退職・老後が近い

退職金、どう受け取る?「一時金」と「年金」の損しない選び方

2023/02/19 10:00

50代や60代になり、退職金を受け取る時期が近づくと考えなければいけないのは、どうやって受け取ればお得なのかということです。もらい方には「一時金」と「年金」の2つがあり、どちらにするかで税金のかかり方や、もらえる総額が変わるため、慎重に選ぶ必要があります。 「一時金」と「年金」の違いは 退職金のもらい方では、一度に全額

50代や60代になり、退職金を受け取る時期が近づくと考えなければいけないのは、どうやって受け取ればお得なのかということです。もらい方には「一時金」と「年金」の2つがあり、どちらにするかで税金のかかり方や、もらえる総額が変わるため、慎重に選ぶ必要があります。

「一時金」と「年金」の違いは

退職金のもらい方では、一度に全額受け取る「一時金」と、分割で受け取る「年金」がありますが、会社によって一時金と年金を併用できる場合があります。

一時金にするか年金にするかで変わるのは、お金を受け取るタイミングだけではなく、税金のかかり方も異なります。

退職金には所得税と住民税がかかりますが、一時金として受け取れば「退職所得」として、年金の場合は「雑所得」として、それぞれに税金がかかります。

退職所得となる一時金で受け取る場合、退職所得控除が使え、控除額は勤めていた年数で変わります。

20年以上:800万円+70万円×(勤続年数-20年)
20年以下:勤続年数×40万円

たとえば勤続年数25年で、退職金が2000万円だとすると、控除額は1010万円です(実際には、雇用の流動化が進んでいる今、平均勤続年数が20年を超える企業は多くありません)。

これを所定の計算に当てはめると、税金は43万円ほどになり、実際もらえるのは約1957万円になります。

一方、雑所得になる年金で受け取る場合は公的年金控除が使えるうえ、全額もらうまでは会社が一定の利率で運用するので、受け取りの総額が一時金より多くなります。

たとえば退職金2000万円を年率2%で運用し、60歳から10年間かけて受け取るとすると、年間220万円で総額は220万円×10=2200万円になり、一時金で受け取るよりも243万円ほど多くなります。

こう見ると一見年金で受け取るほうがお得に見えますが、全員がそうなるわけではなく、退職後の働き方によって変わります。

損しないための受け取り方法

これらを踏まえて、どちらを選べばよいのでしょうか。考える際のポイントは、今後の働き方と老後の資金計画です。

「一時金」が向いているのは、退職後に厚生年金に加入せず(会社勤めをしない)、パートやアルバイトで働きたい人や、自営業で独立したい人です。年金を選ぶと年間の所得に退職金が上乗せされるので、税金や社会保険料の負担が大きくなります。

また資産運用をしたい人も一時金がよいでしょう。まとまった資金があれば資産運用の選択肢が広がります。しかし元金が大きいと損失も大きくなる恐れもあるため、注意しましょう。

一方、「年金」で受け取る方が向いているのは、退職後に働くつもりがない人や、改めて会社に入社し、厚生年金に加入して働きたい人です。

働く予定がない人は年金で受け取っても所得があまり増えないので、税負担もそこまで大きくなりません。また働く場合でも厚生年金に加入すれば、社会保険料の半額を会社が払ってくれるので、負担が少ないでしょう。

また、退職金を老後の生活費として使いたい人や、浪費が心配な人は年金で受け取るとよいでしょう。退職金を住宅ローンの返済などにあてたい場合は、必要な分を一時金で受け取り、残りを年金で受け取る方法もあります。

文・山田千景(ライター)
編集・dメニューマネー編集部

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