コロナ禍で貯蓄が増えた?減った?世界で加速する二極化

2021/12/25 19:30

https://money.smt.docomo.ne.jp/image/6gmXuE3uQm-DtqqglYFRog.jpg
コロナ禍の貧富格差拡大が問題視される中、経済大国の庶民の間でも二極化が広がっています。なぜこんな両極端なことが起きているのでしょうか。また富裕層以外で、貯蓄額が増えた・減ったのはどんな人たちなのでしょうか。 日本でも二極化 貯蓄額が増えた人は? まずは、日本の二極化から見てみましょう。「コロナ禍で家計の貯蓄が増えている

コロナ禍の貧富格差拡大が問題視される中、経済大国の庶民の間でも二極化が広がっています。なぜこんな両極端なことが起きているのでしょうか。また富裕層以外で、貯蓄額が増えた・減ったのはどんな人たちなのでしょうか。

日本でも二極化 貯蓄額が増えた人は?

まずは、日本の二極化から見てみましょう。「コロナ禍で家計の貯蓄が増えている」という人がいる一方で、「貯蓄はまったくない」「家計が苦しい」「借金を返済できない」という人も増えています。

たとえば、最近3000人を対象に実施された調査によると、「20代~40代の貯蓄額がコロナ以前と比べて平均19~162万円増えている」といいます。休業や時短営業、ボーナスカットなどで収入が減った人がたくさんいるにも関わらず、貯蓄が増えた理由は2つ考えられます。

一つ目は、外出自粛下で消費や必要経費(交通費、勤務先でのランチ代など)が抑えられ、その分を貯蓄に回す人が増えたこと。二つ目はコロナ禍で将来への不安が高まる中、「家計を見直して少しでも貯蓄を増そう」と考える人が増えたことです。

経済的影響は低所得層ほど深刻「食糧を買えない」「シャワー回数を減らした」

一方で、コロナ禍の経済的影響は、低所得層ほど大きいことが明らかになっています。

コロナ禍で収入が減った人、あるいは失業した人の割合は低所得層ほど高く、特にひとり親の2世代世帯で生活苦が広がっています。ひとり人親、特に女性は正規雇用に就きづらく、非規雇用者は時短やリストラの対象になりやすいことなどが、主な原因として挙げられています。中には「過去 1 年の間に、お金が足りなくて、家族が必要とする食料を買えないことがあった」「シャワーを2日に一回に減らした」という世帯もあります。

負債を抱えている人も、経済的に厳しい状況に追い込まれています。時短営業による売上減少や収入減で返済が厳しくなったり、事業の倒産や医療費、子どもの教育費などがかさんで借入額が増えた人もいます。「返済の見通しは立っていない」という人も少なくないことから、コロナが借金事情にも大きく影響していることが分かります。

欧米でも広がる二極化 中流所得層のフードバンク利用者が増加

欧米の経済大国でも、同様の二極化が見られます。欧州は政府の保障が手厚い国が多いとされているにも関わらず、二極化を止めることは難しいようです。

たとえば、英国では家計貯蓄率(家計の可処分所得に占める家計貯蓄の割合)が、コロナ禍でおよそ3倍上昇し、1987年以来の最高記録を達成しました。ロックダウン(都市封鎖)やテレワークへの移行などで高所得層の支出は大幅に減ったため、その分を家の買い替えやリフォーム、国内旅行、あるいは負債の返済などに回した人も少なくありません。実際、オランダ在住の筆者の周囲でも「海外旅行で散財できないから、お金がどんどん貯まる」「今はバスルームのリフォームをしていて、次はキッチンをする」といった景気のよい声を聞きます。

しかし、その一方で、特に子どものいる低所得層は支出が増え、家計がさらに圧迫されています。自宅で過ごす時間が増えたために光熱費や水道代が上がったり、行動範囲が制限されているため、激安ショップなどを利用して節約できない、あるいは物価が上がったことなどがその理由です。

全国規模でフードバンク(食料品の無料配布)の需要が急増する中、コロナ以前は経済的に不自由のない生活を送っていた中流所得層の利用者も増えています。「休業手当だけでは家計が回らない」「コロナ失業して失業手当を受給している」など、経済的な変化で支出が収入を上回り、生活が一転したためです。

二極化が拡大している理由 貯蓄は増えても将来が不安?

コロナ禍で貯蓄額を増やしているのは、現在も十分な生活費を確保しており、かつそこから経済的な恩恵を受けている層です。コロナ禍以前から十分な収入を得ていなかった低所得層、あるいはコロナで失業した人、休業補償などのコロナ経済支援の対象にならない学生や一部の自営業者などは、経済的に窮地に立たされています。

注目したいのは、コロナの中期的、長期的影響が懸念される中、今すぐにお金の心配はないとしても、将来に不安を感じる人が増えている点です。冒頭の調査では、約6~7割が「不安を感じる」と回答しました。

超低金利時代の今、銀行にお金を預けているだけでは、思うようにお金は増えません。「節約できるところはしっかりと節約し、賢く資産運用をして着実にお金を増やす」ことが、コロナ時代に欠かせない視点かも知れません。

文・アレン琴子(オランダ在住のフリーライター)
編集・濱田 優(dメニューマネー編集長)

【もっとお金に詳しくなるには?】(外部サイトに飛びます)
初心者向け!ネット証券オススメランキング
つみたてNISA 毎月いくら積み立てるのがいい?