RIZAPグループの新事業、コンビニジム「chocoZAP」(ちょこざっぷ)の立ち上がりがすさまじい。売上は半年で100億円を超え、出店計画を上方修正。今後の成長ドライバーになりそうな勢いだ。chocoZAPとはどのようなジムなのか? サービスコンセプトと驚異的な伸び、業界の動向を確かめておこう。
RIZAPの新事業コンビニジム「chocoZAP」 出店計画を前倒し
chocoZAPは、「ちょこっとRIZAP」を略したネーミングで、トレーニングジムのコンビニ版だ。基本は24時間営業、会員は全国どの店舗でも利用できる。空き時間を利用でき、継続しやすく、効果を実感しやすい。
マシーン、エアロバイク、ストレッチスペースが中心でスタジオやシャワーはない。トイレがない店舗もある。ビルの共有施設を使えばいいからだ。ウェアもシューズも普段着のままで運動できる。スーツだって構わない。
来場してすぐに始められるため効率的。トレーナーの代わりに動画とAIアプリでサポートを受ける。さらに、セルフエステ、セルフ脱毛機、ゴルフ練習も別料金なしで使える。入退会はアプリで完結。月額利用料金は3278円(税込)と低価なのが魅力だ。
chocoZAPは2022年9月から本格的な全国展開に乗り出した。2023年3月期末に300店舗、2026年3月期までに全国2000店舗の出店の計画だ。
2023年2月14日時点での会員数は 29.5万人。2022年6月末2.2万人の13.2倍に急増した。年商100億円超達成と予想を上回るペース。既に2月14日で326店となっており、3月末の計画を450店超に上方修正した。
コロナ規制の緩和でコンビニ型や女性型が伸びる
経済産業省の調べによれば、フィットネスジムの利用者数は、2018年に延べ2億5000万人のピークに達した。しかし、コロナの直撃で2020年には1億7000万人にまで急減。2年で3割以上の急減だった。
コロナの行動規制緩和でフィットネスジムの会員数は全般的に前年比プラスに転じつつあるが、回復ペースは展開タイプによってさまざまだ。
人生100年時代で健康、運動、スポーツへの意識が高まっている。
しかし可処分所得の低下とインフレ進行で総合フィットネスジムのような高い施設ではなく、低コストの施設が支持されている。生活スタイルの変化とリモートの拡大でコンビニ型のニーズが増えているのがトレンドだ。
コンビニ型では、RIZAP <2928> (札幌)のほか、24時間営業「エニタイムフィットネス」を運営するFast Fitness Japan <7092> が2期連続で過去最高益を更新する見込みだ。カーブス <7085> は女性向けのジムを展開しており、今期は2期連続で増収増益が見込まれる。
一方、総合フィットネスジム大手のコナミグループ <9766> 、セントラルスポーツ <4801> 、ルネサンス <2378> は回復傾向にあるが、コンビニ型や女性型に比べると動きは鈍い。
プールなどの維持管理コストが高く、原燃料高が直撃していることもネガティブだ。大手でさえコンビニ型、女性型、シニア向けの健康支援型などに多様化をすすめている。
低コストのコンビニ型ジムで復活なるか?
個別指導のトレーニングジムとして芸能人の激ヤセなどで話題となり、RIZAPは35万円の高額会費にもかかわらず、1ヵ月の返金保証と広告戦略で、2017年〜18年に知名度と業績を驚異的に伸ばした。
その間、株価は10倍を超え、RIZAPはテンバガー銘柄になった。しかし、トレーニング以外での部門でM&Aによる急拡大を急ぎすぎ、最終利益は2019年3月期の過去最高益90億円から、2020年3月期には194億円の赤字に転落した。それ以降、4期連続売上減とまだリストラの過程だ。
既存のRIZAPを閉店する一方、chocoZAPを増やしている。基本的にコンビニ型はコストが低いだけに、RIZAP復活の切り札になるか注目したい。
文/編集・dメニューマネー編集部
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