セブン&アイは「ガソリンスタンド」へ転身? 業績絶好調でも油断できないワケ

2023/01/26 07:00

ヨーカ堂、セブン-イレブンを傘下にもつセブン&アイ・ホールディングス<3382>の業績が絶好調だ。特に海外コンビニ事業が好調で、今期は3回の上方修正を行い、売上と利益ともに過去最高を更新する勢いだ。株価は22年ぶりの高値圏にある。 ただ、好業績はスーパーやコンビニ売上でなくガソリン売上に支えられている。好業

ヨーカ堂、セブン-イレブンを傘下にもつセブン&アイ・ホールディングス<3382>の業績が絶好調だ。特に海外コンビニ事業が好調で、今期は3回の上方修正を行い、売上と利益ともに過去最高を更新する勢いだ。株価は22年ぶりの高値圏にある。

ただ、好業績はスーパーやコンビニ売上でなくガソリン売上に支えられている。好業績、株高には死角はないのだろうか?

3度目の上方修正で株価は2001年以来の高値

セブン&アイは2023年1月12日、2023年2月期第3四半期(3〜11月)の決算発表を行った。売上は44%増の8兆8237億円、営業利益は30%増の3948億円。営業利益は同期間では過去最高だ。

同時に2023年2月通期予想で、売上を11兆6460億円から11兆8120億円に1660億円、営業利益を4770億円から5000億円に230億円の大幅上方修正をした。営業利益は2020年2月期の4242億円を抜いて過去最高を更新する見込みだ。上方修正は7月、10月に次いで3度目となる。

好決算を受けて翌1月13日の株価は351円高の6142円高(6.1%)と急騰。2001年以来、22年ぶり高値をつけた。

セブンの稼ぎ頭は海外コンビニ事業

セブン&アイは「ガソリンスタンド」へ転身?
(画像=JHVEPhoto / stock.adobe.com(2022年3月撮影))

セブン&アイは、2021年に米国のガソリンスタンド併設型のコンビニ大手「スピードウェイ」を2.3兆円で買収をした。買収前もセブン-イレブンは米国でトップのコンビニだったが、業界3位のスピードウェイの買収で市場シェアを10%程度まで高めた。

第3四半期決算で、海外コンビニは売上で88%増の6兆6282億円と全体の75%を占めるまで拡大、営業利益で82%増の2275億円と全体の58%を占める稼ぎ頭となっている。今期の海外コンビニの営業利益は前期比69%増の2866億円まで拡大する見込みだ。

一方、国内コンビニは第3四半期の売上で2%増の6716億円と全体の8%にすぎない。営業利益では5%増の1853億円と47%を占めているが、2022年2月期の営業利益予想は4%増の2317億円と米国の伸びと比較すると見劣りする。

すでにセブン-イレブンは米国コンビニ事業の依存が高い会社に変身している。

そして海外コンビニ事業の収益の多くは「ガソリン売上」

海外コンビニをさらに分析してみると、第3四半期の売上は60%増の511億ドル。そのうちガソリン売上は71%増の402億ドル。海外コンビニ売上に占めるガソリンの比率は79%に達している。

つまり、セブン&アイは、米国のコンビニチェーンが主体であり、さらにガソリンの恩恵が大きい。収益構造からは米国のガソリンスタンドだと言ってもいいかもしれない。そのドルベースの売り上げが円安で円換算するとガソリンは2倍の5兆1577億円に増える。

為替が円高になれば業績も悪化する懸念があるので注意が必要

セブン&アイの好業績を支えているのはガソリン高と円安なのだ。小売り銘柄としての評価より、資源関連、円安関連としての評価が21年ぶりの高値だと言えるだろう。

米国ではインフレ傾向は収まりつつある。まだ高水準ではあるが、原油は2022年3月、ガソリン価格も2022年6月にピークをつけて安定し始めている。

日銀の金融政策の転換もあり、2022年10月に151円台をつけたドル円も2023年1月19日には127円台まで円安になった。今までの逆回転で、ガソリン安、円安になると下方修正されるリスクもあること頭に入れておきたい。

文/編集・dメニューマネー編集部

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