えています。2年4ヵ月で約15倍という上昇率です。

実は、ビットコインの急激な上昇は数年前にもありました。2017年初は約10万円だった価格が、2017年末には220万円を超え、1年間で20倍以上になったのです。言わば、2017年が“第一次ビットコインブーム”、今回が“第二次ビットコインブーム”と言えるでしょう。

富裕層は、一般的に、優良な情報が集まりやすく資産運用に敏感と言われますが、果たして足元の「第二次ビットコインブーム」をどのように見ているのでしょうか。

暗号資産がアセットクラスの1つとして認められた

プライベートバンカー資格を持つ筆者は、野村證券の営業マンとして、日本最大級の資産運用メディアの編集長として、多くの富裕層やプライベートバンカーと接してきました。

彼らの話を踏まえ、自身の見解をまじえた結論として言えることは、「第二次ブームをもって、ビットコインを始めとする暗号資産が、ポートフォリオを構成する1つのアセットクラスとして認められた」ということです。

第一次ブームのときや、第二次ブームの初期段階では、まだ“正体不明のキワモノ”もしくは“遊びの延長線上の投機対象”扱いでした。

第一次ブーム時も投資している富裕層は多くいましたが、カジノでギャンブルに興じるように、「よく分からないが、面白そうなので、無くなっても良いこの1,000万円で値動きを楽しんでみよう」という人が多かった印象です。いわば、自分の資産ポートフォリオのひとつとしてはみなしておらず、ポートフォリオの外にある「あぶく銭で遊ぶ対象」でした。

それが、第二次ブーム中期頃から、資産ポートフォリオを構成する1つのアセットクラスとして認められ始めました。これは、第一次ブームと第二次ブームの決定的な違いと言えるでしょう。

一定の評価を確立しつつある暗号資産

これは富裕層個人に限った話ではありません。プロ投資家とも言える機関投資家や、本業が別にある事業会社もビットコインの購入を進めています。

米電気自動車(EV)メーカーのテスラが、総額15億ドル(約1,600億円)をビットコインに投資したことは記憶に新しいところです。4月1日には、ゴールドマン・サックスが富裕層顧客にビットコイン投資サービスを近く提供すると報道されました。ヘッジファンド業界の大物中の大物と言えるレイ・ダリオ氏も、ビットコインに対して一定の評価をしていると報道されています。

まだまだ評価が分かれる暗号資産ですが、第一次ブーム時に比べて、一定の評価を確立していることは確かでしょう。

富裕層はポートフォリオの何%を暗号資産に振り向けるべき?

それでは、富裕層はポートフォリオの何%を暗号資産に振り向けているのでしょうか。暗号資産に対する期待値や理解度にもよりますが、

「ボラティリティ(資産価格の変動幅)が大きいので、最大でも全資産の5%前後の配分が望ましい。流動性の観点から見ても、大部分をビットコインで保有し、一部をイーサリアムなどのアルトコイン(ビットコイン以外の総称)で持てば良いだろう」(クレディ・スイス出身のプライベートバンカー)

という言葉は傾聴に値します。アセットクラスとして認知されたとはいえ、現在の価格は歴史的高値であり、突然の金融当局の介入リスクも拭えません。

既に一定の資産を保有している富裕層の場合、価格急落があった際もポートフォリオ全体が大きなダメージを負わないように、最大でも5〜10%の保有比率に抑えることが望ましいでしょう。

富裕層の間では「暗号資産取引は法人口座で」が常識になりつつある

富裕層の資産管理にとって、最大の敵は税金と言っても過言ではありません。暗号資産も例外ではありません。

暗号資産を個人名義で売却して利益がでた場合、原則として雑所得となり、所得税の課税対象になります。所得税は累進課税のため、所得によって税率が上がっていき、最大で45%、住民税を入れると55%にもなります。

そのため、富裕層の暗号資産取引は、法人口座で行うことが常識になりつつあります。中小法人の場合、所得税の税率は所得800万円まで15%なので、住民税を含めても、個人名義で取引するより税金が有利になるケースが多いためです。

富裕層の行動が「個人の資産運用トレンド」の最先端

一般的に、富裕層には優良な情報が集まりやすく資産運用に敏感と言われています。富裕層の行動が「個人の資産運用トレンド」の最先端と言っても良いでしょう。

この第二次ブームはいつまで続くのか、そのとき富裕層はどのように行動するのか。今後も注目していきたいと思います。

文・菅野陽平(ファイナンシャル・プランナー)
編集・dメニューマネー編集部

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