「異次元緩和」デフレ経済を立て直すための前代未聞の大規模な金融緩和政策

2023/02/26 19:00

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異次元緩和とは、2013年4月からはじまった日本銀行の大規模な金融緩和政策の通称です。2013年3月に黒田東彦氏が日銀総裁となり、その直後に打ち出されています。 「異次元緩和」は黒田総裁自らが名付けた 当時、第2次安倍政権はデフレ経済(物価が持続的に下がり続ける状態)を立て直すために「アベノミクス」を掲げていました。

異次元緩和とは、2013年4月からはじまった日本銀行の大規模な金融緩和政策の通称です。2013年3月に黒田東彦氏が日銀総裁となり、その直後に打ち出されています。

「異次元緩和」は黒田総裁自らが名付けた

当時、第2次安倍政権はデフレ経済(物価が持続的に下がり続ける状態)を立て直すために「アベノミクス」を掲げていました。その戦略の柱の一つが「大胆な金融政策」でした。

従来の金融政策は、政策金利を上下させることで景気の過熱感を抑えたり、不景気に向かうのを防いだりしていました。 しかし、黒田総裁は、政策を後押しするために️金融緩和の操作対象を政策金利から資金供給量(マネタリーベース)に変えるなどしました。前代未聞の施策で、「異次元緩和」と呼ばれました。

「異次元緩和」の目的は物価と金融システムの安定

具体的には、日銀は資金供給量を増やすために金融機関などが持っている金融資産(長期国債、上場投資信託ETF、不動産投資信託REIT)などを市場から買い入れていま す。その狙いは、市中に出まわるお金が増えるためお金の価値が下がり、反対にモノやサービスの価値が上がるためデフレ脱却につながるというものです。

また、マイナス金利政策も取り入れました。従来、民間の金融機関は貸し出す予定がないお金は日銀の当座預金に預けています。通常、預ければ利息をもらえますが、日銀が当座金利をマイナスにしていため、預けると逆に利息を支払わなければなりません。

そのため、金融機関は低金利でも積極的に貸し出すのが得策と考え、融資をおこないます。そして、個人はその資金を消費に回し、企業は設備投資に回すことで、資金の循環が活発となり景気を上向きにさせるという論理です。

さらに、個人は利息のつかない銀行預金から、株式のようなリスク資産に資金を振り分けるようになるため、株高にもつながると考えられます。株高は、個人の金融資産を増やすだけでなく、企業の資産価値も高めるため、景気の下支え効果があります。

このように、この金融緩和策は、日本の金融市場(株式や為替など)や経済にも大きなインパクトを与えたことから、「黒田バズーカ」ともいわれました。

日銀はデフレ脱却の実現に向けて大きな成果があったと評価しますが、批判の声も小さくありません。もとはといえば、なかなか上がらなかった物価を金融政策で引き上げ、そこから経済の好循環を生み出すという触れ込みで、当初は「2年以内の物価目標2%の達成を目指す」としていました。しかし “2年以内”の旗は降ろされた後も、経済の好循環を生み出したとは言いがたく、識者からは「金融政策だけでは物価が上がらないことを証明した」という指摘も聞かれました。【お金の単語帳】