将来・老後に備えたい

老後のお金はいくらかかる?簡単に計算して「やるべきこと」を確認しよう

2021/12/29 13:30

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老後2,000万円問題が一時期話題になりましたが、老後にかかるお金は人によって異なります。誰もが2,000万円必要なわけではなく、誰もが2,000万円あれば安心というわけでもありません。 「老後2,000万円問題」の誤解とは? なぜ「2,000万円」が必要とされたのでしょうか。そもそも将来に不安がまったくない人はあまり

老後2,000万円問題が一時期話題になりましたが、老後にかかるお金は人によって異なります。誰もが2,000万円必要なわけではなく、誰もが2,000万円あれば安心というわけでもありません。

「老後2,000万円問題」の誤解とは?

なぜ「2,000万円」が必要とされたのでしょうか。そもそも将来に不安がまったくない人はあまりいないでしょう。誰もが老後資金をつくっておく必要性は感じているはずです。そうした中で、金融庁が、一つの目安として高齢者の生活費に関する統計データと公的年金の差額をもとに、30年間で約2,000万円が必要という例を(あくまで一例として)示したわけです。

この2,000万円という数字が独り歩きしただけで、国が「全員が2,000万円用意しておかなければいけない」といったわけではありません。実際には、年金保険料を何年払っているか、退職金があるかどうか、あるとしたらいくらなのか、何歳でもらえるのか、老後にどんな生活をおくりたいか──などによって必要な金額は変わります。

老後に必要なお金をシミュレーションしよう!

そこで大切なのが「自分はいくら必要なのか」を知ることです。そのために老後に必要なお金を実際にシミュレーションしてみましょう。3つのステップに分けて解説していきます。

ステップ1 老後に受け取れるお金を知る

まず、老後に受け取れるお金の目安を知りましょう。受け取れる年金額は、加入している年金によって変わります。日本年金機構が公表している2020年度の年金額の目安は次の通りです。

国民年金 月額6万5,141円
厚生年金 月額22万724円
(厚生年金は、平均的な収入で40年間就業した場合の2人分の金額を想定)

国民年金は、自営業者や無職の人が加入する年金です。日本は皆保険制度を採用しているため、誰もが国民年金には加入する義務があります。

厚生年金は、会社員や公務員で、厚生年金保険に加入していた人が受け取れる年金です。保険料の半額は勤務先が負担してくれます。加入の有無を確認したい時は、給与明細を見て、厚生年金が天引きされているかをチェックしましょう。

年金額について詳しく知りたい場合、ねんきんダイヤルに問い合わせてみましょう。

また、会社の就業規則や給与規定などを確認できる場合、退職金として受け取れる金額も確認しておきましょう。退職時期が近い場合、人事部に問い合わせたり、先に退職した人に聞いてみたりするのも1つです。

その他、生命保険に加入していて一時金や年金を受け取れる場合、いつからどのくらい受け取れるかを生命保険会社に問い合わせておきましょう。

やること

・加入している年金を知り、受け取れる年金額の目安を知る。
・会社の就業規則等を確認し、退職金の目安を知る。
・生命保険等の一時金や年金としていくら受け取れるかを確認する。

ステップ2 老後に必要なお金を知る

受け取れるお金がわかったら、続いて老後に必要なお金を計算します。まずは現状の生活費をもとに、支出項目を一つひとつチェックしていきます。

退職後は、スーツ代や昼食代、飲み会代はかからなくなります。通勤交通費も削減できるでしょう。一方、自宅での食事代や医療費は増加する可能性があります。

このように、老後の生活を想像しながら、不要な支出を差し引き、必要な支出を足していきます。旅行など老後にやりたいことがある場合、そのための費用も盛り込んでおきましょう。

やること

・現状の生活費を把握する。
・退職後の生活をイメージし、支出の変化を予測する。

ステップ3 目標貯蓄額を計算する

老後に受け取れるお金と老後に必要なお金を整理できたら、最後に目標貯蓄額を計算します。

2019年の日本の平均寿命は、男性81.41歳、女性87.45歳です。受け取れる金額と必要なお金の差額を計算し、平均寿命を踏まえた老後の年数をかけて、目標貯蓄額を出します。

医療費や介護費用が増えることも見込んで、目標貯蓄額は多めに見積もっておくと安心です。

やること

・受け取れる金額と必要なお金の差額を計算する。
・老後の年数をかけて目標貯蓄額を出す。

老後生活を安心して送るために

目標貯蓄額を見積もったら、目標達成に向けて具体的に貯蓄を始めましょう。

「子どもが独立したら貯蓄しよう」「もう少し生活に余裕ができないと貯蓄できない」と考えていると、いつまで経っても貯まりません。現状の生活費を見直し、少しでもいいので貯蓄を継続することが、長い目でみて老後の不安を解消することにつながります。

貯蓄する期間が短いほど、1ヵ月あたりの負担は大きくなります。3,000万円を30年で貯めようと思えば、月々の必要貯蓄額は約8万円です。しかし、10年で貯めようと思えば、毎月25万円も貯蓄に回さなければなりません。

老後2,000万円という数字にとらわれず、自分自身の老後生活にあわせた貯蓄目標を立て、1日でも早く資産形成に向けて動き始めましょう。

文・木崎 涼(ファイナンシャル・プランナー)
編集・濱田 優(dメニューマネー編集長)

(2021年4月21日公開記事)

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