相続に備えたい

「孫への相続」で見落としがちな注意点 節税にならないことも

2023/02/03 11:00

孫に財産を遺そうと思っていたのに、かえって相続税が増えて子どもや孫の負担になることがあります。 孫に相続するときは、どのようなことに注意すればよいのでしょうか。 注意点1 孫に遺言で遺産を遺すと相続税が2割増しに 孫に遺言で遺産を遺すと、孫が支払う相続税が2割増しになります。トータルで支払う相続税を減らしたいなら、まず

孫に財産を遺そうと思っていたのに、かえって相続税が増えて子どもや孫の負担になることがあります。
孫に相続するときは、どのようなことに注意すればよいのでしょうか。

注意点1 孫に遺言で遺産を遺すと相続税が2割増しに

孫に遺言で遺産を遺すと、孫が支払う相続税が2割増しになります。トータルで支払う相続税を減らしたいなら、まずは配偶者や子に遺産を遺しましょう。

亡くなった人の配偶者や子、父母以外の人が遺産を受け取ると「2割加算」の対象となり、その人が支払う相続税は2割増しになります。また、亡くなった人の兄弟・姉妹や甥・姪も2割加算の対象です。

遺言書は2割加算の範囲を意識して書き、孫に財産を渡したい場合は生前に贈与することを考えましょう。

注意点2 孫を生命保険の受取人にすると非課税枠を使えない

孫を生命保険の受取人にすると非課税枠が使えないため、相続税が増えることがあります。相続税を減らすには、先に配偶者や子を受取人にすることを考えましょう。

生命保険金は相続財産とみなされ、相続税がかかります。しかし、配偶者や子など相続人が受け取る生命保険金には非課税枠があり、「500万円×法定相続人の数」までなら相続税がかかりません。

孫は相続人ではないため非課税枠が適用されず、相続税も2割増しになります。トータルで支払う相続税を減らしたいなら、得策ではありません。

たとえば、妻1人子2人が相続人なら、まずは「500万円×3人=1,500万円」の非課税枠を活用するため、配偶者や子を受取人にするとよいでしょう。

効果的なのは「孫への贈与」

孫に財産を渡したいときは、生前贈与が効果的です。配偶者や子に贈与するよりも、孫への贈与のほうが無効になるリスクは低いといえます。

亡くなる前3年以内の相続人への贈与は相続財産に持ち戻され、贈与がなかったことになります。相続税対策として配偶者や子に贈与しても、その後3年以内に亡くなると贈与した分も相続財産に含められるのです。

2024年からはこの期間が3年から7年に延長され、さらに厳しくなる見込みです。

相続人ではない孫への贈与なら、亡くなる直前でも無効になることはありません。ただし、孫を生命保険金の受取人にしていたり、遺言で孫に遺産を遺したりすると、孫に贈与した分も持ち戻しの対象になります。

「孫に財産を渡したい」と考えるなら、生前に贈与したほうがトータルで支払う相続税が少なくて済み、遺された家族の負担を減らすことにもつながります。

ただし、自分がいつ死ぬかは分からないので、相続対策は早めに着手したほうがよいでしょう。

※代襲相続や養子縁組では孫も相続人になります。記事内では、子が生きており孫と養子縁組していないケースを想定しています。

文・木崎 涼(ファイナンシャル・プランナー)
編集・dメニューマネー編集部

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