50代でiDeCoを始めても遅くない!検討したほうがいいのはこんな人

2023/06/03 13:00

iDeCoは60歳までしか加入できないため、「50歳以降に始めるのは遅い」といわれていましたが、2022年の改正で条件を満たすと65歳まで加入できるようになっており、必ずしも「50歳以降だと遅い」わけではありません。 iDeCoを60歳から受け取るには10年以上の加入期間が必要 「50歳以降にiDeCo(個人型確定拠出

iDeCoは60歳までしか加入できないため、「50歳以降に始めるのは遅い」といわれていましたが、2022年の改正で条件を満たすと65歳まで加入できるようになっており、必ずしも「50歳以降だと遅い」わけではありません。

iDeCoを60歳から受け取るには10年以上の加入期間が必要

「50歳以降にiDeCo(個人型確定拠出年金)を始めるのは遅い」と言われる理由は、50歳以降に始めると60歳から年金資産の引き出しができないからです。

iDeCoは原則として60歳になると資産の受け取りができますが、60歳から受け取り始めるには10年以上の加入期間(通算加入者等期間)が必要です。始めて10年経たない人は、加入期間に応じて受け取り開始が繰下げられてしまいます。

50代でiDeCoを始めて60歳までに掛金の支払いを終えても、受け取るまでの空白期間は所得控除も受けられず、口座維持のコストを負担しなければなりません。積立てる期間も短く、まとまった資産形成は期待できないとも感じられるかもしれません。

受け取り開始は52歳未満のスタートで61歳から、54歳未満では62歳から、と繰り下げられます。

ただし、遅くとも65歳からは受け取れるので、60歳から完全無収入などでなければ、それほどの不利ともいえないのではないでしょうか。

2022年の改正でiDeCoに65歳まで加入できるようになった人

さらに、2022年の制度改正で一部の人は65歳までiDeCoに加入できるようになりました。たとえば次のような人です。

国民年金に任意加入する自営業者など

60歳以降に国民年金に任意加入する自営業者などは、65歳までiDeCoに加入できます。

国民年金の任意加入とは、保険料納付が480カ月未満の人が、60歳以降に保険料を納めて年金の受給資格を得たり、年金額を増やしたりできる制度です(厚生年金に加入する人を除く)。

自営業者の場合、iDeCoの毎月の掛金上限が6万8,000円と高額です。毎月6万8,000円の積み立てを10年続ければ投資元本だけでも816万円で、年利3%で10年間運用できれば約950万円になります。50歳以降に始めても上限に近い金額で積立てていけば、まとまった資産形成が期待できます。

国民年金だけで老後の生活をまかなえない自営業者には、大きなメリットといえるでしょう。

60歳以降も厚生年金に加入して働く人

定年延長などで60歳以上も厚生年金に加入して働く会社員や公務員も、65歳までiDeCoに加入できます。

会社員や公務員のiDeCoの掛金上限は勤務先の企業年金の有無などで決まり、最も少ない人では月額1万2,000円です。

しかし、2024年12月からは勤務先に企業年金のない人が月額2万3,000円、それ以外の人は2万円に改正されます。毎月2万円を積み立て、年利3%で運用できれば元利合計で280万円になります。50歳以降に加入しても、決して遅いことはないでしょう。

iDeCoには掛金が全額所得控除になるという、強力な税制メリットがあります。運用益は確実ではありませんが、税の軽減効果は必ず得られます。限られた期間でもiDeCoを利用して老後資金を準備してはいかがでしょうか。

文・松田聡子(ファイナンシャル・プランナー)
編集・dメニューマネー編集部
(2023年2月7日公開記事)

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