家族仲が良いと相続でもめることなど想像できないかもしれませんが、いざ遺産の相続が始まると裁判にまで発展するケースもあります。親から見ても仲の良い兄弟・姉妹でも、なぜ相続争いが起きてしまうのでしょうか。仲良し家族こそ注意すべき2つの理由と、親ができる相続トラブルの回避策をあらかじめ確かめておきましょう。
相続トラブルに発展する理由1 親に言わないだけで「不公平感」を抱えている人は多い
どんなに仲の良い兄弟・姉妹でも、親からしてもらったことに不公平感を覚えることは多く、それが遺産分割トラブルにつながります。
たとえば、国公立と私立では授業料が違うため、進学先で不公平感を抱くことがあります。予備校や塾、習い事のお金についても同じです。
実家を誰かが引き継ぐケースや、マイホーム購入資金を援助してもらったケースでも、心にしこりが残っているかもしれません。また、孫の有無や人数、預ける回数なども不公平感につながります。
仲良し家族ほど親の前では不平不満を口にしづらく、遺産分割協議で初めてお互いの本音を知り、トラブルに発展することがあります。
相続トラブルに発展する理由2 配偶者の口出しや入れ知恵でこじれることがある
兄弟・姉妹の絆がどんなに強くても、それぞれの配偶者が「あなたは損をしている」「これだけの権利があるのに」と主張して、泥沼の相続争いになることがあります。
親が知るのは実家で過ごした子供時代の姿ですが、大人になって所帯を持つと、物理的にも精神的にも兄弟・姉妹の距離は離れていくものです。
一緒に生まれ育った兄弟・姉妹より、ともに人生を歩む配偶者の意見のほうがどうしても大きくなりがちです。
もともと仲が良く、喧嘩をほとんどしてこなかった兄弟・姉妹は、一度こじれてしまうと疑心暗鬼になり、なかなか和解できなくなる傾向があります。
家族仲が良いからこそ遺言の準備を
家族仲が良いからという理由で遺言を準備しない人がいますが、家族の絆ができているからこそ、遺産分割トラブルで悲しい結末を迎えることがないよう、遺言を準備しておくことが重要です。
遺言があれば「親の気持ちを尊重しよう」という気持ちが生まれ、穏やかな関係のままスムーズに遺産分割が進みやすくなります。
大切な家族が自分の死後も仲良く過ごせるよう、早めに遺言を準備しておきましょう。
遺言を作るとき、本物かどうかをめぐって争いになるのを防ぐため、遺言を作成したことを配偶者や子供たちにあらかじめ伝えておくことも大切です。
文・木崎 涼(ファイナンシャル・プランナー)
編集・dメニューマネー編集部
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