「食品のトレーサビリティーは確保されていたのか?」──。ニュースなどで識者がこうした指摘をするのを聞いたことはないでしょうか。食品に限らず様々な業界で使われるようになった「トレーサビリティー」は、漢字(日本語)では4字で書けますが、どのように書くのでしょうか。
トレースとアビリティーを掛け合わせた言葉
トレーサビリティーは、追跡を意味する「トレース」(trace)と能力を意味する「アビリティー」(ability)の2つを掛け合わせたものです。
牛肉など食品をはじめ,製品の生産から流通に至る全情報を把握しておき,問題が生じたときに,速やかに対応できるようにしたシステムを指します。
国立国語研究所「外来語」委員会によると「トレーサビリティー」とは日本語で「履歴管理」と書きます。
トレーサビリティーは「履歴管理」だが「追跡能力」との提案も
前出の委員会は用例として、「農水省は03年度予算で本格的に、牛肉だけでなく米や野菜でもトレーサビリティー履歴管理を導入していく方針だ」という文章を示しています。
牛海綿状脳症(BSE)が日本でも確認され「牛の個体識別のための情報管理及び伝達に関する特別措置法」(牛トレーサビリティー法、2003年施行)などが整備される過程で一般にも広まりました。
また、食品需給研究センターは独自の提案として、食品のトレーサビリティーをめぐる最近の動向を踏まえ、「追跡可能性」「追跡能力」との言い換えを示しています。
同センターはトレーサビリティーを「履歴管理」と言い換えることには問題点があると指摘。その理由を、「農薬利用や温度推移などの記録を管理することがトレーサビリティである」とする誤解を生むおそれがあるとします。そうした事業者内部の作業や状態の記録だけでは、食品の移動を把握することはできないというわけです。
なおSDGs推進の動きを受けて、トレーサビリティーは食品に限らず、工業製品やアパレル、ひいては廃棄物などにも求められるようになり、あらゆる企業が導入に取り組んでいます。
文/編集・dメニューマネー編集部
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